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第90話 逐日②

セゾーヌは、僕よりもアシャーリーと行動を共にすることが多くなりそうだ。


このため、アシャーリーの“教育係”が、セゾーヌの鍛錬と勉学も見てくれる運びとなった。


“セゾーヌの母”は給仕として働き始めている……。


あ、そうだった。


“メリン・ハースト領主”が言っていた〝例の件(・・・)〟について、語っておこう。


[チキュウビストロ系列店]が大人気になった事で、南北の港町では、ある問題が発生していた。


[北東のノイスト大陸]や[南東のサウスト大陸]などの幾つかの国々で、貿易商人や冒険者達にチキュウビストロの噂が広まっていきつつあるらしく、どちらの町にも訪れるヒトが次第に増えてきているそうだ。


これによって、どの宿屋も満室になっているらしい。


それは嬉しい悲鳴みたいだけど、このまま旅人が増加していけば、宿が足りなくなる。


ルシム大公などは、既に予測していたらしく、昨年から〝両方の港町を拡張しよう〟と考えていたそうだ。


なので、大公は、どちらの領主にも予定地を決めさせるべく、指示していた。


そうして、規模や予算を何度か相談していたところ〝ただ単に宿屋ばかり建築しても面白味がないのでは?〟という話しになっていったらしい。


けれども、〝他に何を造ればいいんだ??〟と頭を悩ませ出し、なかなか定まらずにいたようだ。


ある時、これを知った先生が「娯楽施設は如何です?」と提案した。


大公に「例えば??」と尋ねられ、地球の遊具などを先生が教えていく。


それらに興味を惹かれたらしい大公は、先生に一任していた。


とはいえ、この世界ではまだ製造が難しい物が多々あるそうで、選別から行なうらしい。


まぁ、ドワーフに頼めば、ある程度は大丈夫みたいだけど、トラヴォグ公爵が「タケハヤ(しま)の経済を回すためには地元の職人に発注するのが良いでしょう」「余所者(よそもの)の儂らばかりが潤ってしまうと恨まれかねませんからな」と述べた。


しかしながら、今のところは〝ドワーフでないと完成できなさそう〟なものもあるようで、一部は請け負ってくれるらしい。


そこら辺も含めて先生がセレクトするそうだ。


こうして、計画が着々と進んでゆく。


はずだった。


島に滞在している冒険者が、ギルドの依頼を受けなくなるまでは…。


まず、建物を造る前に、町の拡張する領域を石壁とかで囲む必要がある。


モンスターなどの侵入を防ぐ目的で。


そのためには、周辺の魔物を討伐しておきたいんだけれども、誰も受注しなかったので、〝作業していくのは危険〟という判断により、プロジェクトが止まってしまった。


これが解決されたのち、双方の領主が、日程を調整しつつ、それぞれの港町で視察を再開している。


また、新規で宿を経営できるヒトたちも探しているようだ。


なお、現在は、〝どちらの町も石壁までは出来ている〟らしい。


あともう一つ。


〝南北の港町に冒険者が集中するのなら、他の場所にもチキュウビストロ系列店を設立して、分散できないものか?〟ということで、大公が検討してきた。


結果、〝中央都市で最低でも二店舗は起業しよう〟となったみたいだ。


これによって、“大公/ルムザさん夫婦/アシャーリー”が精査を重ねている……。



いろいろと順調なまま、春になった。


およそ一週間後に、僕は誕生日を迎えるので、久しぶりの[ダイワ城]へと赴く。


のだけど…。


“僕の教育係&お世話係”のテンションが明らかに下がりだしている。


訳を聞いてみたところ、アシャーリーによる数々の料理に慣れてしまい、むこうでの食事を想像したら憂鬱になってきたらしい。


……、気持ちは分かる。


そのため、どうしたものかと困りだす僕だった―。


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