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第89話 逐日①

ふと、


「実家に戻れば平穏に生活していけるのかな?」


アシャーリーの父である“ルムザさん”に質問され、


「いえ、どうでしょう??」

「あちらには、私の両親と、姉夫婦に二人の子供が、暮らしておりますので。」

「私たちの部屋は余っていないでしょうから〝今後の生涯ずっと〟というのは難しいかと思います。」

「なので、数日ほど泊めてもらい、その間に、新居と、私の働き口を、探そうと考えているところです。」


こう“セゾーヌの母”が答えた。


それによって、


「お祖父(じい)様。」

吉野(よしの)さ…、セゾーヌさん達を、この館に住まわせる事はできませんか??」

「彼女の“特殊スキル”があれば、いろんな調理がより美味しくなるので。」


アシャーリーが願い出る。


これに、ルシム大公は〝ほぉう〟と好反応を示したものの、


「悪いが、〝平民をタダで〟という訳にはいかない。」

「いくらお前の〝チキュウ時代の友人知人〟であっても、周りの目が厳しくなるだろうからな。」

「そうなると、彼女たちの日々は、やがて辛いだけのものになってしまうに違いない。」


ルムザさんが反対した。


重苦しくなりかけた空気を、


「差し出がましくてすみませんが、例えば、セゾーヌさんを“アシャーリーさんの助手”という形で雇うのは無理ですか?」

「それと、お母様にも〝何かしらの役割と賃金を与える〟というのは??」


またも先生が転換してくれる。


“元担任”として放っておけないのだろう。


「ふ、む。」


理解したかのようにルムザさんが頷いたら、


「給仕でよければ、こちらとしては構わんが?」

「そっちは、どうだ??」


そのように大公が提案した。


おもいがけない展開だったらしく、


「あ……、ありがとうございます。」


“セゾーヌの母”が、目を丸くしつつ、お礼を述べる。


更には、


「僕からも、ありがとうございます。」


先生も頭を下げて感謝した…。



セゾーヌは、母親の実家に向かうそうだ。


数年ぶりに祖父母に顔を見せるのと、これまでの経緯(いきさつ)を伝えるために。


ただし、僕などの存在や、前世については、秘密にしておくことになっている。


ややこしくなりかねないので。


そのため、〝セゾーヌのとあるスキルに大公家が価値を見出したので、母子ともに館に住み込みで働かせる〟とした。


こうした内容も含め、大公が、〝決して余計な詮索はせぬよう〟〝あとあと後悔するような人生を過ごしたくなければ〟みたいな事を書いた手紙を、“セゾーヌの母”に渡している。


ちなみに、彼女の母親の実家は、[本館]からだと、一時間以上が掛かるらしい。


よって、大公が[ユニコーン車]を手配してあげた。


また、〝こちらに戻って来るときは自分達で依頼するように〟〝その支払いも負担してやるので遠慮はいらん〟と告げている。


まとまったところで、先生とヴァイアに、それぞれの祖父君が、帰宅した。


ここら辺の顔ぶれは、【テレポーテーション】で……。



セゾーヌ母子が改めて訪れたのは、翌朝だった。


一泊してきたらしい。


特に母親のほうに積もる話しがあったのだろう。


それはさておき。


セゾーヌたちには[二人部屋]が用意されている。


こうした母子は、ひとまず、館の人々に挨拶回りして、明日から本格的に稼働するみたいだ…。



大公はもとより、ルムザさんも許可したので、セゾーヌ達は僕らと一緒に昼食を摂っている。


その最中に、アシャーリーが、失敗が重なった“お酢づくり”や“先生の特殊スキル”に関して、セゾーヌに教えていた。


なお、これからは、セゾーヌも鍛錬と勉学に参加することになっている―。


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