表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/205

第85話 巡り会い④

【お取り寄せ】した[書物]のページを捲っていき、


「…………。」

「あ。」

「……、ふむ。」

「かつて、“コーヒーミル”と“ガラス瓶”を組み合わせたものがあったみたいですね。」

「ま、今も“アンティーク”として存在しているようですが…。」

「これであれば、ビールとは別の職人さん達に頼めますので、きっと早めに納品できますよ。」


先生が穏やかに微笑む。


ちなみに、本の代金は“銀貨一枚”だそうで、アシャーリーが支払っている。


「私からも、ひとつよろしいですか? フリント様。」


ふと“細長眼鏡のマリー”に声をかけられ、


「はい??」

「なんでしょう?」


先生が(まぶた)を〝パチクリ〟させた。


「先ほど仰られていた“デンキ”や“サーバータンク”とかいうのは、どのようなものなのか、教えていただけませんか??」


マリーの質問に、


「あぁ~、ボクも聞きたいですぅ。」


そのように便乗したのは、“ハーフエルフのリィバ”だ……。



あれから十日が経っている。


ビールを飲んだ“ラドン竜王”のテンションが上がりまくった。


これによって、“ルシム大公”に“トラヴォグ公爵”と、貿易について協議がなされてゆく…。



年が明けた。


既に、何個かの[バター用機器]と、追加の[食パン型箱]が、アシャーリーから関係者に配られている。


あと、“ハムエッグチーズ”や“はちみつバター”のトースト(・・・・)も伝授したそうで、かなり人気らしい。


これによって、三店舗では、セットメニューが追加されたのだとか。


他に、付け合わせは〝フライドポテトor厚切りポテトチップス〟にしたとも……。



更に月日が流れ、もうじき春になろうとしていた。


しかしながら、まだまだ肌寒い。


アシャーリーは、またもや“お酢づくり”がダメだったようだ。


一方で、“ヨーグルト”は上手くいっている。


いや、この世界にも、もともとあったけれど、割と苦かった。


それを、マイルドにしたのだ。


こうしたヨーグルトを使って、“パンケーキ”を完成させている。


本当は“ベーキングパウダー”とかいうものが欲しかったらしいけど、作るのに失敗したのだとか。


とは言え。


パンケーキも大好評だ。


なお、僕/アシャーリー/ヴァイア/先生は、日々、鍛錬や勉学に励んでいた。


けれど、雨や雪が大降りの場合は、屋外を利用できないので、修行は休みになる。


とにもかくにも。


暫くすれば僕の誕生日なので、久しぶりに家族に会えるのが楽しみだ。


そうしたある午前に、北の“メリン・ハースト領主”が、“お抱えの魔女さん”によって、一階エントランスに【テレポート】してきたらしい…。



この日は、主だった顔ぶれが集まっていたので、執事さんが[広間]に通しておいたそうだ。


[客間]だと手狭になるので。


僕らが足を運んだところ、メリン領主たちと共に、ある“人間の母子”が見受けられた。


母親は“セミロングヘア”で、少女は“ロングのポニーテール”だ。


どちらも、肌は白く、髪や眉が“レッドブラウン”で、瞳は“ブラウン”だった。


服装から“平民”と推測できる。


それはさておき。


僕達に気づいた面々が、〝スッ〟と起立した。


娘さんの年齢や身長は、僕らと同じくらいだろう。


余談になるかもしれないけど、僕やアシャーリーにヴァイアは、5㎝前後は背丈が伸びている。


先生はドワーフなので、成長が遅いらしく、変わりない。


話しを戻そう……。


「実は、こちらの少女が“チキュウの調理”と“ニホン語”を知っていましたので、お連れした次第です。」


このように述べたメリン領主が、


「さぁ、ご自分で。」


“女の子”を優しく促す。


軽く頷き、いささか不安げにしつつ、


「私は、“セゾーヌ・ディメン”です。」

「前世では“吉野薫(よしの・かおる)”でした。」


そう名乗った少女に、


「おぉー、これはこれは…。」

「再会できたことを嬉しく思いますよ。」


いち早く反応した先生が、


「あ、失礼。」

「僕は、“竹村良鉄(たけむら・よしてつ)”です。」

「いえ、でした(・・・)。」


〝ニッコリ〟する。


〝!!〟と驚いた様子の吉野さんが、


「先生。」


どこか安堵したかのように呟く。


ここから、僕とアシャーリーにヴァイアも、自己紹介していった―。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ