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第79話 来訪④

“武神カティーア様”が帰られてから四日が過ぎている。


アシャーリーが“ソフトフランス”とかいうパン(・・)を完成させた。


サイズは15㎝くらいだろうか?


いや、もう少しありそうだ。


この“細長パン”に縦へと入れられた切り込みに、食材が挟まれている。


ひとつはスクランブルエッグのみの“卵サンド”で、もう一方はトマト/キュウリ/レタスの“野菜サンド”だった。


昼食に振る舞われた“サンドイッチ”に、誰もが〝んっふぅー♪〟と満悦する。


また、パンの柔らかさにも瞳を輝かせており、全体的に好評だ。


僕は懐かしさと共に喜びを噛み締めていた。


サンドイッチ以外には、唐揚げ/フライドポテト/オニオンスープが出されている。


……、あれ??


サンド()ィッチが正解なんだっけ?


…………。


今度、先生が来たときにでも訊いてみようかな。


もし分からなければ、本を取り寄せてもらえば解決できるだろう。


きっと…。



翌朝になっている。


本館の[一階エントランス]に“癒しの女神パナーア様”が【瞬間移動】してきたらしい。


そのため、主だった者が[広間]に集まる運びとなった……。



珈琲の味変(あじへん)に、


「へぇ~、面白いですねぇ。」


パナーア様が感心している。


どうやら“ミルクコーヒー”が一番いいみたいだ。


「ところで、パナーア様。」

「お越しになられたのは、“特殊スキル”に関して、でしょうか??」


僕が質問したところ、


「ええ、そうです。」


頷かれた“癒しの女神様”が、経緯(いきさつ)を語りだす。


これによれば、カティーア様が睨んでおられたとおり、複数の神々が関与していた。


ただし、“時空神様”は別らしい。


その神様が見たのは、僕らの魂をカティーア様が自室に連れてきたところだそうで、ここから先は知らなかったようだ。


なので、時空神様は〝お咎めなし〟になっているのだとか。


ともあれ。


荷担(かたん)したのは、パナーア様と仲の良い方々らしく、各自が知識や武力などを司っていらっしゃるそうだ。


なお、全員が“中級の女神”とのことだった。


そのなかには、カティーア様の娘にあたる神も含まれているらしい。


こうした面々は、野外で〝50Mほどを匍匐(ほふく)前進しては、仰向けでスタート地点に戻ってくる〟という罰を、丸一日やらされたのだそうだ。


カティーア様の監視付きで。


今回も【治癒】を施すのが禁止されたらしく、誰もが数日に亘って寝込んだらしい。


また、パナーア様の父君(ちちぎみ)によって、関与した神々には無期限の謹慎が申し付けられ、各親御さんが賛同したそうだ。


そのような状況で、どうにか動けるようになったパナーア様が、本日ご訪問なされたとの話しだった。


父君に〝代表して取り急ぎ事情を説明しに赴け〟と促されて…。


「つまり、私には、この銀河の“料理の神様”が特殊スキルを授けてくださったのですね。」


こう納得するアシャーリーに、


「いえ、そのような神はいませんよ。」

「存在しているのは全宇宙でも日本だけです。」


パナーア様が述べられる。


皆が〝え?〟と不思議がったところ、


「“(かまど)を司る一族”は、どの銀河にもおりますが……。」

「それらの神々を、調理に携わるヒトや、鍛冶師が、崇めていますね。」

「ここ“ガーア”においても。」

「そうした神の能力(ちから)と、アシャーリーさんの魂の記憶(・・・・)が相まって、あのスキルになったのです。」


そのように伝えられるパナーア様だった。


僕がもう少し詳しく尋ねようとしたタイミングで、


「では。」


〝スッ〟と立ち上がったパナーア様が、


「あまり遅くなると、伯母上(おばうえ)様に新たな刑罰を追加されかねませんから、お(いとま)させていただきます。」

「あと…、まだ体中が痛むので、横になりたいです。」


ふと遠い目をなされる。


こうして、


「いつかまた、お伺いしますね。」


穏やかに微笑み、【テレポート】するパナーア様だった。


余談になるかもしれないけれど、リィバだけ[広間]にいない。


[別館]で解体を行なっているため―。


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