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第57話 展望.2

“ヴァイア三世代”が帰ってから、一週間以上が経っている。


この日の朝に、[館の一階エントランス]へ【テレポート】してきた人たちがいるそうだ。


以前、ルシム大公が[ケンタウロス便]で手紙を送った相手らしい……。



僕らは、“大公家族”と一緒に、[客間]に足を運んだ。


すると、“60歳ぐらいの貴婦人”が、ソファに腰かけて、紅茶を(たしな)んでいた。


その後ろには、40代前半あたりの魔術士と、30代半ばといったところの給仕が、控えている。


ちなみに、どちらも女性だ。


さておき…。


大きめの“お団子ヘア”に、ドレス姿の、貴婦人が、〝スッ〟と立ち上がった。


髪は白金であり、瞳は青く、痩せ型で、凛としている。


こうした特徴の貴婦人が、


「お久しぶりです、ルシム殿下がた。」


大公家族に会釈した。


そこから、


「まぁ、大きくなられましたわねぇ、アシャーリー御令嬢。」


穏やかな表情になった流れで、僕を見つつ、


「そちらは、アシャーリー御令嬢の友人の方ですか??」


軽く首を傾げる。


「いや。」

「ダイワの第二王子、ラルーシファ殿下であらせられる。」


このように大公が紹介したところ、


「はい?」

「ご冗談ではなく??」


貴婦人が怪しんだ。


けれども、大公が真面目な感じで〝うむ〟と頷いた事によって、ほんの少しの間を置き、


「御無礼いたしましたぁあッ!!」


かなりの勢いで、頭を深々と下げる貴婦人だった。


更には、お連れの二人も、慌てた様子で、お辞儀する。


それらに対し、


「あー、うん。」

「ラクにせよ。」


こう告げる僕だった……。



主だった者だけがソファに座り、話しを進めている。


なお、貴婦人は、“メリン・ハースト”という名前なのだそうだ。


大公にとって“曾祖父の妹の子孫”にあたるらしく、[北の領主]を努めているらしい。


そのため、〝港町ジィーモも管轄している〟とのことだった…。


「成程、事情は承知いたしました。」

(わたくし)の命に替えましても、王子殿下のことは、他言いたしませんし、させません。」


こう約束したメリン領主が、


「それで?」

「チキュウの料理というのは、どのようなものなのでしょうか??」

「スブキィで大盛況しているとはゆえ、(わたくし)が治めさせていただいている港町で事業展開するには、具体的なことが分からなければ決断いたしかねます。」


大公に述べる。


「ま、もっともだな。」


理解を示した大公が、


「頼まれてくれるか?」


アシャーリーを窺う。


「ええ、構いませんよ。」


起立して、スカートの両端を(つま)み、


「それでは、早速、厨房に向かいますので、一旦、失礼します。」


挨拶したアシャーリーが、


「お母様も。」


ふと声をかけた。


それによって、一礼した“アシャーリーの母親”もまた、退室していく……。



お昼となり、[食堂]に移動している。


アシャーリー達が調理した品々を口にして、


「な…んですか??! これはぁ――ッ!!?」


メリン領主が驚くのと共に瞳を輝かせた。


他の二人も〝んッふぅ―☆〟と幸せそうにしている。


これらの反応を受け、


「そうであろう、 そうであろう。」


ニコニコご満悦な大公だった…。



食事が済んだところで、


「確かに、これらの料理であれば、行列ができるくらい成功して至極当然というものでしょう。」


納得したメリン領主が、


「これより、ジィーモで、お店などの候補を探します。」

「数日お待ちいただいても??」


そう尋ねてくる。


これに、


「無論だ。」

「慎重に熟慮してくれ。」


そのように大公が返す。


余談になるかもしれないけど、メリン領主は〝北の港町では生活していない〟とのことだった。


しかし、〝あちらに別宅がある〟そうだ。


このため、いつも暮らしている館に戻って準備を整え次第、[ジィーモ]に渡ってくれるらしい。


そうした経緯(いきさつ)で、[北の港町]にも店舗を構える事になる僕らだった―。

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