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第42話 実戦①

森林からユーンたちが走って来る。


彼女らの10Mほど真後ろには“モンスター集団”が見受けられた。


「全て“植物系”か…。」

「ざっと六十体はいそうだな。」


そう呟いたのは、ルシム大公だ。


ほぼ同時に、僕の近くで、レオディンが行動に移る。


自身の正面へ、[魔法の杖]の先端を“斜め下”に突きだし、


「強き(ほむら)よ、我が魔力と混ざりて、本領を発揮すべし。」

「敵を焼き尽かさんがために具現化せよ。」


このように詠唱してゆく。


レオディンによって30Mほど先の地面に“直径4Mで青白い魔法陣”が構築されるなか、


「散!」


ユーンが合図したところ、獣人達が左右に分かれた。


僕らに迫るモンスターの20数あたりが [マジックサークル(魔法陣)]に入ったタイミングで、


「今こそ燃え盛れ。」

「バーン・ヴォルテックス!!」


レオディンが“最小直径20㎝×最大直径4M×高さ30M”といった【炎の渦巻き】を起こす。


それにより、僕らに対して右斜め前の魔物たちが、回転しながら上昇していく。


なお、レオディンが用いたのは、[極級]の魔法だ。


ちなみに、あとで大公が教えてくれた情報によれば、敵は“マイコニド/アルラウネ/食人花/ウッドゴーレム(樹木人形)”で、約15体ずついたらしい。


さておき。


残りのモンスターらは、意に介さず、なおも進んでくる。


足は遅めだけれども……。


いずれにせよ。


「王子、神法(しんぽう)を。」


後ろに佇む“細長眼鏡のマリー”に促された僕は、“右の(てのひら)”を魔物らに向けた。


とりあえず、ふと頭に浮かんだものを扱うため、“直径50㎝でホワイトゴールド(白金色)”の[サークル]を展開してゆく。


こうして、


「サンダー・ボール!」


いつぞやみたいに、直径5㎝の【雷の玉】を、10コ飛ばす。


それらがヒットしたモンスター達のみ、感電して、倒れた。


アシャーリーは〝あわわわわ〟といった感じで狼狽(うろた)えているようだ。


この側で、


「落ち着いて、まずは“目くらまし”を。」


彼女の父親が指示した。


〝すぅ――ッ、はぁ――ッ〟と深呼吸したアシャーリーが、右手で“直径50㎝かつ白金色”の[神法陣]を築く。


そうした流れにて、


「フラッシュ!!」


[サークル]の10倍はありそうな【閃光】を放つ。


殆どの魔物は両目を閉じてストップしたものの、“食人花”と“ウッドゴーレム”には効かなかったらしく、更に駆けてくる。


僕らとの距離は25Mあたりだろう。


すぐさま“60歳ぐらいの女性魔術師”が、


「凍てつく綺羅星(キラボシ)、願いし者に力を与えよ。」

「我がもとにて鋭利に化し、敵を穿(うが)て。」


モンスターらに向けた[魔法の杖]で、“直径1M”の青白い[マジックサークル]を展開し、


「アイシー・ランス!」


“直径5㎝×長さ2M”といった【氷の槍】を、次々と発射した。


数は、およそ50個だ。


[中級]の(ことごと)くが、全ての魔物に直撃するなり、直径20㎝の範囲が〝ピキピキィ〟と凍り付き〝パリンッ!!〟と割れる。


これは余談かもしれないけど、レオディンの【火炎】に見舞われたモンスターらは、既に消し炭となっていた。


話しを戻して…。


魔物たちが止まったところで、弓の(つる)を引いた“リィバ”が、


「風の精霊よ、盟約に応じ、助力すべし。」


そのように唱え、()()った。


これ(・・)は、直径25㎝くらいの[風の渦]を纏って、一体の“樹木人形”に飛んで行く。


そうして、腹部を貫かれた“ウッドゴーレム”が、仰向けとなる。


「え??」

「何、今の?」


半ば驚きながら僕が尋ねると、


「あぁー、“精霊加護”ですよ。」

「エルフ族しか使えないので、王子などには伝えていませんでしたが。」

「ま、詳しい事は、時間に余裕があるときにでも。」


微笑んで述べる“ハーフエルフ”だった。


(……、レオディンも、リィバも、ただの変態じゃなかった!)


僕が考えを改めている間に、“魔物の群れ”の背後に回ったユーンたちが、一斉攻撃を始める。


この状況を視界に捉え、右肩に[両刃のバトルアックス(戦斧)]を担いだ大公が、


「では…。」

「“接近型”は参るとしようかのッ。」


何故だか楽しそうにしていた。


「自分は、万が一に備え、アシャーリーの側にいます。」


次男さんに声をかけられた大公が、


「うむ。」

「構わん。」


そのように許可して、歩きだす。


「ラルーシファ殿下、我々も。」


“隻眼のベルーグ”に導かれた僕は〝ん〟と反応を示す。


以前、二度に亘って暗殺者らに襲撃されたときは、〝自分の身を護る〟のと〝退()かせる〟のが目的であって、命を奪おうとまでは思いすらしなかった。


けれども、今回は違う。


〝殺されなければ殺される〟のだ。


こうした現実に、僕の緊張が一層に高まっていく。


そこへ、


「王子ぃ。」

「アシャーリー嬢もですけど、武器と神法を両立させながら戦ってくださいねぇ。」


[遠隔型]のため、場に留まるリィバが、〝ニコニコ〟しながら告げてくる。


無言で頷いた僕は、ベルーグとマリーに護衛されながら、モンスター達へと進む―。

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