表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/205

第30話 シークレット①

あれから約5分後――。


レオディンの魔法によって、僕達は、[港町スブキィ]の北側に【瞬間移動】した。


僕らが居る“土の道”の先には門が在り、町は壁で囲まれているようだ。


門の両脇では、兵士たちが、通行人とやり取りを交わしている…。



僕らの順番となり、先頭の大公が、


「“ルシム=イズモ”である!」


そう名乗った。


大公に視線を送った数人の兵が、何かに気づいたみたいに〝ハッ!!〟として、敬礼しだす。


大公が着用している貴族風のジャケットの左胸元には、“雷”と“月”が合わさったデザインが()糸で刺繍されている。


これは[大公家の紋章]だ。


以前も説明したことがあるけど、[イズモ王家]の場合は、“雷”に“太陽”と“月”がモチーフになっており、()糸が使われている。


今回、僕は、それらがあしらわれた服を着ていない。


どこに()が潜んでいるか分からず、命を狙われる危険性があるからだ。


いずれにせよ。


[大公家の紋章]を認識したらしい兵士の一人が、


「どうぞ、お通りください。」


お辞儀した。


「うむ。」

「務め、大儀である。」


こう返した大公と共に、僕達は、無料で町へと入ってゆく……。



門から15分ほど歩き、とある館に到着している。


そこでは“大公の長男家族”が暮らしているそうだ。


暫く[客間]で待っていたところ、外側から扉を開いた男性が、


「父上!」

「お越しになる際に連絡してくだされば、北門まで迎えを寄こしましたのに。」


いささか困惑した。


「まぁ、内密にしないといけない件もあったしな。」


そう伝えた大公が、


「お?」

「お主も来ておったか。」


長男さんの後ろに控えている人物に声をかける。


「お久しぶりでございます。」

「大公殿下。」


会釈した中年男性が、


「本日は、月に一度の定期相談がありましたので。」


このように答えた。


あとで聞いた話しによれば、彼は“領主”との事だ。


やはり[スブキィ]で生活しており、ここから、徒歩だと一時間くらいで、[ユニコーン車]であれば10分ちょっとの所に、館が在るらしい。


その領主の姪…、詳しくは妹君の娘さんが、大公の長男さんに嫁いだのだと。


補足として、“大公の長男家族”が過ごしている館は[領主の別宅]なのだそうだ。


ちなみに、大公の長男さんも、領主も、細身だった。


長男さんは、30代後半といったところで、ライトブラウンの髪をオールバックにしている。


領主はというと、60代前半あたりで、七三分けの髪と、鼻の下の(ひげ)が、ホワイトゴールド(白金)だ。


さて。


「弟君がたも、ご一緒でしたか。」

「……、おぉう、アシャーリー様、大きくなられましたなぁ。」


目を細めた流れで、


「して??」

「他の方々は?」


ふと尋ねる領主だった。


〝スッ〟と椅子から立った大公が、僕に手を向け、


「こちらは“ダイワの第二王子殿下”であらせられる。」


そう告げる。


「は??」


長男さんと、


「ご冗談ではなく?」


領主が、揃って首を傾げた。


こうした二人に、


「父上が、そのような戯言(ざれごと)を口にするとでも??」


大公の次男さんが逆に質問する。


更には大公が真剣な表情を崩さないこともあってか、信じたらしい二人が、


「失礼いたしました!!」


慌てながら跪く。


「あぁ、そういうのは、別に」と、やめさせようとした僕に、またしてもマリーが急ぎ耳打ちした。


それによって、


「両者とも、ラクにせよ。」


こう許可した僕である。



…………、大公が経緯(いきさつ)を語り終えた。


「それでアシャーリーが“神法(しんぽう)”を備えていたのか。」


長男さんが驚きつつも納得するなか、


「そのような事態になっていたとは。」


呟いた領主が〝うぅ~む〟と唸る。


「ここからが本題じゃ。」

「先ほど述べ知らせたとおり、ラルーシファ殿下とアシャーリーが“前世の友人知人”と再会を果たせるよう、スブキィに飲食店を開く。」

「が。」

「まずは、お主らに、アシャーリーたちの料理を味あわせたい故、厨房を借りるぞ。」

「昔から“論より証拠”と言うしな。」


大公に促され、


「ええ、勿論です。」

「こちらとしても、“チキュウ”とやらの調理法に興味がありますので。」


そう承諾する“アシャーリーの伯父君”だった―。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ