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第28話 展望①

「何故、転生に関して、カティーア(しん)様は認められていらっしゃるのですか?」


マリーに尋ねられ、


「あぁー。」

「伯母上様は、遥か昔に、とある手柄を立てられました。」

「その褒美として、最高神であるお祖父(じい)様がいろいろな権限を付与なされたのです。」


そう答えたパナーア様に、


「あの…。」

「元クラスメイトたちの詳細を教えていただいてもよろしいでしょうか??」

「特に、この世界で暮らしている人々の事を。」


アシャーリーが頭を下げる。


彼女に続いて、


「僕も聞きたいです。」

「〝いずれ必ず探しに行こう〟と考えていたので。」


お願いしたところ、


「もしかして、いつぞや殿下が仰せになられた〝ある目標〟とは、そのことですか?」


ベルーグに質問された。


「うん。」

「そうなんだ。」

「15歳になったら冒険に出ようと決めていてさ。」


このように伝えたタイミングで、


「旧友の方々は、各国に点在していますよ。」

「全員を見付けるにしても、世界中を旅して回らないといけなくなるので、かなりの労力と時間を要するでしょう。」

「なかには一ヵ所に留まらない人もいるため、接触は難しいかもしれません。」


パナーア様に告げられる。


「じゃあ、どうすれば??」


アシャーリーが悲しそうにしたら、


「逆に、皆さんに集まってもらえれば、再会の確率が高まるでしょう。」


そうパナーア様が述べられた。


「どのような方法で?」


首を傾げた僕に、


「前世を想起させる事柄を報せるのです。」

「例えば“神社”とか……。」

「或いは“地球の料理”も良いかもしれませんね。」


パナーア様が優しく微笑む。


これに〝ハッ!〟とした誰もが、“アシャーリー=イズモ”こと[嶋川由美(しまかわ・ゆみ)さん]に視線を送る。


「え??」

「私ですか?」


(まぶた)を〝パチクリ〟させたアシャーリーではあったものの、


「お話しは理解できましたけど…、拡散する手段がありませんよね??」

「こちらの世界には“SNS”などが無いので。」


すぐに冷静になったみたいだ。


「エス、エヌ、エス?」

「なんです?? それは?」


不思議がるリィバを余所(よそ)に、


「でしたら、お店を開いて、食事を提供すればよろしいでしょう。」

「この島は、北東と南東の大陸に在る幾つかの国々の商人達が、貿易の中間地として立ち寄ったついでに何かしらの売り買いを行ないますし……。」

「ダンジョン目当ての冒険者も訪れていることですしね。」

「そういった方々が海を渡って噂を広めていく可能性があります。」


パナーア様が語られた。


「ふむ。」

「となれば、港町が一番いいだろうな。」

「条件の良さそうな建物が空いていないか調べさせるとするか。」


ルシム大公が呟いたところ、


「いえ、それ以前に、誰が経営していくんです?」

「我々にも引っ越せと??」


次男さん…、つまりは“アシャーリーの父君”が少なからず困惑する。


「う、むぅ~。」

「確かにな。」

「……、まぁ、ここら辺は、追々、練っていくとするか。」


そのように大公が定めたら、


「孫娘のためにも、ぜひ。」


アシャーリーの母君が、お辞儀した。


紅茶を飲むパナーア様に、


「そう言や、ラルーシファ殿下は、神剣から“閃光斬”を一回放っただけで脱力なさったのですが…、初代ラダーム陛下も同じ状況だったのでしょうか?」

「だとすれば、戦闘で使うのは危険ですよね。」

「起きられずにいるとこを狙われでもしたなら、まさに“一巻の終わり”かと。」


ベルーグが伺う。


「はて??」

「そのような例は伯母上様から聞いた事がありませんが?」

「……、天界に戻ったら話してみましょう。」

(わたくし)としては、お仕置きが待っているので、帰りたくないんですけどねぇー。」

「はぁ。」

「できれば、このまま居座りたい。」


再び遠くを見たパナーア様ではあったが、覚悟したらしく、ティーカップを置いて、立ちあがり、


「それでは、これにて失礼します。」


会釈した流れで、〝パッ〟と消えた。


「今のも“瞬間移動”でしょうか??」


ユーンが疑問を口にしたところ、


「おそらく、無詠唱のな。」

「しかも、かなり高度のようじゃ。」


レオディンが推測する。


各自が〝ふぅ―〟と息を吐くなか、


「で?」

「“エス、エヌ、エス”って、なんなのです??」


改めて訊ねてくるリィバだった。



ある程度、前世での生活について喋ってみるも、アシャーリー以外はイマイチ意味が分からないでいる。


ま、仕方ない。


こちらとは異なる部分が割とあるのだから。


なにはともあれ。


「一旦、休憩を挟んで、店舗などに関して相談しましょう。」

「殿下達にも案を出していただけると、ありがたいです。」


そう促す大公だった―。


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