第25話 連関①
[タケハヤ島]に来て三日目――。
僕らは、朝ご飯のため、再び[食堂]に集まっている。
あるものを口に運んだ[魔術師のレオディン]が、
「む??!」
「これは、芋ですかな?」
素朴な疑問を投げかけた。
「はい。」
「フライドポテトです。」
そう答えたのは、勿論、“嶋川由美さん”こと[アシャーリー]だ。
なお、この“フライドポテト”は、幅広のタイプだった。
「こちらの黄色いのは、なんでしょう??」
首を傾げた[細長眼鏡のマリー]に、
「スクランブルエッグという“玉子料理”になります。」
アシャーリーが教えたところ、
「え?!!」
「卵なのですか??」
驚きを隠せないでいる。
他のメンバーも目を丸くしているようだ。
それも仕方ない。
こちらの世界は“ゆで卵”しか調理法が無いのだから…。
「新しいパンですな。」
そう呟いたのは[片目のベルーグ]だ。
「“スミット”という名称です。」
「まぁ、これも材料が足りなかったので、完璧な仕上がりではありませんけど。」
このようにアシャーリーが述べていたら、
「スープも昨夜の品とは違いますね。」
[獣人のユーン]が確認した。
「ええ。」
「そちらは“コーンポタージュ”になります。」
アシャーリーの説明を受け、少しだけ飲んでみたユーンが、
「いつものより格段に美味しいです!」
今回も感激している。
ちなみに、それら以外には、レタスであったり、トマトやオレンジを“くし切り”にしたものが、添えられていた。
どの料理も“ダイワの顔ぶれ”が夢中で食べていった流れで、
「いやぁ~。」
「今朝も素晴らしい限りでしたねぇ。」
[ハーフエルフのリィバ]が〝ニコニコ〟する。
皆も満足しているみたいだ。
こうしたなか、
「ところで、殿下。」
「もし、よろしければ、ここより北東に徒歩で約10分の所に建てられている“ジンジャ”に赴いてみませんかな?」
ルシム大公に提案され、
(ジンジャって、絶対そうだよね。)
秘かに思う僕だった……。
▽
大公はもとより、レオディン達と共に、その場所に訪れている。
僕らの眼前には[鳥居]が存在していた。
(やっぱりかぁー。)
予想どおりの結果に、僕は、やや拍子抜けしている…。
大公によれば、
「初代陛下が隠居生活を送られるようになったとき、あの館とこのジンジャの建設をお命じになられたとの事です。」
「ただ、ジンジャンのほうは人間だけでは難しく、当時のタケハヤ島に暮らしていたドワーフたちも雇ったのだとか。」
「こうして完成したジンジャに、初代陛下は、オオクニヌシ様とスサノオ様にカティーア様を祀られました。」
「そこから年月が経ち、崩御なされた初代陛下もまた、近衛衆によって、神として奉られたそうです。」
とのことだった。
……、ま、[大国主命]に[建速須佐之男命]で間違いないだろう。
どうやら、“タケハヤ島”は[スサノオ]から拝借したようだ。
更に、“ダイワ”が[大和]で、“ムラクモ”は[天叢雲]だと、推測できる。
[カティーア]に関しては、初代ラダーム様が〝神剣を賜った〟と記されていたので、“この世界の武神”らしい。
とにもかくにも。
[氏神神社]といった規模に参拝する僕達だった。
▽
館へと帰ってきた僕らが[鉄門]を通過したところで、上空より、
「いっやああああ――――――――ッ!!!!」
“ローマ時代の服装みたいな女性”が落下してくる。
次の瞬間、庭に〝ズドォン!!〟と全身を打ち付けた。
「いたたたたたぁ~。」
割と綺麗な印象の女性が、立ち上がりつつ、衣類の土埃を手で払う。
背丈は165㎝ぐらいで、肌が白い。
腰あたりまでの長さがある髪と、瞳は、金色だった。
その女性に〝ハッ!〟としたリィバが、急ぎ跪く。
突然のことに、
「如何なされた??」
レオディンが尋ねたところ、
「おそらくだけれども、気配から察するに、こちらの方は、神様だ。」
こう告げるリィバだった―。
[カティーア神]は本作のオリジナルです。
現実(地球)の伝承や逸話などには出てきませんので、あしからず。




