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第212話 ダンジョン探索⑥

[螺旋(らせん)の坂道]を(くだ)りきったところ、7割が[なだらかに傾斜している地面]で、3割が[池みたい]になっていた。


上の開口部から日光がある程度は降り注いでいるので、あまり暗くはない。


そうした空間は、少し()んやりとしている。


土壁の北/東/西には[洞穴(ほらあな)]が見受けられた。


あのどれもが、何処かしらに通じているのだろう。


ちなみに、坂の終始点は南西あたりで、南側一帯が池だ。


ヴァイアの父君である“ドォーゴ竜王子殿下”によれば、ここは[九合目]らしい。


それと、〝溜まっている水は、外に流れ出し、川になっている〟とも。


こう説明してくれた殿下が、


「では、三つの班を作るとしましょう。」


そのように皆を促す。


よって、チーム分けが話し合われていく……。



北は、“僕/教育係/お世話係/マンティコアのラバス”と、“リーシア姉上&そのお世話係”や、“イグルと父親”に、ドォーゴ殿下となった。


東の班は、ハイドワーフの“先生/トラヴォグ公爵/次男のエベルクさん/四女のフィネルンさん”に、天空人族の“アンヌと母親/アンヌのお世話係”や、ヴァイアの三兄(さんけい)にあたる“ガオンさん”となっている。


西は、“ルシム宰相/アシャーリー&父親/アシャーリーの教育係”と、“セゾーヌ”や、“兎の獣人 カトリーヌ”に、“ヴァイア”と“竜人の双子さん”だ。


アンヌと別々になったのは残念だけど、いろいろと考慮した結果なので、一応は理解している僕だった。


さておき…。


「亜空間収納よ、小規模で開きたまえ。」


アイテムボックスから取り出した[懐中時計]を確認した殿下が、


「現在、九時五分あたりです。」

「十一時半を目途(めど)に、ダンジョンの外、山頂に集まりましょう。」

「瞬間移動を使って。」


こう告げる。


全員が承知した事で、それぞれに歩きだす……。



[光属性]を備えている数名が【ライト・ボール】で照らしてくれているなか、やや幅広の一本道をゆく。


先頭は、聴覚に優れている“黒猫の獣人 ユーン”などのお世話係だ。


その次が“僕/教育係達/ラバス/イグルと父親”の集団となっていた。


これに、姉上&お世話係が続いている。


ドォーゴ殿下は最後尾だ。


姉上やイグルの[武器と防具]は、いつもどおりトラヴォグ公の所に依頼しておいた。


なお、どちらの作りも軽装となっている。


姉上は取り敢えず[弓矢]になさるらしいけれど、状況によっては[(ムチ)]に変更するおつもりだそうだ。


一方、イグルは、[槍]を持っていた。


僕の右隣にいる彼は表情が硬張(こわば)っている。


「大丈夫?」


心配する僕に、


「あ、うん。」

「じゃなくって…、はい。」


そうイグルが返す。


「今は敬語じゃなくていいよ。」

「友人としての接し方で構わないから。」


僕が許可したところ、


「……。」

「初めての実戦のとき、どうだった??」


いささか不安そうに質問してきた。


「ま、正直、怖かったね。」

「でも、一緒にいたメンバーが補佐してくれたから、結局は平気だったよ。」


こう伝えると、


「そっか。」


了得(りょうとく)したらしい彼が、〝ふぅ――〟と息を吐く。


緊張を(ほぐ)したかったのだろう。


そうしたところで、


「ライトボールに照らされてキラキラしている箇所が上下左右に幾つもあるけど…、(キン)よね?」


姉上が誰ともなく疑問を投げ掛けられる。


それについては竜王子殿下が、


「ええ、そうですよ。」

「ただ、まぁ、どれも小粒なので、新しくできて間もないみたいですね。」

「こういうのは、だいたい、成長するのを待ってから採取します。」

「なので、我々も、ここでは何もせずにおきましょう。」


こう述べた。


そのため、僕らは足を止めることなく先へと進んでいく―。


To Be Continued・・・・


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