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第211話 漸進⑪

次の日の朝。


[オオクニヌシ(じま)]から、あるヒトたちが、こちらの都に赴いている。


アシャーリーの所の“女性魔術士”による【テレポーテーション】で。


そうしたメンバーは、[チキュウビストロ関連店]の従業員一同だ。


[ルワーテ/リジュフィース/ビアクト/グラールス]の全スタッフが来ていた。


[都の飲食店]で接客の仕方などを教えくれるために。


なお、“大公家の元料理長”の[リヌボ]からは、一人も呼んでいない。


意地悪とかではなく、あそこで扱っているメニューに制限があったりと、形態がいくらか異なるからだ。


さておき。


どこも、二日に亘ってレクチャーしてもらい、三日目にプレオープンする予定となっていた。


こうした間、彼ら彼女らの店舗が休みになるので、地元のヒト達には申し訳ない…。



どのお店も若干のトラブルはあったものの、なんとか上手くいったそうだ。


反省点を確認し合い、明日には正式に開業となる。


お城にて、携わってくれた“オオクニヌシ島のヒトたち”に報酬を支払う。


その流れで、〝新しく造る帝都にも飲食店を建設するから移住してくれないか?〟〝それぞれに運営を任せたいので〟〝今すぐというわけではないから考えておいてほしい〟といった旨を告げる僕だった……。



一週間が過ぎた午前。


お庭に、いつもの顔ぶれなどが[防具]と[武器]を装備して集まっている。


[竜人のドゥユール王国]で実戦を兼ねて(キン)を採掘するため。


これに、“リーシア姉上&お世話係達5名”が、参加することになった。


あと、“イグル”に“父親”も。


イグルの弟にあたる“イリース”は、お城でエルーザと[鍛練]や[勉強]を行なう。


要は、お留守番だ。


そんな状況にて、【テレポート】で現れたヒトたちがいる。


“ヴァイア/三兄(さんけい)のガオンさん/ドォーゴ王子殿下/双子の兄妹 ドッシュさん&ラッスさん”だ。


こうした竜人族も武装していた。


とにもかくにも。


ヴァイアなどの父君であるドォーゴ殿下に、


「お久しぶりです。」

「本日は、よろしくお願いします。」


僕は頭を下げる。


「ええ、こちらこそ。」


微笑みながら会釈してくれた殿下が、


「お揃いですか??」


そのように窺ってきた。


「はい。」

「問題ありません。」


僕が返したところ、


「それでは、早速ではありますがダンジョンの出入り口付近に渡るとしましょう。」

「場所は“山脈の頂上”となりますので、あしからず。」


皆に伝えた殿下が、


「時空よ、我らに狭間の境界を越えさせ、彼方(かなた)へと導け。」


直径10Mといった【魔法陣】を足元に構築していく。


これは[中規模]だ。


“妹のエルーザ/その教育係&お世話係”に、イリースは、離れた位置でお見送りしてくれている。


そうしたなか、


「瞬間移動。」


ドォーゴ殿下が魔法を発した…。



空は晴れており、風が吹いている。


僕らの少し前方の地面は、大きく陥没していた。


背後で“天空人族のアンヌ”が、


「カルデラみたいですね。」


こう述べたので、振り向いた僕は、


「うん。」

「間違いなく。」


そのように同調する。


「では、進みましょう。」


穏やかに促した殿下を先頭に、全員が[穴]へと歩きだした……。



[土の坂]が、螺旋状に続いている。


傾斜は割と緩やかだ。


これを(くだ)りながら、


「へぇー、内部はこうなってるんだぁ~。」

「面白ぉーい♪」


“兎の獣人 カトリーヌ”が愉快がった。


今回、彼女の“両親と兄”は急用ができたらしく、訪れていない。


正確には、カトリーヌを【テレポーテーション】で連れてきた父が、すぐに帰っている。


なんでも、近隣で“ゴブリン”が大量発生したそうで、〝祖父母が経営する冒険者ギルドにて依頼を受けたので討伐に加わる〟との事だ。


まぁ、それはおいといて…。


「“ラドン竜王陛下”は御多忙であられるのでしょうか?」

「てっきり、お越しになられるものとばかり思っておりましたので。」


姉上が何気なくお尋ねになられた。


すると、ドォーゴ殿下が、


「公務中ですからね。」

「本人は行きたがっていましたけど。」

「ただ、国王である父上でなければ措置できない案件もあるため、説得して残ってもらいました。」

「私は代理といったところです。」

「同盟国の帝王陛下と姉君が来られるとなれば、それなりの身分の者が対応しないと礼儀を欠くことになりますので。」


優しく答えてくれる。


ちなみに、坂道の下側は、無数の[鍾乳石(しょうにゅうせき)]がつらら(・・・)になっていた―。




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