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第206話 来訪⑧

翌日のお昼過ぎ、“イグル”が【テレポート】してきた。


家族を連れて。


そのため、僕達は[客間]で語らってゆく。


なんでも、彼らの本家にあたる[商会]では、早速、[カカオ]と[小豆(あずき)]の入手に乗り出してくれたらしい。


これらをゲットすべく、従叔父(いとこおじ)の人が、冒険者仲間と共に、旅立ったのだとか。


それと、祖父母などから移住の許可が下りたそうだ。


あちらにしても〝アレルギーに効果のある薬が完成するのであれば喜ばしい〟との事で。


このため、都で[ポーション類]を製造販売しているスタッフ(従業員)たちを、お城に急ぎ呼び寄せる……。



[玉座の間]にて。


跪いているのは、“エルフの男性/ハーフエルフの女性/人間の男女”だ。


そうした計四名から、少なからず緊張の色が窺えた。


けれども、召集した理由を知らせたところ、安堵しだす。


どうやら〝何か罰せられるのかも??〟と危惧していたらしい。


前もって伝えていなかったことを反省する僕だった。


ま、いずれにしろ。


彼ら彼女らが、こちらの案を快諾してくれる。


よって、[ユニコーン車]や[馬車]で店舗に向かう僕達だった…。



お店の外で何人かの兵士が待機している。


[ユニコーン車]から降りた“僕/リーシア姉上/妹のエルーザ”に、兵隊が最敬礼した。


すると、眺めていたヒト達がざわつきだす。


次の瞬間、同行してくれている“隻眼のベルーグ将軍”が、


「ラルーシファ帝王陛下と、その御姉妹であらせられる!!」


そう告げた事で、民衆が慌てながら[石畳(いしだたみ)の道路]に膝を着く。


「……、ラクにせよ!」


このように許可した僕を筆頭に、数名が店内へと足を運ぶ。


なお、“マンティコアのラバス”は、お留守番している。


あと、“各お世話係”の殆ども。


一緒に来ているのは、それぞれのリーダーだ。


僕の所であれば“黒猫の獣人 ユーン”のみとなっている。


訪問者が多くなりすぎるのを()けたかったので…。



建物を気に入ってくれたイグルたちは、近日中に引っ越してくるそうだ。


それを、従業員らが大歓迎した。


今後は、勿論、“イグルたちの父親”が店主を務める。


あと、イグルや従業員は、月に何度か、お城に赴いてもらうことになっていた。


[アレルギーの処方薬]を研究するために。


これに関しては、担当を任せているハーフエルフの“リィバ科学技術大臣”と、いろいろ相談しながら進めてもらう……。



二日が経ち、イグルファミリーは都での生活を始めている。


[家具]や[食器]などはイグルと両親それぞれが【アイテムボックス】に収納して持ってきたらしく、ラノワマ(もと)宰相と繋がっていた“例の親子”が使っていた物は処分したらしい。


また、[ルゥターン王国]で暮らしていたお家には、祖父母が住むようになったのだとか…。



三日後。


主だったヒトが[合同鍛練]で集まった。


暫く汗を流したところで、


「あにうえー。」

「イリースにも、やらせてあげたい~。」

「みてるだけじゃ、つまらないだろうし。」


こう“妹のエルーザ”が声をかけてくる。


おさらいとして、“イリース”は、イグルの弟だ。


父親と(すみ)で見学していた。


それを気にしたらしいエルーザが、僕に提案してきたというわけだ。


ちなみに、妹は、僕の事を“兄様(にいさま)”から“兄上”と呼ぶようになっている。


さておき。


「恐れながら!!」

「イリースは七歳になっておりませんので鍛練などを始めるには少し(はよ)うございます!」


父が慌てながら止めに入った。


「だいじょうぶ。」

「わたしもまだ6さいだから♪」


〝ニカッ〟とする僕などの妹に、


「あ、いや、エルーザ殿下は、帝王家の血筋であらせられますので。」


イグル兄弟の父親が、困りだす。


こうしたところに、


「できるだけ戦力を増やしておくのがよろしいみたいですよ。」


突然そのように聞こえてくるなり、この場に居るヒトらが跪く。


状況を理解できずいるイグル達に、


「パナーア様だよ。」

「“癒しの女神”の。」


僕が教えると、驚きながら地面に膝を着いた。


「皆さん、構いませんので、ご起立なさってください。」


そうパナーア様が仰せになられたことで、誰もが姿勢を戻していく。


……、【アイテムボックス】から取り出した[レシピ]を手渡した僕が、


「先程のは、どういう意味でしょうか?」


このようにお伺いしてみたら、


「ん??」

「あぁ。」

「時空神によれば〝今のうちから優秀な人材を育成しておくのがいい〟との事でした。」

「ラルーシファさんが国の制度を変えるのであれば、問題ないかと。」

「何せ、帝王ですからね。」


優しく微笑まれる“癒しの女神様”だった―。


To Be Continued・・・・


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