第201話 巡り会い⑦
二日後の朝。
やや曇りのなか、[合同鍛錬]のため、主だったヒトが、お城に集まっている。
なお、新たに、“アシャーリー”は [ハンバーガー/チキンナゲット/オニオンリング]や[スコッチエッグ]を、“セゾーヌ”が[調味料]を、持って来てくれた。
あと、これらの[レシピ]も。
[アイテムボックス]に収納して。
ハンバーガーは[通常のモノ]や[チーズ]に[フィッシュ]があるらしい。
そのどれにも〝ピクルスは入っていない〟とのことだ。
厳密には、ついこないだセゾーヌが完成させた[液体]に、いろんな野菜を漬け込んでいる最中なのだとか。
とにもかくにも。
僕らは、[第二広間]で揃って昼食を摂る運びになった……。
▽
[ハンバーガー]は、各自、具材の好みで選んでいる。
なんにせよ。
至る所から「んあッ?!」や「ぬおッ!!」といった声が聞こえてきた。
この世界のヒトたちが驚いた流れで瞳を輝かせ感動している☆
僕などの“転生組”も、久しぶりの味に喜んでいた。
“隻眼のベルーグ将軍”と“マンティコアのラバス”は[チキンナゲット]の虜になったみたいだ。
ただし、[マスタード]は、まだ存在していない。
〝生成するのに白ワインが欠かせない〟といった理由にて。
[ワイン各種]は、昨年に先生の地元で酒造されており、秋まで寝かせているところだ。
一方で、[バーベキューソース]はセゾーヌによってもたらされている。
アシャーリーもセゾーヌも、割と前に、先生の【特殊スキル】にて[本]を取り寄せてもらっていたので、何かと試しているそうだ。
ちなみに、[スコッチエッグ]は配膳されていない。
晩ご飯にするつもりなので。
それはさておき。
「シェイクが飲みたいなぁ。」
ふと呟いた僕に、
「あれは、アイスクリームが必要なので、カトリーヌの専門分野になるかと。」
こうアシャーリーが述べた。
それによって大半に注目された“兎の獣人”が、
「作るにはマイナス18度でないと厳しいんだよねぇー。」
「“氷室”だと、アバウトで、マイナス10度前後だから。」
「“地球の冷凍庫”みたいなのがあれば、可能だと思うけど。」
このように説明する。
「冷凍庫ですか…。」
「製造するにしても、電気が無いと動かないので、無理でしょうね。」
少なからず難しそうな顔つきになられた先生を筆頭に、“元日本人”の僕らも残念がる。
そうしたなか、ハーフエルフである“リィバ科学技術大臣”が、
「なんです??」
「それらは?」
どこか〝ワクワク〟しながら尋ねてくる。
このため、僕らは、いろいろと教えてゆく……。
▽
[電気/冷凍庫&冷蔵庫/アイスクリーム/シェイク]に関しては一旦おいといて。
ハンバーガーなどは、テイクアウトできるよう、多めに用意されていた。
“竜王”と“天空女王”には、それらを食べてから、[レシピ]を買い取るか決めてもらう。
“竜人のヴァイア”によれば、
「間違いなく購入するだろう。」
との事だ。
これに、“天空人族のアンヌ”が深めに頷く。
先生などの“ドワーフ族”や、カトリーヌ達は、[スサノオ帝国]と同盟を結んでいないため、今までどおり〝食べたいときは予め注文しておく〟という話しになった。
そんなこんなで、本日は解散となる…。
▽
夕食時。
[スコッチエッグ]に誰よりも至福の表情を浮かべたのは、“細長眼鏡のマリー副将軍”だ☆ミ
余談になってしまったけれど……。
▽
翌日。
午前に“ラドン竜王”が、午後には“ロザーラ女王”が、[調理法]を求めて訪れた。
補足として…。
▽
五日が経っている。
青空の下、庭で[合同鍛錬]を行なっていた。
そうしたところへ、城兵の1名が、数人を案内してくる。
「陛下の知り合いであろう方にございます。」
こう報告した“男性兵士”の背後に、人族の5名が佇んでいた。
男の子2名と、大人の男性2名に、大人の女性1名で、服装は平民のものだ。
とは言え、[ある程度お金持ち]といった印象の装いだった。
そのなかの、1人の少年が、
「僕は“イグル・バジ”です。」
「前世での名前は、“宇留間洵”でした。」
こう名乗る。
[ショートヘアー/眉/瞳]はライトブラウンで、[肌]は白い。
その男子に、
「おー。」
「宇留間君ですかぁ~。」
いち早く反応なさる先生だった―。




