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第194話 来訪⑦

あれから三日が経った午前。


[合同鍛錬]のため、いろんなヒト達が城内に集まって来る。


そうしたなかで、“アシャーリー/セゾーヌ/兎の獣人 カトリーヌ”は[レシピ]を、“先生”が[調理器具]や[設計図]を、持ってきてくれた。


“神様がた”や“天空人”に渡すための物だ。


天空人にあげるのは【同盟】を結んだあとになるため、


「なんか、ごめんね。」


僕は“アンヌ”などに謝りながら【亜空間収納】に品々を入れていく。


「いえいえ。」

「そういう約束ですので、お気になさらないでください。」


優しく微笑むアンヌの可愛さに〝キュン〟とさせられる僕だった……。



午後。


僕は、姉上と共に、[大執務室]で仕事している。


ふと[豪華絢爛(ごうかけんらん)柱時計(はしらどけい)]に目を向けてみたら、PM14:55あたりになっていた。


こうしたところへ、“癒しの女神 パナーア様”と“闇ノ神 カッティ様”が【テレポート】で現れる。


僕と姉上はもとより、暇そうにしていた“妹のエルーザ&マンティコアのラバス”や、待機している“各お世話係”が、気づく。


ラバスが若干ながら身構えるなか、


「カッティさまぁ~♬」


再会に妹が喜ぶ。


一方で、


「エルーザ♪」


“闇ノ神様”もまた嬉しそうにしておられる。


僕や姉上が急ぎ起立すると、


「帝王への即位や、竜王との同盟など、諸々(もろもろ)、おめでとうございます。」


パナーア様が穏やかに寿(ことほ)いでくださった。


「ありがとうございます。」


深々と頭を下げた僕に、姉上と“各お世話係”が(なら)う…。



僕らは[第一客間]へと足を運んだ。


そうして、冷たい[珈琲(コーヒー)]や[紅茶]と、 [(イチゴ)のショートケーキ]が、配膳される。


[ケーキ]には、僕の姉妹だけでなく、パナーア様とカッティ様も、瞳を輝かせた☆



食べ終えた女性陣が、至福の表情で余韻に浸っている。


ラバスは欠伸(あくび)していた。


【アイテムボックス】をオープンした僕は、取り出した[調理関係の代物(しろもの)]を、


「どうぞ。」


パナーア様に(たてまつ)る。


「まぁ、まぁ、すみませんねぇ~。」

「みぃーんな楽しみにしていましたので、助かりますぅ~。」


〝ニコニコ〟なさったパナーア様が、


「お礼に、“時空神”に見てもらった情報を提供しましょう。」

「……、まず、貴方がたは、国内の領主さんたち殆どに、お手紙を送ったそうですね?」

「こちらの現状はもとより、恭順や降伏を促すなど、何かと(したた)めたものを。」


このように伺ってこられた。


それに、


「はい。」


僕は頷く。


あの“男性魔術士”を投獄した後に、“僕/姉上/数名の大人”で作成したものだ。


ま、以前にも、信頼できそうなヒト達には、僕の下に付くよう、書状を出したけど、返答は一つもない。


おそらく、判断に迷っているか、未だ届いていないのだろう。


こうしたなか、今回は、敵対勢力にも、郵便で配っている。


〝都で執行(しっこう)した公開処刑〟や、〝帝王の家臣になれば死罪だけは(まぬが)れる〟〝爵位の降格、領地と家財(かざい)の半分を没収、それだけで済ませてやろう〟といった旨などを。


父の弟で三男にあたる“ライニル叔父上”と、“ラノワマ(もと)宰相”は、身分の永久剝奪や、〝命をもって償わせるべし〟などの方針が、評定(ひょうじょう)で決まっていた。


それらを踏まえ、


「やがて、東方領は、六割ぐらいが、ラルーシファさんに(ふく)すみたいです。」

「中立を保っているヒトたちも含めて。」

「その動きで切羽(せっぱ)詰まった“従叔父(いとこおじ)さん”と“元宰相さん”が、ラルーシファさんを討とうと、画策します。」


こうパナーア様が説明してくださる。


それには姉上が、


「争っている“ラハージャ”と“ラノワマ”が手を組む、ということですか??」


僕より先に反応なされた。


この流れで、


「ええ。」

「ここからは、それについての詳細を、お聞かせしましょう。」

「とは言え、未来は変わりますので、絶対ではありませんが。」


パナーア様が告げられる。


(そば)ではカッティ様とエルーザが友達かのようにお喋りしており、ラバスは床で〝ウトウト〟していた…。



「――、それと。」

「〝遷都(せんと)するのであれば、北東の候補地が最も()い〟との事でしたよ。」


そうパナーア様が締め括られる。


「了解しました。」

「いろいろと教えてくださり、感謝いたします。」


僕は当然ながら、姉上も、お辞儀したところで、


「では、そろそろ戻りましょうかね、カッティ。」


パナーア様が従姪に声をかけられた。


ちなみに、“従姪”は“じゅうてつ”や“いとこめい”と呼ぶ。


とにもかくにも。


満足げにお帰りになられる“二柱(ふたはしら)”だった―。


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