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第193話 真相④

僕が“帝王”に即位してから二日が過ぎている。


お昼を終えた数十分後。


[自室]に届いた報せによると、何人かの兵士が、ある者を連行してきたらしい。


例の[ポーション(薬品)店]を張り込んでいた際に、【テレポート】で現れた“魔術士”を、捕まえたのだそうだ。


これによって、控えていた“お世話係たち”や、“マンティコアのラバス”と共に、[玉座の間]へと向かう僕だった…。



上半身を麻縄で縛られ、床に両膝を着かされている男性は、40歳あたりだろう。


その左右と背後に計四名の兵が佇んでいる。


男を逃がさないために。


こうした状況の魔術士がラバスに(ひる)んでいたところへ、“リーシア姉上”と“妹のエルーザ”が、それぞれの“お世話係”を伴って訪れた。


この流れで、


「“ラノワマ()宰相”の配下に間違いないわね?」


姉上が訊かれる。


「ん??」

もと(・・)?」


首を軽く傾げながら呟いた男性に、


「あぁ、まだ知らないわよね。」

「いいわ、教えてあげる。」


[スサノオ帝国]と[オオクニヌシ(じま)]や、[新しい各大臣]に、[竜人のドゥユール王国]との同盟を、簡略的に説明していかれる姉上だった……。



「なんと…。」


男が目を丸くする。


おそらく、竜王達が僕の味方に付いていることが、なかでも特に驚きだったのだろう。


そんな魔術士に、


「ところで。」

「ラノワマは、今どうしているのかしら??」

「正直に答えたが身の為よ。」


姉上が問われた。


少し考えた男性が、意を決したかのように語りだす。


〝このまま元宰相に従い続けるのは得策ではない〟と思ったのかもしれない。


なにはともあれ。


現在の[東方領]が判明していく……。



男によれば、あちらの四割を元宰相が押さえたそうだ。


三割は、父上などの従兄弟(いとこ)である“公爵”が手中(しゅちゅう)に収めたらしい。


僕らにとっては従叔父(いとこおじ)にあたる人物で、名を“ラハージャ”という。


「正義のために謀反人(むほんにん)ラダンを(ちゅう)す」として挙兵したらしいけど、実のところは〝王座が欲しいだけ〟みたいだ。


こうしたラハージャ公爵と、ラノワマ元宰相が、[東方領]の覇権をめぐって争っている、との話しだった。


残りの三割は中立を保っているらしい。


なお、元宰相は、ラダン兄上が既に亡くなられている事を把握しているものの、その件は隠しているのだとか。


これに、


「公表すると離れていきかねない者たちが多々いるからでしょうね。」


と、姉上が推測なさる。


「ぼ…、()からも確認しておきたいことがある。」

「そなたは、もしかして、約二年前、この城の庭で余などに“爆発の玉”を放った者ではないか?」


なんとなく魔術士に探りを入れてみたら、


「……、はい。」


観念したように頷いた。


当たっていた事に内心ビックリする僕とは対照的に、


「それは万死に値するわね!」


姉上が怒り混じりで述べられる。


「誠に申し訳ございませんでしたぁーッ!!」


[レッドカーペット]に額を付けて謝罪した男性が、


「全てはラノワマ閣下の指示によるものなので、どうか命だけ御勘弁をーッ!」


そう懇願した。


いささか哀れんでしまい、


(おもて)を上げよ。」


このように促した僕は、


「やはり、余の暗殺を企てたのは元宰相か??」

「だとすれば、“毒矢”に刺さったのは自作自演だな?」


話題を変えてみる。


すると、


左様(さよう)にございます。」


あっさり肯定した。


んー。


元宰相に忠誠を誓っているヒトって殆どいないのだろうか??


逆に心配してしまう。


ま、同情はしないけれど…。


更に聞いてみたら、僕の殺害に失敗したメンバーは、元宰相の判断にて、身を隠したそうだ。


父上による捜査が厳しくなったので。


暫くしてそれが緩まってきたところで元宰相に言われ、僕が何処(どこ)に避難しているのか国中を調べ回ったらしい。


ちなみに、[旧タケハヤ(しま)]に渡っていたのは盲点だったようだ。


[イズモ旧王家]と[大公家]が、あまり交流しなくなっていたのもあって……。


「成程ね。」

「まぁ、いろいろと白状したから、死刑は免除してあげましょう。」


そう喋られた姉上が、


「〝ひとまず投獄する〟ということで、よろしいですね? 陛下。」


僕を窺われた。


「え??」

「あ、はい。」


承諾した僕は、


「そのように致せ。」


兵達に告げる。


これに、「はッ!!」と応じる四名だった―。


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