表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
190/214

第190話 交錯するもの⑲

我は、ラバス。


“マンティコア”である。


(あるじ)が姉妹などと再会してから、慌ただしくなった…。


なんという事であろう。


“ルファザ”とかいう主がたの祖父の所に赴いたところ、我を撫でる者が新たに加わってしまったではないか!


“エルーザ”と共に我に触れておるのは“ルーシー”とかいう小娘だ。


兄の“ファルン”とやらは、おとなしく“リーシア”の話しを聞いておるというのに。


ま、別に構わんがな。


こうした2人は、主などの“従兄妹(いとこ)”らしい。


それがどういうものなのかイマイチよく分からん我ではあったが、あとあと主が説明してくれたことによって理解できた。


主を始め、いろんな者が何かしら教えてくれるので、我の知識は増えておる!!


むっふん!


……、さておき。


我らは、主が生まれ育ったという[ダイワ王国]とやらに渡った。


主の命を狙う無礼者らを成敗したりしつつ目的地へと向かう。


このような日々を過ごすなか、ハイドワーフなどが改良した[甲冑]を着けてもらった我は、主を背に乗せ宙へと浮いてゆく。


ちなみに、[武器]は“トラヴォグ”が作っておるが、[防具]は“長男のトラウボン”が担当しているそうだ。


いずれにしろ…。


[神剣(しんけん)ムラクモ]なる(もの)を抜いた主が、【閃光貫(せんこうかん)】とやらを発した。


かなりの力を感じる。


神に匹敵するのではないか?


残念ながら“カティーア”とかいう武神には及ばんだろうが。


それよりも、我の背後で姿を変じている“竜王”などに対して本能的に恐怖を覚える。


特に“ラドン”と闘おうものなら、ほんの数秒で倒されてしまうに違いない。


こう我が考えている一方、陸では“エルーザ/ハーフエルフのリィバ/兎の獣人 カトリーヌ”あたりが「竜だ!!」「竜だぁ―ッ!」とはしゃいでおった。


なお、カトリーヌによって[スイーツ]とやらがもたらされている。


我は、あまり好みではない。


とは言え、嫌いでもないため、常に完食していた……。


[城]に辿り着く。


主がたの両親や兄が亡くなったそうだ。


夜。


[ベッド]で主が涙をこぼす。


心配して近寄った我に、「大丈夫だよ…」「うん、大丈夫」と述べる。


まるで自分に言い聞かせるようにして。


……、あるときの朝。


[便所]から戻ろうとしていた我は、遠くで何やら周りを気にしている人間を見かけた。


もしや“内通者”とかいうものではなかろうか??


怪しすぎるソヤツを捕らえた我に、リーシアが褒美として[カラアゲ]を提供するよう指示してくれる。


嬉しい限りだ♪


それから暫くすると、国の名が変更された。


主は“帝王”とかいうものになっている。


正直、[式典]とやらは退屈でしかなかったが、[(うたげ)]は愉快なので何度でもやってもらいたい―。



儂は“レオディン・セル―ロ”である。


“ラダン殿下”の謀反(むほん)には、愕然とさせられてしまった。


(聞き間違いか?)と疑うほどに。


じゃが、儂以外も目を丸くしておったので、事実だと悟った。


ここから、リーシア殿下が手腕を発揮なさる。


ご立派だ。


無論、御父君(おちちぎみ)の意志を受け継がれた“ラルーシファ王陛下”も…。


“ルシム大公殿下”が紹介してくださったのは“初代ラダーム様に仕えた近衛衆(このえしゅう)の末裔達”だった。


それには“細長眼鏡のマリー殿”が誰よりも瞳を輝かせる。


まぁ、おいといて。


[南方領]で“ルファザ侯爵閣下”と合流した儂らは、北上していく。


夜討(よう)ちを仕掛けてきた不届き者などを懲らしめつつ……。


“巨大な竜”は壮観だ!!


リィバ殿が夢中になるのも頷ける。


しかぁーしッ!


儂にとっては[ムラクモ]から放たれる【閃光】のほうが心躍るというもの!!


[ダイワ王国]が地元の者であれば同じ思いじゃろうて!


……、うむ。


竜にも興奮するわな、確かに…。


ラダン殿下が自害なされた。


これによって、[王宮魔術師統括責任]の座を儂に譲った“バルリック・マハーナ”は、城を去ったのである。


旧友の悲しみが伝わってきた儂も胸を痛めた……。


ラルーシファ陛下の生誕を祝う会が催される。


カトリーヌ嬢を中心に調理したという[(イチゴ)のショートケーキ]とやらが美味い!!


余談になるが、「和菓子(わがし)が好きなヒトもいるだろうから、いつか作ってみたい」とのことだ。


なんでも、日本が発祥なのだとか。


どういうものなのかは想像しきれんが、また1つ長生きする楽しみができた…。


ラバスの活躍によって“内通者”が拘束される。


ソヤツが持っていた紙には[暗号]が書かれてあったが、ラルーシファ陛下が読み解かれた。


あの【特殊スキル】がこういう事にも役立つのが判明し、儂は大喜びしたのである♬


すぐに自制したが……。


リーシア殿下が[遷都(せんと)]なさる意向を告げられた。


更には、新たな[大臣]や[爵位]が発表される。


これによって、儂は[魔法大臣]と[伯爵]になった。


責任が重い。


女性ハーフエルフの“ジア・シエント殿”が[魔法副大臣]として補佐してくれる運びになってはおるが、儂に務め上げられるだろうか??


不安である。


じゃが、(ラルーシファ陛下のためにも必ずや良き働きをしてみせる)と誓う儂であった。


そんなこんなで、[スサノオ帝国]は、門出(かどで)を迎える―。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ