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第19話 初めての島にて・結

僕はページを捲っていき、


「あった、これだ。」


[神剣(しんけん)ムラクモ]について記されていた箇所を見つける。


そこには…、


〝もともと此の剣を所有なさっておられた武神様によれば、柄より神力を流し込むとのことであった〟

〝なお、神力は、神通力とも呼ばれておる〟

〝話しを戻すと、魔術士らが専用の杖に魔力を注ぐかの如く成さねばならぬ〟

〝これによって剣身は神秘の光りを宿す〟

〝その状態で、剣を縦や横などに振るえば、光は弓なりに飛び、対象者を斬る〟

〝また、突きを繰り出せば、一直線に放たれた光が、敵を貫通す〟

〝故に、余は、これらを閃光斬に閃光貫と名付けた〟


こう書かれていた。


僕が伝えた事によって、


「“閃光斬(せんこうざん)”と“閃光貫(せんこうかん)”ですか!??」

「興味深いですね!!」


リィバの両目が〝キラキラ〟しだす。


「“神力(しんりき)”あるいは“神通力(じんずうりき)”というのは……?」


それとなく質問するマリーに、


「“神法(しんぽう)”を使う際の力であろうな。」

「儂らに置き換えるならば“魔力”に該当するのじゃろう。」


レオディンが答えた。


「どうりで、これまで発動できなかった訳だ。」


苦笑いしたのは、ベルーグだ。


「ま、初代国王が本に残してくれていたお陰で判明したことだし…。」

「やってみせてください!」

「ラルーシファ王子!!」


より一層に瞳を輝かせるリィバの頼みを、


「いや、ムラクモは、大人用で重たいから、僕には上手く操れないんじゃないかな??」


やんわり断ろうとしたものの、


「後生ですからぁあ――ッ!!!!」

「お願いしますよぉお――ッ!!!!」


駄々(だだ)()ねられてしまった。


「えぇ~?!」


僕が嫌がるなか、


「儂も興味ありますな。」


ルシム大公が、リィバを援護してしまう。


更には、僕の“教育係”と“お世話係”が〝うん うん〟と頷く。


〝はぁー〟と溜息を()いた僕は、


「じゃあ、一回だけだよ??」


全員を窺う。


「では、庭にて。」


こう提案した大公に、


「いえ、どれほどの威力なのか分からないので、都市外のほうがよろしいでしょう。」

「周囲に被害が及ぶかもしれませんので。」


マリーが意見する。


「となると、ユニコーン車を手配する必要がありますね。」


そのようにユーンが喋ったところ、


「いや。」

「“瞬間移動”を扱える者に声をかけて、この館から赴くと致そう。」


ルシム大公が告げた。


これに対して、


「でしたら、儂が行ないましょう。」

「タケハヤ(しま)には、それ(・・)で渡ってきましたので。」

「それに……。」

「今はまだ、ラルーシファ殿下の情報があまり洩れないように慎重を期しておきたいのです。」

「まぁ、いずれは広まってしまうでしょうがな。」


レオディンが説明する。


それを受け、


「ふむ。」

「成程のぉう。」


理解を示す大公だった…。



一階のエントランスで、レオディンが魔法を用いる。


ちなみに、“例の紳士”などは、お留守番だ。


いずれにしろ。


僕達は、初日に訪れた場所へと【テレポート】していた。


つまり、[南門]の近くだ。


「この距離だと、いささか人目が気になりますね。」


マリーの指摘によって、


「ならば、もう少し南下するとしよう。」


こう促すルシム大公だった……。



暫く歩いた僕らは、適当な場所で足を止める。


「アイテムボックス、オープン。」


“縦40㎝×最大横幅20㎝”といった[楕円形で白銀色の渦]を出現させた僕は、両手で掴んだ剣を引っ張った。


ベルーグに協力してもらいながら抜いた[ムラクモ]の先端を地面に着けて、


「それで?」

「どうすればいいの??」


僕がレオディンに視線を送ったところ、


「そうですなぁ。」

「“魔法の杖”と同じ要領であれば…。」

「〝神法陣を構築するときの感覚で〟としか言いようがございません。」


そのように返されてしまう。


困惑した僕ではあったけど、なんとなくイメージしていく。


すると……、剣身が“金色”に輝きだした。


これ(・・)、どうしよう?」


誰ともなく尋ねた僕に、


「現時点でのラルーシファ殿下は、空に向かって払い上げるのが精一杯でしょう。」

「もしかしたら、飛行中のペガサス便かモンスターに直撃してしまうかもしれませんが…。」


ベルーグが述べる。


「えッ??」


おもわず固まってしまった僕を、


「きっと大丈夫ですよぉー。」

「ささ、王子。」

「〝どぉ~んッ〟といっちゃいましょう!!」


リィバが〝ニコニコ〟しながら(あお)ってきた。


他に方法が無さそうだったので、


(当たったら、ごめん!)


心の中で謝った僕は、[ムラクモ]を下から上に振るう。


これによって、最大幅10㎝×長さ2Mといった“金色の閃光”が三日月状に放たれる。


その反動で僕が草原に背中を打ち付けるなか、居合わせたメンバーは[閃光斬]に〝おお――ッ!!!!〟と興奮していた。


とりあえず立とうとした僕は、途中で〝ガクンッ!!〟と脱力して、前のめりに倒れ、両手を地に着く。


こうした容態が視界に入ったらしく、


「ラルーシファ様!?」


ユーンが案じる。


「魔力、いや、〝神力切れ〟かもしれん。」


そう推測したレオディンが、


「亜空間収納よ、開くべし。」

「……、殿下、こちらを。」


(せん)を抜いた[透明の瓶]を差し出す。


どうにか座った僕は、中身の“ピンク色の液体”を飲み干していく。


「如何ですかな??」


レオディンに心配されながら、改めて起きようとするも、無理だった。


「うぅ~む。」

「〝魔力回復ポーションは神力には効かない〟ということか。」


このようにレオディンが呟いたところで、


「館に帰り、安静にしていただくのはどうだ?」

「さすれば、徐々に治っていくかもしれん。」

「魔力がそうであるように。」


大公が勧める。


その考えに、皆が賛同したようだ。


ベルーグが[神剣]を拾ってくれるなか、


「時空よ、我らに狭間の境界を越えさせ、彼方(かなた)へと導け。」


こう唱えるレオディンだった―。


[神通力]

読み方:じんずうりき/あるいは「じんつうりき」とも

※ネット調べ


あしからず。


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