第188話 儀礼
“竜人族/ドワーフ族/天空人族/兎の獣人族”に、お城の料理人達が作った品々が渡される。
今や集合場所は[王城]であって、[大公の館]ではないからだ。
基本的には代金を収めてもらったのだけど、“トラヴォグ公爵”は一部を[ビール]と交換していた。
お酒が飲めるヒトらは喜んでいるけれど、そうではないメンバーもいるので、ある程度は[金貨]で支払ってくれている…。
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皆が帰り、昼食を済ませて暫くすると、母方の祖父である“ルファザ侯爵”が訪れた。
お抱えの魔術士による【テレポート】で。
[客間]にて、僕と“リーシア姉上”が応接する。
“妹のエルーザ”はお昼寝中で、“マンティコアのラバス”などが付き添ってあげていた。
……、いずれにせよ。
「ゆくゆくこの都を担当する事や、総務大臣の件、承ります。」
「ですが、1つお願いが…。」
このように侯爵に窺われ、
「ん?」
「どうぞ。」
「遠慮なく。」
僕は促す。
「ありがとうございます。」
会釈した公爵が、
「この王城で暮らすのは憚られるので、館を別にいただけるか購入させてもらいたいです。」
そう述べたところ、
「分かったわ。」
「そこら辺についても、追々、考えていきましょう。」
「お城は解体して再利用するのが良いかもね。」
姉上が告げられる……。
▽
二日が過ぎた午前。
いろんなヒトたちが[玉座の間]に来ていた。
姉上がまず、“帝王”や[スサノオ帝国]と[オオクニヌシ島]に変更したことを公表なさる。
ここから、僕の[即位式]となった。
[戴冠式]ではない。
そっちは、聖職者が皇帝や王に[冠]を被せる。
[旧ダイワ王国]では“初代ラダーム様”が〝宗教が力を持ちすぎるのを嫌った〟との事で、行なっていないそうだ。
これを踏襲して、僕は、頭に[王冠]を乗せた状態で、玉座へと進む。
[赤いマント]が大きめなので、少なからず歩きにくい。
そうしたなか、玉座の前で足を止め、皆のほうを向いた僕は、緊張しながら“帝王”として宣明した。
この流れで、[大臣]や[将軍]の就任式に移る。
僕が“肩書と個人名”を呼ぶ毎に、
「はッ!」
右手を左胸に添えて、跪き、
「謹んでお受け致します。」
お辞儀していく。
なお、まだ決まっていない役職もあるので、誰を抜擢するかは今後の話しとなっていた…。
▽
あれから、 [一台の長テーブル]と[ニ脚の椅子]が用意され、僕と“ラドン竜王陛下”が調印してゆく。
それが完了したところで、僕は、予め“アシャーリー”と“セゾーヌ”に貰っていた[レジピ]を、竜王に渡す。
ちなみに、姉上や大臣たちの他に“妹/各お世話係/ラバス/何十人かの城兵”が見守ってくれていた。
竜人族は“ラドン陛下/ドォーゴ王子殿下/長兄のラゴーン殿下/ヴァイア”といった顔ぶれだ。
“ルシム宰相”の所は、“ルーザー大公”やアシャーリーとそれぞれの家族に、“女性魔術士”が、赴いている。
当然、セゾーヌ&母親も。
“ルファザ総務大臣”は、奥さんと、孫二人だ。
ドワーフ族が“先生/トラヴォグ公夫妻/長男のトラウボンさん/次男のエベルクさん/四女のフィネルンさん”となっていた。
天空人族は、“アンヌ/母のザベルさん/祖母のルレア大公”に、[ティアラ]を着けた70歳ぐらいの女性がいる。
“兎の獣人”は、カトリーヌファミリー4名と、年配の男女1組だった―。




