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第183話 君主として③

王族としての正装に着替えた“僕/リーシア姉上/妹のエルーザ”は、[玉座の間]の裏にあたる[細めの廊下]を歩いていた。


後ろには“マンティコアのラバス”と“各お世話係たち”が続いている。


ちなみに、僕の衣服は、[大公の館]で生活していたとき、体の成長に合わせて“中央都市の職人”に何着か作ってもらった。


当然、お(カネ)を払って。


ただ、僕の出自がバレるわけにはいかなかったので、[王家の紋章]は“黒猫の獣人 ユーン”などが刺繍してくれた。


お世話係達は、それなりに裁縫もできるので。


さておき…。


[専用扉]の近くで足を止めた姉上が、


「貴女たちは、ここで待機しておいてちょうだい。」

「何かあったら臨機応変に頼むわよ。」

「ラバスは……、エルの(そば)にいてもらえるかしら?」

「もし危険が迫ったときには護ってあげてほしいの。」


“お世話係 計15名”と“僕の従魔(じゅうま)”にこう仰せになる。


「僕からも、お願い。」


ラバスに声をかけたところ、「ガウッ」と頷いてくれた。


そうして、ドアを開けた僕は、先頭で進む。


この扉は、スローン(玉座)からすると[左の壁]に位置している。


部屋全体での方位としては[スローンが北側]で[ドアは北北東側]だ。


[正規の大扉]は南側に設けられている…。


室内を〝チラッ〟と窺ってみたら、“ルシム大公/ルファザ侯爵/僕や妹の教育係達”が、[玉座が在る(だん)]の前で、南を向いて横一列に並んでいた。


[レッドカーペット(赤絨毯)]の左右に分かれて。


そこから離れた[北西の壁際]には、大公や侯爵の“魔術士たち”が見受けられる。


念の為に[客間]から連れて来たのだろう。


一方で、赤絨毯(あかじゅうたん)の両脇に、城兵が5人ずつ並んでいた。


つまり、トータルで10名だ。


レッドカーペットの上には4人の男女が佇んでいる。


このなかの1名は、[金の鎧]と[黒いマント]を纏っていた。


[兜]や[武器]は装備していない。


〝オールバックのセミロングヘアー〟に〝眉〟や〝モミアゲと繋がっている口周りの(ひげ)〟がゴールドブラウン(金茶)で、瞳は青色だ。


どことなく“父方(ちちかた)の祖父”に似ている。


そうした男性が、僕に気づくなり、跪く。


この背後で、3名がそれに(なら)う。


男性1人と女性1人は[銀の鎧]を身に着けており、[武器]と[兜]は見当たらない。


残る1名の女性は、格好からして魔術士のようだ。


とにもかくにも。


僕は玉座に腰かけた。


その左に姉上が、右に妹&ラバスが、直立する。


息を軽く〝すぅ〟と吸った僕は、


()が、新たな国王、ラルーシファである!」


やや強めに告げた。


すると、“髪や髭などがゴールドブラウンの男性”が、


「……、ラグール=イズモ。」

拝謁(はいえつ)恐悦至極(きょうえつしごく)に存じます。」


こう述べる。


「うむ。」

「全員、ラクにせよ。」


僕が促したところ、


「はッ。」

「失礼します。」


ラグール叔父上を筆頭に、立ち上がった面子が、ラバスに少なからず戸惑う。


しかしながら、叔父上だけはすぐに気を取り直したようで、


「ひとまず、これまでのことを伝えてもよろしいですかな??」


平然とした態度で尋ねてきた。


それを、


「ん。」

「許す。」


僕は簡略的にOKする。


「あれは何時(いつ)だったか…。」

崩御(ほうぎょ)する数日前の兄が書いた手紙が、我のもとに届きました。」


このように喋りだした叔父上に、僕らは〝え?〟と反応を示す。


それに構う事なく、


「ラダン殿下の謀反(むほん)を知ったとき、〝黒幕はライニルであろう〟〝宰相のラノワマも怪しい〟と睨まれ、〝すぐに西方を束ね、次期国王ラルーシファ達に協力してあげてくれ〟と、我に望まれたのです。」

「これに従い、あちらの七割を交渉や(いくさ)()べました。」

「なお、三割は中立を保っております。」

「まぁ、なんにせよ。」

「先刻、ライニルを倒し、自由に動ける余裕ができたので、こちらに赴いた次第です。」


こう説明してくれたラグール叔父上が、


「とは言え、(ヤツ)には逃げられてしまいましたがな。」


いささか悔しそうにする。


「……、あ、もしかして。」

「〝兵を率いて中央領に侵入していたライニル叔父上が何故だか退却した〟というのは…。」


僕がラダン兄上の話しを思い出したところ、


(われ)が北方に進軍したことで、慌てた愚弟が向かって来た、という訳です。」


〝フッ〟と笑みを浮かべるラグール叔父上だった―。




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