第179話 祝賀会①
PM19:00となり、
「皆さん。」
「ダイワの新国王、ラルーシファ陛下のため、お集まりいただき、ありがとうございます。」
「私は、リーシア=イズモ。」
「陛下の姉にあたります。」
「今宵は、時間の許す限り、心ゆくまでお楽しみください。」
こう述べられた姉上が、
「陛下、お誕生日、おめでとうございます。」
「それでは…、かんぱぁーい♪」
音頭を取られたことで、パーティーが始まる……。
[各テーブル]に飲食物が配膳されていく。
ちなみに、立食パーティーではない。
〝椅子に座ったほうが落ち着いて堪能できるだろう〟との姉上による考えで。
何はともあれ。
運ばれてきた[スープ]に、
「やっぱり!」
「〝匂いがするなぁー〟て思ってたら、カレーだよね?」
僕が確認してみたところ、“アシャーリー”が微笑みながら、
「コロッケバージョンもありますよ。」
そのように教えてくれた。
なんでも、カレーに用いる香辛料の大半は、[タケハヤ島]でも販売されているため、いつでも入手可能らしい。
一方で、幾つかのスパイスは市場に出回っていないのか、ゲットできずにいたので、“コーヒーの実を届けてくれている商人”に前々から頼んでおいたのだそうだ。
これら香辛料を“セゾーヌ”が調合して、アシャーリーが作ってくれた[カレースープ]は、辛さ控えめだったので、
「おいっしぃ―ッ☆」
“妹のエルーザ”も嬉しがっている。
“マンティコアのラバス”は、“サソリの尾”を振っているので、気に入ったのだろう。
他のヒトたちも「ほぉ~」や「へぇー」と初めての味に驚きつつも感動していた。
スープ以外には[コロッケ/トンカツ/スパゲッティ/サンドイッチ]が置かれている。
コロッケは[カレー]と[ポテト]で、トンカツは[ヒレ]と[ロース]だ。
スパゲッティは[潰した茹で卵]と[マヨネーズ]をパスタに混ぜたものだった。
サンドイッチは[野菜/ポテトサラダ/ハム/ツナ]というラインナップだ。
ツナは、[カツオ]で、アシャーリー達が館で下拵えしていたらしい。
どの料理も[少なめの量]や[小さめのサイズ]なので、全て食べれば満腹になるぐらいだった。
まぁ、個人差はあるので、おかわりしているヒトらもいる。
[カレーコロッケ/茹でたまマヨスパ/ツナサンド]も新しいメニューのため、それぞれ瞳を輝かせて喜んでいた。
好みの違いはあれど。
あと、“兎の獣人 カトリーヌ”が準備してくれた[デザート]があるので、〝食べ過ぎ注意〟が発令されている…。
▽
給仕たちによって配られる品に、
「ケーキ!!」
僕は釘付けになった。
“竜人のヴァイア”と“天空人のアンヌ”も興味を惹かれている。
“ハイドワーフの先生”は、カトリーヌから[クリームを絞る器具]を何個か依頼されていたそうで、予めご存知だったらしい。
また、[大公の館]に赴かれた先生から、アシャーリーを経由して、カトリーヌに渡ったのだとも。
なお、[苺のショートケーキ]だ。
「本当はホールの状態で出したかったんだけど、あ、ですけど。」
言い直したカトリーヌに、
「いいよ、敬語は使わなくて。」
「無礼講だし。」
僕が許可したら、
「それじゃ、遠慮なく。」
〝ニコッ〟として、
「こっちの世界にはバースデー用のロウソクがないから、切り分けておく事にしたの。」
こう説明した。
その流れで、フォークを扱って一口食べた姉上&妹が、
「んッ??!」
「はぁ~ッ♬」
至福の表情となる。
いや、2人だけでなく、誰もが幸せそうだ。
ラバスも当たり前のように味わっている。
こうしたなか、
「カトゥー!!」
「さっすが、てんさい!」
「もちろん、アシャとセゾも!!」
テンションが上がりまくるエルーザだった……。
▽
宴もたけなわとなったところで、
「本日は、誠にありがとうございました。」
「これからも、何かとお力添えいただきたいので、よろしくお願いします。」
頭を下げた僕に、拍手が起きる…。
帰り支度がなされていくなか、
「ルシム大公、ルファザ侯爵。」
「明日以降、どこかで都合がつかないかしら?」
姉上が声をかけられた。
「お呼びとあらば、いつでも調整しますが??」
大公が首を軽く傾げ、
「私もです。」
“僕などの祖父”が頷く。
それによって、
「じゃぁ、お昼の二時を目途に、お城に来てちょうだい。」
「今後について話しがあるから。」
こう告げられる姉上だった―。




