第178話 漸進⑧
僕らは、[第二広間]で、ご飯にしている。
“教育係”なども一緒に。
本来であれば“僕/リーシア姉上/妹のエルーザ”は[食堂]で摂るところだけど。
姉上による〝特にエルが淋しがるだろうから〟とのお考えにて、毎回そうしていた。
まぁ、僕も、賑やかなほうが、しめっぽくならずに済み、気が紛れて助かるので、異論はない。
ちなみに、本日の朝食は[パンケーキ]だ。
“マンティコアのラバス”だけは[唐揚げ]にしてもらっている。
これらには、妹&ラバスが瞳を輝かせて喜んでいた…。
▽
兵士の報告によれば、“薬品店の従業員達”への訊き込みを終えたそうだ。
やはり、4人とも、初耳だったみたいで、何も知らなかったらしい。
姉上との相談の結果、僕は、彼ら彼女らに、“例の魔術士”を捕まえるまでは休むよう命じた。
現在、お店は兵たちが封鎖したうえで見張っているため。
ただ、4人も生活が懸かっているので、仕事が無いと厳しくなる。
よって、その間の給付金を与えることにした。
これには、姉上なども賛成してくださったので、問題ない……。
▽
PM13:00を回った頃、あるヒト達が、王城の[一階エントランス]に【瞬間移動】してきたらしい。
〝客間に通した〟との事だったので、僕と姉上に妹は、ラバスと共に、そこへと足を運んだ…。
扉を開けるなり、
「アシャ!」
「セゾ!」
「カトゥー!」
エルーザが嬉しがる。
こうした妹が、〝スタタタタ〟と小走りで寄っていき、“兎の獣人 カトリーヌ”と両手を握った。
そんな2人は、繋いでいる手を上下にブンブン振って、
「エル様ぁー♪」
「元気ぃ~?」
「うんッ♬」
〝ニコニコ〟している。
他に、アシャーリーの母親と、大公の所の料理人数名&女性魔術士さんが、見受けられた。
夕方には僕の誕生会が催されるので、調理しに来てくれたのだ……。
▽
二時間ほどが経って、セゾーヌとカトリーヌは自由になった。
なんでも、カトリーヌを中心として、ある物を作ったらしい。
〝あとでのお楽しみ〟とのことなので、何を完成させたのかは聞かないでおいた。
今は小休止に入っているらしく、これが明けてから、次はアシャーリーを軸にして、いろいろと料理するそうだ。
セゾーヌとカトリーヌは出番がないようで、エルーザと遊んでくれる事にしたらしい。
そのため、僕と姉上やラバスに“妹のお世話係”を交え、お庭でボールを投げたり蹴ったりしてゆく。
ラバスは足だけでなく“ヘディング”や“サソリの尾”も活用している…。
▽
一時間ぐらいが経過した。
セゾーヌ&カトリーヌが、一旦、帰宅する。
まずは、魔術士さんが【瞬間移動】で[大公の館]に渡るそうだ。
あちらに、カトリーヌの父親が迎えに来るらしい。
そこから、魔術士さんだけお城に戻ってくるとのことだった。
こうしたなか、
「じゃ、また後でねぇ☆」
カトリーヌと、
「ん、またぁー☆ミ」
エルーザが、手を振り合う。
……、更に時が過ぎて、アシャーリーたちも[館]に戻る。
▽
PM18:50あたり。
いろんなヒトが【テレポーテーション】で[エントランス]に続々と訪れだす。
そこから、会場となる[第一広間]に集まってもらう。
“ルシム大公/ラドン竜王陛下/トラヴォグ公爵”は、一族総出だった。
“天空人のアンヌ”は“母君/祖母君/従姉妹さんファミリー”と到着している。
このため、初顔のヒト達もいた。
なお、“ハイドワーフ族”は[ビール]を持って来てくれたらしい。
“ルファザ侯爵”や“カトリーヌ”は家族で、“セゾーヌ”は母親と、赴いている。
それだけでなく、“アシャーリーの教育係たち”や“竜人の双子兄妹さん”の姿もあった。
とかく。
ラバスを除いた全員が正装だ。
僕などの教育係&お世話係も―。




