表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
171/206

第171話 展望⑤

翌日。


約束の時間となった。


[第二広間]に主だったヒトたちが集まっている。


僕や“リーシア姉上”に“妹のエルーザ”の“各お世話係”が、[珈琲(コーヒー)]や[紅茶]などをテーブルに配膳してくれた。


椅子から起立して、


「皆さんのおかげで、お城に戻ることができました。」

「改めて、本当にありがとうございます。」


お辞儀した僕に、


「儂などはなんにもしておりませんので、お気遣いは無用ですぞ。」


“トラヴォグ公爵”が穏やかに声をかける。


殆どのヒトが頷いたところで、僕が着席すると、


「じゃ、ここからは私が仕切らせてもらうわね。」


姉上が告げられた。


そして、


「まず、転生者とその親族には、今後ともラルーシファ陛下との友好をお願いするわ。」


ひと呼吸おかれ、


「昨日からいろいろ考えたのだけど…、都を移してはどうかと思うの。」


こう述べられたので、誰もが〝え?!!〟と驚く。


目を丸くしつつ、


「姉上、それはまた、何故です??」


疑問を投げかけると、


「そうね……。」

「いくつか、理由があるわ。」

「例えば…、この王城で暮らしていくにはいささか辛い、とかね。」


少し悲しげに微笑まれる。


けれども、すぐに、


「お城も、都も、国名も、何かと新しくして、心機一転、ラルーシファ陛下の治世を築き上げていくのが楽しそうでしょう?」


嬉々として訊ねてこられた。


「え?? その……。」


僕が返答に困ったところ、


「恐れながら。」

「内戦を終わらせるのが先決かと。」

「国名を変更するぐらいであれば、すぐに行なっても差し(つか)えないでしょうが。」


そのように“ルファザ侯爵”が意見する。


「確かにね。」

「まぁ、そもそも、トラヴォグ公爵を通じて、人間などよりも作業が早いらしいドワーフ族に依頼するにしても、資材や予算の問題があるし…。」


〝ん~〟と難しい顔つきになられた姉上に、


「発注していただけるのなら、喜んでお引き受けします。」

「それと。」

「我々の国の南南西に在る“ハグーカ(しま)”であれば、建築に必要な材料を充分(じゅうぶん)に得られるでしょう。」

「上手くいけば、ですがな。」


トラヴォグ公が教えた。


別称(べっしょう)、嘆きの島、ですね?」


こう反応したのは、“細長眼鏡のマリー”だ。


「あー、あれか。」


“ラドン竜王陛下”が理解を示した流れで、


「ならば、予算に関しては、我が国に訪れるがよい。」

(キン)を採れる場所が幾つかある(ゆえ)。」

「ま、どれもダンジョンになっておるため、魔物と戦う必要があるがな。」


そう語られる。


「ラドン陛下とトラヴォグ公爵のご厚意に感謝します。」


会釈なさった姉上が、


「ある程度、国内が落ち着いてから、また相談させてください。」


このように伝えられた。


そこから、


「唐突だけど、明後日にはラルーシファ陛下が御誕生日を迎えられるわ。」

「私達にとっては暗い出来事が連続したのもあって、お祝いで明るい雰囲気にしたいの。」

「そこで!」

「アシャーリー、セゾーヌ、カトリーヌに、晩餐(ばんさん)の調理などを頼んでいいかしら??」

「勿論、ダイワ王城の料理人たちを使って構わないし、報酬は支払うわよ。」


こう提案なされる。


「私は全然オーケ……、了解です☆ミ」


“兎の獣人 カトリーヌ”が〝ニコッ〟とし、


「じゃぁ、私も。」


アシャーリーと、


「私も大丈夫です。」


セゾーヌが、承諾してくれた。


ちなみに、広間には“エルーザ/ルシム大公&次男のルムザさん/竜人のヴァイア/ハイドワーフのフリント(先生)/天空人のアンヌ&母君/カトリーヌの兄&両親”も居る。


他には、“僕や妹それぞれの教育係達”と“大公の所の魔女さん”に“侯爵お抱えの魔術士”や“マンティコアのラバス”も…。


さておき。


「それじゃ、決まりね♪」

「遠慮なく家族や親戚も誘って、ぜひ出席してちょうだい♬」


ご機嫌になられる姉上だった―。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ