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第169話 進退⑥

“黒猫の獣人 ユーン”を筆頭に“お世話係5人組”が、[コーヒー]や[紅茶]などを用意してくれている。


それらを、“ベザニー・アリアル”はもとより、男女問わず全ての給仕などが配膳してくれた…。


[レモンティー]を一口(ひとく)飲まれた“リーシア姉上”が、


「まずは、勅書(ちょくしょ)を何枚か準備する必要があるわね。」

「捕らえるべき連中と、それを実行する兵隊に、刑を執行する者たちのぶんを。」


こう述べられる。


ちなみにだけど、各大臣や諸将の[邸宅]は、王城の周辺にある。


あと、四つの[兵舎]も。


兵舎は、都の全域だと四十コ存在しているらしい。


ただし、なかには自宅で暮らしている兵もいる。


いずれにしろ。


僕らは[勅書]の作成に取り掛かった。


そうしたところ、[ホットミルク]を飲んでいた“エルーザ”が、〝ウトウト〟しだす。


「エル。」

「眠いのであれば、私の部屋にでも行く??」


姉上の勧めを、睡魔で(まぶた)が閉じかけている妹が、


「や、だ。」

「いっしょ、に、いる。」


このように断る。


「でも、座ったままという訳にはいかないし……。」


姉上が少なからずお困りになられると、


「それでは、ラルーシファ王がラバスの寝床(ねどこ)を出してあげては如何です?」


そう“ハーフエルフのリィバ”が提案してきた。


「あー、成程。」


納得した僕が、


「いいかな?」


従魔(じゅうま)のマンティコア”に念のため確認してみたら、頷いて承諾してくれる。


これによって、[アイテムボックス]から引っ張り出したラバス用のクッションを床に置く。


そうしたところ、ラバスがベッド上で伏せた。


〝え??〟と僕が困惑したら、


「添い寝してあげるつもりなのでは?」


このようにリィバが推測する。


「そうなの??」


僕が質問すると、再びラバスが首を縦に振った。


それによって、椅子から降りたエルーザを、ベッド代わりのクッションで横にさせる。


ラバスの隣で。


すると…、ほんの数秒で眠ってしまった。


この光景に、


「生まれ育った場所に帰って来られた安心感と、泣き疲れ、かしら?」

「気持ち良さそうな寝息ね。」


姉上が優しく目を細められる……。



何分か経って、四つの兵舎へと、男性使用人達が手分けして[勅書]を持って行く。


“ラダン兄上”の幹部らを捕縛させるために。


なお、一つの兵舎に50人ぐらいが生活しており、[男性用]と[女性用]が在る。


一方で、各大臣と諸将は合計25名だそうだ。


そのうちの三割ほどが殺害され、メンバーが変わっている。


兄上の記録によれば新しい面子は襲撃に関わっていないので、さすがに姉上も死刑にはなさらない。


国外追放の案もあったけれど、〝挽回の機会を与える〟といった恩情にて、職を解き、爵位を元に戻し、領地か財産の半分を没収するだけで済ませることになった。


彼ら彼女らには、兄上が自宅待機を命じておられたので、別の男性使用人たちが[勅書]を届ける。


およそ二割は“ライニル叔父上の派閥”だ。


ここら辺は、とっくに自分らの領地に逃亡したらしい。


よって、残る五割を粛清する運びとなった。


〝12人と、その家族〟という事になる。


個々の差はあるけど、[邸宅]には5人~10人くらいの警護が居るそうだ。


それらが襲撃を実行させられたらしい。


幹部と警護の多くは人間だけれども、獣人やエルフにドワーフがいたりもする。


さておき。


四つの兵舎の者達を、だいたいで15人1組にして、各邸宅に向かわせた。


〝相手が逆らったときは武力制圧を(いと)わない〟として…。


「これらが片付いたら、兄上の(ひつぎ)を発注しましょう。」


姉上に声をかけられた[王宮魔術師統括責任]の“バルリック・マハーナ”が、


御意(ぎょい)にございます。」


深々と頭を下げた……。



一時間以上が過ぎている。


兵士たちの報告によれば、大臣と諸将の12人に、これらの家族を、捕まえたそうだ。


警護らも加えると、総勢で131人になったらしい。


なかには抵抗した者もいたので、戦闘になったのだとか。


それでも全員を確保できたようだ。


この騒動で、負傷したヒトはいたけど、誰も命を落としてはいない。


そうした状況にて、屋外に設置された[木製の大きな台]で、刑務官が経緯(いきさつ)と罪状を読み上げたとのことだ。


ここから、捕縛されていた者達が、目隠しされた状態にて、5人ずつあたりで[絞首(こうしゅ)]になっていったと。


それには、集まった野次馬から拍手が起き続けたそうだ。


〝なかには無念が晴らせた事に涙を流して喜んでいるヒトたちもいた〟との話しだった―。




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