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第16話 初めての島にて・起

父上と母上がそれなりに離れたところで、


「では、参ります。」


レオディンが告げた。


[魔法の杖]を逆さにして“クリスタル”を床に向けたレオディンが、


「時空よ、我らに狭間の境界を越えさせ、彼方(かなた)へと導け。」


こう唱えたら、僕たちの足元に直径5Mあたりの魔法陣が構築される。


そして、


「瞬間移動。」


レオディンが発するなり、視界が変わった。


僕らは草原に【テレポート】したようだ。


天気は晴れで、空が青い。


左側に割と広めな[土の道]が、この先の方には[高めの壁]が、存在している。


「あれに並びましょう。」


レオディンに促されて、道へと歩きだす僕らだった……。



[壁]は、“中央都市”を囲んでいる物だ。


そこの[門]では出入りする人などを兵士らが調べている。


列の最後尾にて、


「なぜ“町の中”に瞬間移動しなかったのですか??」

「野外では魔物や賊などに襲われる危険性があるのでは?」


“獣人のユ―ン”が疑問を投げかけところ、


「世界的な規約があるからじゃよ。」

「さっき儂が用いたのは“低級”でな…。」

「“(ごく)級”ともなれば一度に1万を運べる。」

「もし他国がそれ(・・)を使って、都や町であったり、城などの敷地内に、侵略目的で兵隊を送ってきたなら、どうなるかのう?」


逆にレオディンが訊ねた。


〝あ!〟と察したユーンが、


「いきなり現れたならば対応しきれませんね。」


このように理解を示す。


そうした意見に、


「うむ。」

「その通りじゃ。」

「また、そこまで大掛かりでなく少数精鋭であったとしても瞬間移動で忍び込まれてしまった場合、要人の暗殺が容易(たやすく)くなろう。」

「故に、世界規模で“野外”での使用しか認められておらんのじゃよ。」

「これを破ろうものなら、いろんな国々が制裁に乗り出してくる。」

「結果、“連合軍”によって滅ばされるのがオチ(・・)でしかない。」

「なので〝どの国も規約を守っておる〟という訳じゃ。」

「〝今のところは〟のぅ。」


レオディンが詳しく説明してあげる。


ユーン達“お世話係”が納得したタイミングで、


「次、俺たちの順番だな。」


“片目のベルーグ”が呟いた。



開かれている“南門(なんもん)”の右側で、一人につき銀貨1枚の通行料を支払った僕らは、都市内に入り、[石畳の大通り]を進んでいる。


かつて“細長眼鏡のマリー”が歴史の授業で〝都や町によって料金が異なる為どの国も一律ではありません〟と教えてくれたのを思い出す。


ちなみに〝冒険者や商工人は専属のギルドカードを呈示すれば世界中で無料となります〟とも言っていた。


「ねぇ、なんで、ラルーシファ王子のことを門番に知らせなかったの??」

「王族であればタダ(・・)で入れたのに。」

「あと、その従者らも。」

「……、もしかして、王陛下から事前に何か命じられた?」


“ハーフエルフのリィバ”の質問に、


「ええ。」

「〝最終目的地に到着するまでは秘密裏にせよ〟〝そなた達がタケハヤ(しま)に渡ったことが黒幕に漏洩(ろうえい)してしまったならばすぐさま手を打ってくるであろうからな〟〝町中で襲撃されたなら全力では戦えんだろう〟〝住民などが巻き添えになるを危惧して〟との仰せでした。」


こうレオディンが答える。


それに対して、


「あぁー、成程ぉ。」


と頷くリィバだった。



およそ10分後――。


僕らは[商工ギルド]に訪れている。


この[窓口]にて、銅貨三枚といった“中央都市の地図”を、レオディンが買った。


それ(・・)を広げたレオディンが、


「ここから最も近い“馬車屋”と、停車場が設けられておる“食堂”に“宿屋”を、(しる)してくれ。」


[受付(うけつけ)]の女性に頼んだ。


「はい、かしこまりました。」


軽めに会釈した流れで、[羽ペン]を手に取った彼女は、“リスの獣人”だった…。



ギルドから徒歩で約5分の所に在る[馬車屋]に、僕たちは赴いている。


ここまで来る途中に〝タケハヤ島の中央都市は40年ぶりですので少なからず街並みが変わっておりどこに何が建っているのか儂にも分からない点があります〟とレオディンが述べていた。


なにはともあれ。


三台の[ユニコーン車]を発注したようだ。


運賃は“一台につき1時間で銀貨五枚”となっており〝平均的な価格〟らしい。


いわゆる“必要経費”に関しては、レオディンによれば〝陛下より多めに戴いておりますのでご安心を〟との事だった。



2分ほどが経ち、準備が整ったみたいだ。


先頭に“レオディン”と“リィバ”が乗り込む。


二列目は“僕/ベルーグ/マリー/ユーン”となっている。


最後尾は“お世話係”の残る4人だ。


そんなこんなで、[島長(しまおさ)(やかた)]へと向かう僕らだった―。


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