第159話 君主として②
「ふっふっふっふっふぅーw」
「ちょっとしたお金持ちになったよぉ~♪」
万歳して嬉しがっているのは“兎の獣人 カトリーヌ”だ。
あれから[ドーナツ/クッキー/ビスケット/マフィン/カップケーキ/パンケーキ]のレシピを購入してもらえたので。
相手は“リーシア姉上/ラドン竜王陛下/トラヴォグ公爵/ザベルさん”で、合計で金貨24枚になったそうだ。
カトリーヌ家族は[ダイワ王国]や[|タケハヤ島]の住民ではないので、僕との同盟云々は関係ないため、製法を伝授して構わない。
“ルシム大公”は、孫娘のアシャーリーが前世でカトリーヌと幼馴染だったので、特別に無料にしてもらえていた。
ちなみに、[ダイワ王国内]は、姉上の考えによって、僕らがお城に辿り着いた後で普及していかれるそうだ。
その際には、“アシャーリー”と“セゾーヌ”の調理法なども買い取らせてもらい、一緒に展開させてゆくおつもりらしい。
タケハヤ島の[チキュウビストロ系列店]みたいに、経済効果を見込んで。
ただ、まぁ、これをやるには、いくつかの問題があるため、じっくり検討してゆくことになった。
こうしたなか、僕などの“転生組”が[パンケーキ]をリクエストしてみる。
それによって、夕食後、“カトリーヌ/アシャーリー/大公家の料理人達”が[本館]に戻った。
……、夜も遅くなりだした頃、全員が[野営地]に帰って来る。
パンケーキは[アイテムボックス]に収納されているため鮮度を保てるので、翌日の朝食に振る舞われた。
結果、誰もが新たに感激する。
“妹のエルーザ”は、
「ほぉわぁあ~~♬」
「カトゥー、てんさい☆☆」
瞳を輝かせて喜んでいた…。
▽
更に次の日の朝。
敵の第二陣およそ3000が、南下してくる。
僕らの野営地から割と離れた所で集結していたようだ。
それはさておき。
味方の最前列では、馬に乗った約40名が待ち構えていた。
[モナイ領]の第一陣における各リーダーだ。
この後ろでは、それぞれの家臣が1人ずつ、お家の紋章が刺繍された[軍旗]を掲げている。
それらに気づいたらしい相手集団が止まった。
こちらの交渉担当を務める“50歳ぐらいの女性”が、
「指揮官たちと話しがしたい!!」
「これより先の命運を左右する非常に重要な案件だ!」
そのように伝える……。
▽
何分か過ぎた。
僕は、第二陣のリーダー格40名あたりと謁見している。
これまでの経緯は“交渉担当者”が説明してくれていた。
そのため、以前と同様に、僕は[父の手紙]を“第二陣の指揮官40人”に確認させる。
こうして、彼ら彼女らも跪き、僕に忠誠を誓う…。
第二陣も、やはり、兵隊の殆どを解散させた。
リーダーの40名くらいと、その配下である5人ずつだけ、留めさせて。
当然、こうしたメンバーも[地球の料理]に大はしゃぎする事になる……。
▽
二日後。
お昼前に、第三陣が現れた。
報せを聞いた僕は、急ぎ“従魔”の背に跨る。
そこから、“マンティコアのラバス”に飛んでもらう。
これにラドン陛下たち“竜人族”が続いてくれる…。
最前線に赴いた僕は、再び[神剣ムラクモ]と【閃光貫】を披露し、恭順するよう命じた。
前回みたいに、七割ぐらいが、地に片膝を着く。
最後尾には[オープン型の馬車]が見受けられ、それに乗っている男性が、
「なにをしておる!!?」
「早く撃ち落とさんか!」
「生死を問わず、ヤツを王都に届けるのだ!!」
「ラダン王陛下の御ために!」
こう騒ぎだした。
しかしながら、ラドン陛下がたが竜に変じたことで、怯えて黙る。
今回もラドン陛下の脅し……、説得によって、残りの三割も跪く。
焦った“馬車の男”は、
「に、逃げろ!!」
「もたもたするなッ!」
“御者”に下知した。
いわゆる“運転手”が、馬を操作しようとするも、数体の竜に驚き恐れているのか、一歩も動かない。
そうしたチャンスで、
「その者を捕らえよ!!」
僕が出した指示に、馬車の近くにいた兵士達が応じる…。
▽
地上に降りた僕の対面に、さっきの男性が正座させられた。
[銀製の甲冑]を装備している人物は、60歳あたりで、猿顔だ。
思ったとおり、領主の“パップ・モナイ伯爵”だった。
観念したらしいモナイ伯爵が、中央の現状を語っていく―。




