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第157話 君主として①

作戦本部の[テント(天幕)内]で、二枚の紙が用意される。


その両方に、“ルファザ侯爵”が共通の文章を記していった。


同盟に関する簡単なことを。


厳密なものは書類の量が多くなるらしいけれど、それはまたいつか条約を結ぶときに準備するそうだ。


今回は、時間に余裕が無いなかでの協定のため、大まかになっている。


〝それでいいのかな??〟と疑問が生じた僕に、


「ま、此度(こたび)は、父上とラルーシファ陛下さえ問題なければ、構わないでしょう。」


このように“ドォーゴ竜王子殿下”が承認なされたので、OKという事になった。


どちらの紙にも、僕と“ラドン竜王陛下”が、署名して、王印(おういん)を押す。


それらを、各自一枚ずつ、[アイテムボックス]に保管する…。



天幕(てんまく)の外にて。


「ガオン、ヴァイア。」

「もしも父上が暴走したときは頼んだ。」

「二人だけでは押さえきれないだろうから、ドッシュとラッスも加わるように。」


こうドォーゴ殿下が喋られたところ、


「ふんッ!」

「見境なく暴れたりせんわッ。」

「こわっぱじゃあるまいし。」


ラドン陛下が不機嫌になった。


〝はぁー〟と溜息を()いたドォーゴ殿下に、


「その可能性があるから言っているんじゃありませんか。」

「気を付けないと、いつぞやみたいに、母上に怒られ続けますよ?」


そう注意されて、〝ギクッ!!〟となったラドン陛下が、


「わ、分かっておる!」

「あれは若気の至りというものだ!!」

「我とて自重できるようになっておるわい。」


このように返す。


「だといいのですけど。」

「くれぐれも、この国で迷惑かけないでくださいね。」

「ラルーシファ陛下はヴァイアの親友であり、父上にとっては同盟相手なのですから。」


そうドォーゴ殿下に念を押され、


「うむ。」

「任せておけ!」


ラドン陛下が約束なさる。


「それでは、また後日。」


会釈なされたドォーゴ殿下に、


「はい、了解しました。」


頭を下げる僕だった……。


ドォーゴ殿下が【テレポート】で帰られてから、


「昔、何かあったの??」


気になってヴァイアに尋ねてみる。


すると、


「あー。」

「およそ七百年前、隣国の王が喧嘩を売るような真似をしたらしい。」

「頭にきた祖父上は、竜の姿になって飛んで行き、城を破壊したうえ“フレイムブレス(火炎の息)”で焼き払ったそうだ。」


こう教えてくれた。


それに、僕は〝え――ッ?!!〟と引いてしまう。


また、(絶対、敵に回さないでおこう)とも思った…。



夕刻。


アシャーリーたちが[ハンバーグ/ポテトサラダ/玉ねぎ&キャベツのスープ]を調理してくれる。


パンが足りなくなるので、[大公の館]に作りに戻っていた“料理人の何名か”が、“女性魔術士さん”によって帰って来た。


こうして、“ウィリ男爵”など、[地球の食べ物]を初めて体験した人々が、


「なんだッこれぇ―ッ!??」


「美味すぎるぅ――ッ!!」


といった感じで、はしゃぎまくる……。



二時間近くが過ぎた。


満天の星だ。


そうしたところへ、“ストラング伯爵”と200数の兵隊が【瞬間移動】で訪れる。


「お待たせ致しました。」

「既に砦には状況を伝えておきましたので、いつでも渡って大丈夫です。」


そのように伯爵が報せたことで、[北の領境(りょうざかい)]にテレポートしてもらい、テントを張り直す。


僕らから割と離れた後方には[石造りの砦]が見受けられた。


方角は、[野営地]の南側みたいだ…。



翌朝。


伯爵達も、[地球の料理]に感激する。


一時間ほどが経ち、北の方から、


「敵が現れましたぁ―ッ!」


などの声が聞こえてきた。


場が緊迫した空気に包まれだすなか、


「ラル君!! 手筈どおりに!」

「竜王陛下がたもお願いします!!」


“リーシア姉上”が指示なさる。


これによって、僕は急ぎ“マンティコアのラバス”に跨った。


ちなみに、いつでも応戦できるよう、全員が既に装備を済ませている……。



味方が慌ただしく陣形を整えいくなか、僕は空中から前線に出てゆく。


背後には、ラドン陛下たち“竜人族”が付いてきてくれていた。


相手集団は〝ざわざわ〟している。


待ち伏せされていた事に驚いているのだろう。


そうしたなか、


「ここら辺で。」


ラバスに宙で止まってもらい、息を〝すぅ―ッ〟と吸って、


「ぼ…、()はラルーシファ!!」

(ちち)ライザーの意向にて、王位を正統に継承した!」


こう告げた。


その流れで、左腰に帯びている[武器]を抜き、両手で掲げ、


「見よ!!」

「これは“神剣(しんけん)ムラクモ”だ!」

「そして!!」


神力(しんりき)】を注ぎ込み、


「これがッ! 閃光貫(せんこうかん)だぁ―ッ!!」


ほぼ真上に【金色のビーム】を放つ。


目撃した“敵グループおよそ三千”の多くが、興奮のるつぼと化す。


なお、反動で若干ふらついた僕は、ラバスから落ちかける。


けれども、どうにか踏ん張り、


「余に忠誠を誓うか、反乱軍として討伐されるか、好きなほうを選べ!」


毅然(きぜん)とした態度で勅命(ちょくめい)(くだ)した。


緊張で心臓を〝バクバク〟させながら―。


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