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第153話 漸進④

僕たちは[野営地]に戻っている。


約30分後、昼食となった。


[海老(エビ)牡蠣(カキ)のフライ]と[タルタルソース]の組み合わせに、


「ぬはッ!」

「雇ってもらったの正解だったぁ―ッ!!」


カトリーヌの父親が歓喜する。


その様子に、


「もぉ~う、調子いいんだからぁー。」


恥ずかしそうにするカトリーヌだった。


ちなみに、彼女の母親と兄も[地球の料理]に感激している…。



“フォード・ヴァルタ子爵”が従軍させてくれる兵隊が、こちらに訪れるまで、だいぶ時間がある。


なので、ちょっとした話しをしようと思う。


それは、“妹のエルーザ”に関してだ。


まず、僕などの“元担任”を、「せんせー」と呼ぶようになった。


きっと面白がっているのだろう。


他に、“アシャーリー”はアシャ、“セゾーヌ”がセゾ、“カトリーヌ”はカトゥー、になっている。


アンヌだけが、令嬢を意味する“アンヌじょう(・・・)”だった。


理由としては「なぜだか、わたしをそうさせる」「しぜんに」とのことらしい。


あと、ヴァイアが“りゅうでんか”で、ガオン(三兄)さんは“あにでんか”だ。


長兄さんと次兄さんの存在を教えたところ、“おおあにでんか”と“ちゅうあにでんか”になった。


まだ一度も会った事ないのに。


ヴァイアたちの祖父君には「りゅうおー」と言っていたので、さすがに“へいか”を付けるよう注意した。


しかしながら、“ラドン竜王陛下”が「構わん」と笑っていらっしゃったので、OKになっている。


これもあってか、ルシム大公は“たいこぉー”で、トラヴォグ公爵(先生の祖父)が“トラこうしゃく”となった。


なお、ルファザ侯爵は“おじぃさま”だ……。



午後二時あたり。


野営地の近くに、およそ100人が【テレポート】してきた。


その集団のなかに“ウィリ・ホルット男爵”の姿がある。


「男爵も一緒に来たの?」


何気なく僕が質問したところ、


「ま、自分は政治とかはあまり得意なほうではないので、そっちはフォード子爵にお任せします。」

「戦闘であれば少しはお役に立てるかと。」


微笑んで述べるウィリ男爵だった。


これ以外には、何名かの料理人を伴っている。


とかく。


昨夜、[子爵邸]に[牢屋]などへと【瞬間移動】してくれた女性によって、北の領境(りょうざかい)へ渡る僕らだった…。



主だったメンバーは、輪の中心にいる。


周りを兵隊が囲んでいる状態だ。


【テレポーテーション】し終えた数秒後、前方の兵士たちが左右に分かれた。


僕らへと走ってきた1名の兵が、跪いて、


「“ストラング・チェスター伯爵閣下”が、既にお待ちになっていました。」

「ラルーシファ王陛下への謁見を求めておられます。」


そのように報告してくる。


「あちらの護衛の数は??」


“ルファザ侯爵”の問いに、


「4人だけです。」

「それと、チェスター閣下は武器も防具も装備しておられません。」


こう答えた。


「ふむ。」

「どうやら我々と敵対するつもりはないみたいですな。」


誰ともなく“ルシム大公”が呟いたところで、


「ラル君、会いましょう。」


そのように“リーシア姉上”が勧められる……。



僕の正面で片膝を着いた“長身の男性”が、


拝顔(はいがん)(えい)(よく)します。」

「“ストラング・チェスター”にございます。」


こう自己紹介した。


年齢は五十歳くらいだろう。


そうした伯爵に、配下が(なら)う。


余談かもしれないけれど、この5名は、最初、“マンティコアのラバス”に驚いていた。


それだけでなく、“竜人族”にも。


さておき…。


僕の左横で、


「ラルーシファ陛下の姉にあたるリーシアよ。」

「チェスター(きょう)は〝こちらと歩みを共にする〟と考えて間違いないかしら?」


こうお訊ねになられる。


すると、


「私は“国王派”なので、勿論そのつもりでおります。」

「ですが、その前に。」

「恐れながら、ラルーシファ王陛下に、お願いの儀がございます。」


伯爵が窺ってきた。


「ん??」

「僕にできることあれば。」


そのように返したところ、


(かね)て、ラルーシファ王陛下が“神剣(しんけん)ムラクモ”をお抜きになられた、と、耳にした事があります。」

「実際にこの目で確かめてみとうございますので、何卒お聞き届けくださいませ。」


こう伝えてきた伯爵が頭を深々と下げる。


その流れで、


「“閃光”を扱えるようになったのだったわね。」

「ついでに、それ(・・)を見せてくれないかしら?」


姉上にまで催促され、


「じゃぁ、取り敢えず、一度だけ。」


[アイテムボックス]を開く僕だった―。




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