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第151話 各個の主観⑩

私は、カトリーヌ・パウル。


(うさぎ)の獣人だよ。


日本人の頃は“高瀬千紗(たかせ・ちさ)”という名前だった。


ま、そういのを思い出したのは、こっちの世界で10歳になった時だけどね。


ちなみに、私が生まれ育ったのは、[ビッテマ王国]だよ。


それは、[惑星ガーア]の南東に位置する[サウスト大陸]に存在しているんだって。


大陸の南南西にあるというビッテマは[獣人の王国]なの。


こうした国は、他の三つの大陸にも在るみたい。


いずれにせよ。


[ビッテマ]は三百年くらい前まで酷かったのだとか。


もともと獣人は弱肉強食の考えが強かったらしく、力ある者がそうではないヒトたちを虐げて奴隷みたいに扱っていたんだって。


時には、こういのを改善してくれる王様や女王様もいたようだけれど、長い歴史のなかでは少なかったみたい。


それによって、次第に国から出ていくヒトが増えたんだとか。


また、〝ビッテマへの来訪者も少なかった〟て、聞いたことがある。


衰退の一途を辿りだした王国は、さすがに〝やばい〟となった結果、誰もが住みやすいように法律や司法などを大幅に変えたんだって。


おかげで、多くの獣人が故郷に戻って来たり、他種族が訪れるのも盛んになって、いわゆるV字回復を果たしたらしい。


こうしたのを踏まえて、私の実家は、王都で[冒険者ギルド]を経営している。


およそ百年前、私などの“曾祖父(ひいおじい)ちゃん”が[初代マスター]となり、“曾祖母(ひいおばあ)ちゃん”が支えてきたのだと。


そんな2人は、五十年ほど前に発生した[スタンピード]で、大勢の魔物と戦い、亡くなった。


これによって、急遽、息子…、私などにとっての“お祖父ちゃん”が跡を継いだんだって。


経歴や実力に申し分はなく、反対するヒトがいなかったのもあって、[二代目ギルドマスター]になったみたい。


で、“お祖母ちゃん”が[副マスター]を務めている。


そうした所に私は誕生した。


残りの家族構成は、両親と、二つ上のお兄ちゃん、だよ。


本当は弟もいたんだけど……、かつて世界中に蔓延した伝染病で他界している。


私達は、暫く、悲しみに暮れた。


なお、〝獣人は何もなければ200歳あたりまで寿命が続く〟らしい…。


さて。


こういった獣人族の鍛錬や勉強は5歳から始まり10歳で終えるのが一般的なのだとか。


そのため、私も、五年に亘って積み重ねていったの。


最初は、【神法(しんぽう)】を備えている事に周囲の大人がビックリしていたけれどね。


なんでも、約五百年前に、“ノイスト大陸の英雄王”と呼ばれた人物と、一部の家臣だけが、使えたらしい。


こことは違う大陸というのもあってか、いつしか[おとぎ(ばなし)]になっていた。


それを私が扱えたものだから、すんっごい大騒ぎになってたよ、一時期。


まぁ、私の場合、【攻撃系】のみ、だけど。


あと、【小規模のアイテムボックス】や【特殊スキル】に【戦闘スキル】があった。


まず、戦闘スキルは、【剣術】と【武術】で、どちらも“壱”からスタートしたよ。


特殊スキルは【料理】に該当するらしく、〝地球のお菓子を作れる〟みたいな説明になっていた。


長い事この意味が分からなかったけれど、10歳で記憶が甦ったとき全てを理解できたの。


これに伴って、あの事故に巻き込まれた人たちが気になった。


特に、幼馴染だったユミちゃ……、“嶋川由美(しまかわ・ゆみ)ちゃん”のことが。


彼女とは小学校が一緒だったんだけど、区域が異なるので中学は別々になっていたの。


でも、親交は続いていた。


だから、二人で同じ高校を選んだの。


ユミちゃんの実家は喫茶店で、私の所は洋菓子屋さんだった。


そうした私の夢は、“パティシエール”になる事だったの。


補足として、男性が“パティシエ”で、女性は“パティシエール”って呼び方なんだよ☆ミ


ま、おいといて…。


私は、こちらの政界でも、お菓子を作るようになった。


今のところは[クッキー/ビスケット/マフィン/カップケーキ/パンケーキ]といったところかな。


それら以外にも生産したいんだけれども、機材や食材の点から難しいの。


こうした活動だけでなく、何度かバトル(実戦)に参加した。


それによって、クラス()がペーパーから[ウッド]に昇格したり、【神法】と幾つかの【スキル】が進化したんだよ♪


こうした日々を過ごしていたところ、冒険者の間で噂が広まりだした。


[チキュウビストロ系列店]とやらの。


それを知った私は、家族に前世の件を打ち明け、[タケハヤ(しま)]に渡ることにした。


だって、絶対に地球人が関与してるでしょ?


料理に係る事であればユミちゃんかもしれない。


こう思ったら居ても立ってもいられなくなったの。


そのため、数十年前、島に行ったことのある“お父さん”に、【テレポート】してもらった。


“お母さん”と“お兄ちゃん”を連れて……。


お昼ごろ、中央都市の南東区にある[ビアクト()]というお店に入った。


家族が[サンドイッチ/カラアゲ/コロッケ/ケチャップスパゲッティ/グレープジュース/コーヒー]に驚き感動する☆☆


私も懐かしい品々と美味しさにテンション上がっちゃった♬


お店の人に〝誰に教わったのか〟を尋ねてみたところ、別室に案内されたの。


そうして差し出された[銀製のカード]に、自然と嬉し涙が(あふ)れてきた。


いいんちょー(委員長)”はもとより、ユミちゃんの名前が刻まれていたから―。


現時点での[カトリーヌ・パウル]


【神法】

 ・火/風/氷/地/雷/爆発のみ使用可能

  ※どれもが中級


【スキル】

 ・亜空間収納アイテムボックス

  ※小規模


【特殊スキル】

 ・地球の料理

  ※一ツ星レベルの菓子職人


【戦闘スキル】

 ・剣術

  ※段階は[弐]

 ・武術

  ※段階は[壱]


前世での名前は[高瀬千紗(たかせ・ちさ)]


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