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第150話 巡り会い⑥

“ルファザ侯爵”が〝どこまでラノワマ宰相が関与しているのか〟や〝ガーテル将軍の死因〟についても訊ねる。


だけど、“サルバ・モガン子爵”は、それらの詳細を知らされていなかった。


こうしたところで“ルシム大公”が、


「ひとまず、この家族を牢に入れ、〝中立を保つべし〟と主張したという者らを解放しては如何でしょう?」

「そして、ラルーシファ陛下の名のもと、その二人に(しか)る身分を与え、ここの領地を新たに任せるのがよろしいかと。」


そう僕に提案してくる。


「確かに。」

「それであれば、双方とも、ラルーシファ陛下に感謝し、忠誠を誓うかと。」

「モガン子爵達の最終的な処罰は、ラルーシファ陛下が王城に辿り着き、一連の決着がついてからでも構わないでしょう。」

「あと、この守兵らは縄を(ほど)き自由にして問題ないかと思われます。」


祖父である侯爵の意見もあって、


「分かりました。」

「そのようにしましょう。」


了解する僕だった……。



先刻 [子爵邸]に渡らせてくれた50歳ぐらいの女性によって、僕らは牢屋の近くに【瞬間移動】する。


子爵ファミリーを伴って…。


正面の[門]は鉄製のようだ。


この両脇に佇んでいる兵士たちが、慌てながら[槍]を向けてきた。


「私はウィンスト領を治めるルファザだ!」

「こちらにおわすは、ダイワのラルーシファ国王陛下であらせられる!!」

「謀反人モガンと、その妻子を、連行した!」

(ただ)ちに門を開けよ!!」


そう告げた侯爵に、二人の兵が不審がる。


このため、


「儂はルシム!」

「タケハヤ(しま)の大公である!!」

「首を刎ねられたくなければ、おとなしく従え!」


大公が加勢した。


それによって、半信半疑ながらも、兵達が[鉄門]を押していく。


もしかしたら“マンティコアのラバス”や“ラドン竜王陛下”の存在も効いたのかもしれない……。



建物内に居た数名の“牢番(ろうばん)”とも似たような事が起きた。


ま、結局は、こちらの言う通りに動いたけれど…。


子爵たち三人は、それぞれ別の牢屋に入れられた。


個々に投獄されていた例の二名を釈放させ、取り敢えず[邸宅]に【テレポーテーション】してもらう……。


余談になるかもしれないけど、牢の石床には[太めの鉄鎖(てっさ)]が固定されている。


この鎖に、やはり鉄で作られた[足枷(あしかせ)]が付属していた。


鎖も枷も両足ぶん(・・・・)在る。


それによって〝瞬間移動を使っての脱走ができなくなる〟とのことだった。


要は〝対象者を縛り付けておける〟のだそうだ。


また〝片足だけでも大丈夫だけれど念の為〟らしい。


こうした鉄鎖を、囚人がアイテムボックスに収納している[武器]や【爆発魔法】で壊してから【テレポート】するいう手もあるけど、そんな事やっているうちに牢番に攻撃されて失敗しやすい、との話しだった…。



[広間]にて。


侯爵から説明を受けた両名が、僕に跪く。


“フォード・ヴァルタ男爵”と“ウィリ・ホルット準男爵”だ。


どちらも、30代半ばで、精悍な顔立ちをしている。


侯爵の勧めによって、僕は、二人の地位を1つずつ上げることにした。


今後は“フォード子爵”と“ウィリ男爵”だ。


そして、[モガン領]から[ヴァルタ領]にも変わる。


「もう深夜ですので、ラルーシファ陛下の勅書(ちょくしょ)明日(あす)にしましょう。」


このように侯爵が判断したので、“魔術師のレオディン”に野営地へ【テレポート】してもらう……。



待ってくれていた皆が、


「お帰りなさい!!」


嬉しそうに笑みを浮かべた。


興奮して寝付けなくなっていたらしい“妹のエルーザ”の姿もある。


[邸宅]での件を報せたところ、


「許せないわ、ライニルッ!」


叔父上を呼び捨てにして怒りを(にじ)ませる“リーシア姉上”だった。


ともあれ。


僕らを襲った兵隊を町に戻してあげる。


分け(へだ)てなく全員で冥福を祈った遺体と共に。


そこから、アシャーリーと料理人達が[ホットミルクティー]を味方の陣営に振る舞ってくれた。


お湯は(あらかじ)め沸かしておいてくれたようだ…。



翌朝、食事が済んで暫くすると、仲間の兵の数名が[タケハヤ島]や[ウィンスト領]へ一時的に帰る。


亡くなった同僚を遺族に届けるため。


他には、[大公の館]の料理人たちが、女性魔術士さんによって【テレポート】した。


パンを補充したいそうだ。


僕などは合同鍛錬を開始する。


何分か経って、女性魔術士さん達が戻ってきた。


(うさぎ)の耳を有した獣人の四名”と一緒に。


なお、大人と子供が二名ずつだ。


〝ん??〟と不思議がる僕らに近づいて来た“白い耳&クリーム色ゆるふわショートヘアーの少女”が、


「“ユミちゃん”と“いいんちょー”は?」


人懐っこく尋ねてくる。


「僕だけれども??」


こう返したところで、


「その呼び方、もしかして?!」


アシャーリーが何かに気づく。


「私は、カトリーヌ・パウル。」

(もと)高瀬千紗(たかせ・ちさ)”だよ♪」


無邪気に自己紹介した“兎の獣人”に、


「やっぱり!!」

「チサちゃん♬♬」


喜びを表す“嶋川由美さん(アシャーリー)”だった―。




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