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第144話 漸進③

作業を終えたところで、“僕/リーシア姉上/妹のエルーザ/ルシム大公”が、“ルファザ侯爵”と[謁見の間]に向かう。


あと、手紙などが乗せられている[高級感のある四角いトレイ(お盆)]を持った屋敷の給仕が4人ほど。


他の面子には[広間]で休憩してもらっている…。



僕らが[謁見の間]に入るなり、待機していた二人の男性が跪いた。


どちらも50代前半みたいだ。


椅子に座るよう僕に勧めた侯爵が、


「すまない。」

「待たせた。」


男性達に声をかける。


各自、


「いえ。」


「大丈夫です。」


と答えたところで、


「こちらはラルーシファ新国王陛下と、リーシア王姉(おうし)殿下にエルーザ王妹(おうまい)殿下であらせられる。」


そのように告げた。


〝は??〟と意味が分からずにいる双方に、ラダン兄上の謀反(むほん)などについて、侯爵が簡略的に説明していく……。



「そういう訳で。」

「これより、そなたらに書状を渡す。」


侯爵の合図にて、給仕たちのうち二名が、数十枚の手紙が乗っている[お盆]を、個別に運ぶ。


「頼んでおいたように、すぐにでも方々(ほうぼう)にペガサス便を出せるな?」


こう尋ねた侯爵へ、


「勿論でございます。」


「いつでも配達させられます。」


男性たちが会釈する。


そうした二人は、どちらも、この町の[郵便局長]なのだそうだ。


1つは北西区に、もう1つは南東区に、店舗があるらしい。


それぞれ[小規模のアイテムボックス]に書状を収納した局長らに、今度は別の給仕達が[トレイ]を持って近づく。


これらには[コイン(通貨)が詰められた革袋]が乗せられていた。


「事前に伝えおいた料金だ。」

「約束どおり通常の倍はある。」

「これより先は一分一秒を争うことになろう。」

「我らの未来が懸かっておる故、滞りなく務め上げよ!」


そのように侯爵が述べると、全てを理解した二人が、


「はい!!」


「必ずや!」


揃って誓う。



郵便局長たちが去った後…。


僕らは屋敷から出ている。


玄関あたりにて、


「留守を頼んだ。」


侯爵に声をかけられ、奥さんと孫たちが頷く。


この流れで、お抱えの男性魔術士によって【テレポーテーション】する僕らだった。


ちなみに、屋敷で働いている料理人の三割が伴われている。


補足として、[大公の館]からはコックの半分が連れてこられていた。


とっくにラドン竜王陛下達と町の外へ【テレポート】したけど。


大公の長男にあたる“ルーザーさん”とその家族が館に帰っているため、[港町スブキィの屋敷]にいた料理人や給仕などの全員もまた戻っている。


なので、半数が一緒に来たところで問題ないそうだ。


経緯(けいい)としては……、(いくさ)や長旅のときの食事は[硬いパン/干し肉or干し(うお)/薄味のスープ]が殆どらしい。


お馴染みのメンバーは[アシャーリーとセゾーヌの調理コンボ]によって舌が肥えてしまっている。


〝そうしたヒトたちがやる気を失くさないように〟との考えで、[大公の館]から何名かのコックがお供させられたのだった…。


何はともあれ。


平原に、何百かの[テント(天幕)]が設営されている。


こちらに小走りで寄ってきて、正面で止まった兵隊が、


「陛下と両殿下に御挨拶を!!」


先頭の40代半ばくらいの男性による号令で、一斉に片膝を着く。


「この者達は、我が町の兵士です。」

「今回は急なことだったので、100名しか動員できませんでした。」

「もう少し準備期間があれば、5倍から6倍は召集できたのですが……。」


そのように語った侯爵に、


「儂の所も似たようなものです。」

「中央都市の兵を十分の一だけ同行させるのが限界でした。」


大公が続いた。


なお、ルファザ侯爵の町には1000人、ルシム大公の中央都市には2000人の、兵士がいるそうだ。


侯爵が治める[ウィンスト領]は総勢で1万ほど、[タケハヤ(しま)全土]は20万ぐらいの、兵数になるのだとか。


[ダイワ王国]の規模では、およそ50万の兵が存在していると、かつて[隻眼のベルーグ]が言っていた覚えがある。


さておき…。


「儂の亜空間に入れてある天幕(てんまく)のなかで最も大きな物を張るとしましょう。」

「主だった方々と今後について話しをするのに使うため。」


こう提案する大公だった―。


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