第142話 交錯するもの⑯
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私は、リーシア=イズモ。
ダイワの第一、じゃなく…、王姉。
そして、仕来りに捉われない女!
何事も自由がいいわ。
だけど、責任が伴うのは当然だと思う。
秩序を保てなくなるから。
特に、謀反なんてありえないわよ!!
最悪どれだけ多くの者が悲しむ羽目になってしまう事か。
ラダンの兄上の件を、父上から聞かされたときは、怒りと悔しさが込み上げてきたわ。
半分は自分に対して。
約一年前、ラル君が[神剣ムラクモ]の【閃光】を扱えるようになったのを知ってから、兄上は次第に思い詰めていった。
これに気づいておきながら、(暫くすれば元に戻るでしょう)と様子見に徹した自分も良くなかったのかもしれない。
そもそも真面目すぎる性格が災いして暴走したんでしょうね、きっと。
いずれにしろ。
父上から[王印]などを預かった私は、妹達と共に、[タケハヤ島]に渡る事になった……。
およそ半月後、[大公の館]に辿り着く。
再会したラル君は、また少し背が伸びたみたい。
“武神カティーア様”のお考えで実戦を積んだり、“マンティコア”を従魔にしたりと、どんどん逞しくなっている。
まぁ、あどけなさは残っているけど…。
こうしたラル君は、兄上の件と、自分が正統な王位継承者になった事に、驚き戸惑った。
それでも、引き受けてくれたので、ひと安心できたわ。
ここから、ラル君とエルーザの祖父にあたる“ルファザ侯爵”が味方に付くのを約束してくれたおかげで、ダイワの[王都]へ向かう足掛かりを得られた。
……、その日の夕食に出された[ハンバーグ]と[ケチャップスパゲッティ]なるものに、
「おいっしぃ――ッ!!!!」
私の両目から【光線】が放たれる☆ミ
いえ、あくまで想像だけれども…。
料理法や調味料を開発したという“アシャーリー”と“セゾーヌ”は素晴らしい限りだわ♪
翌朝。
ラル君達の“転生仲間”と、保護者一同が、訪れた。
“竜人/ハイドワーフ/天空人”は、初めて見る。
こうした顔ぶれも、協力してくれる運びとなったので、とても頼もしい。
あと、合同鍛錬は有意義だったわ。
なので、今後も参加させてもらう事にした……。
次の日。
“中央軍の一番隊”が集結する。
ダイワへと“ルシム大公”が伴うらしい。
ラル君、いえ、“ラルーシファ陛下”を、お城に帰還させるための準備が、着々と進んでいく―。
▽
わたしは、エルーザ=イズモ。
ダイワのだいに、いや…、おうまい。
そして、しきたりをかえさせるおんな!
こうしたわたしは、リーねぇさまたちと、タケハヤしまにやってきた。
ラダンにぃさまがうらぎったとかで。
ふあんやきんちょーはあったけど、ひさしぶりにラルにぃさまにあえてうれしい。
そこから、ラバスとなかよくなった!!
と、おもう。
わたしとしては……。
“おじぃさま”や“おばぁさま”に“いとこたち”と、はじめてあった。
そのひのゆうがた、[ハンバーグ]や[ケチャップスパゲッティ]とかいうものをたべてみたら、
「うぅっまぁ――ッ!!!!」
わたしのクチから【こうせん】がとんだ☆彡
ま、そうぞうだけれども…。
りょうりはアシャーリーが、ちょうみりょうはセゾーヌが、かんがえたらしい。
〝これまでルシムたいこうがないしょにしていた〟というのもおしえてくれる。
とりあえず、アシャーリーとセゾーヌを「ふたりとも、てんさい!」「さいこう!!」とほめてあげた。
わたし、えらい!
よくじつからは、[ミートソースパスタ]とか、[ポテトサラダ]とか、[エビフライ]とか、[コロッケ]とか、いろいろでてきた♪
[マヨネーズ]や[タルタルソース]もおいしい!!
まるで、ゆめのようだ♬
……、ちちうえのおねがいで“こくおう”になったラルにぃさまが、“たんれん”と“べんがく”をゆるしてくれた。
【まほう】がそなわっていなかったわたしは、おちこんでしまう。
だけど、リーねぇさまによれば、いつかおぼえられるらしい。
これだけでなく、わたしの【レアスキル】は、なかなかすごいみたいなので、きげんがなおった!
なんでも、[しんたいのうりょく]とやらが、ばいぞうされるみたい。
ためしにやってみたら、うごきがはやくなったりして、おもしろかった☆
つぎのひ。
“ちゅうおうぐんのいちばんたい”がきている。
そこから“りゅうじん”と“ハイドワーフ”に“てんくうびと”をまつ。
おしろをめざすために―。
現時点での[エルーザ=イズモ]
【スキル】
・亜空間収納
※小規模
【レアスキル】
・全体強化
※初期段階
一日一回のみ身体能力を30秒間だけ倍増できる
毎日使用可能
【戦闘スキル】
・狙撃術/剣術/打撃術/槍術/武術
※どれもが[壱]




