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第140話 ターニングポイント③

それなりの人数なので、[広間]で夕飯となった。


[食堂]では手狭なため。


配膳されたメニューは、[ソフトパン/ハンバーグ/ケチャップスパゲッティ/野菜スープ]だ。


パンは1人につき2個ある。


ケチャップスパゲッティ…、つまり、日本で言うところの[ナポリタン]は、半人前(ハーフ)の量だった。


他には各自に応じて[ジュース]や[ビール]が出されている。


“リーシア姉上”や“妹のエルーザ”などは、[ハンバーグ]と[ケチャップスパゲッティ]に関しては初めてなので、感激しているみたいだ。


大人は[ビール]にもテンション上がっていた……。



“ルシム大公”によって、ひと部屋ずつあてがわれようとするも、姉上がエルーザとの同室を望まれる。


これまで両親と一緒に寝ていた妹を淋しがらせないために…。



翌日。


朝食が済んで暫くしたら、合同鍛錬の参加者と、付き添いのヒト達が、次第に集まってきた。


顔ぶれは、“竜人のヴァイア&祖父君/ハイドワーフの先生&祖父君/天空人のアンヌ&従姉妹さん”だ。


[広間]に足を運んでもらい、姉上と妹などを紹介した流れで、本題に入る僕だった……。



「成程。」

「それで重々しい空気になっておったのか。」


そのように口を開いた“ラドン陛下”に、「はい」と頷いた僕は、


「なので、皆さんとは暫く会えなくなります。」

「いえ、もし、ダイワ王国の内戦で僕が命を落とすような事があれば、これが最後になるかもしれません。」


こう六名に伝える。


すると、


「僕も行きます!」

「たいした(ちから)にはなれないでしょうが、元生徒を放ってはおけませんので。」


先生が立候補してくださった。


誰もが先生に注目するなか、


「よくぞ申した!!」

「それでこそ儂の孫だ!」

「世の中、義理人情は欠かせんからのッ。」


“トラヴォグ公爵”が上機嫌となる。


その状況で、ヴァイアが、


「私も共に。」


ラドン竜王を窺う。


これに〝うむ〟と頷き、


「ラダームの子孫たちのためだ。」

「我も動こうぞ!!」


〝ニッ〟と笑みを浮かべる竜王だった。


更には、


「私も、ご一緒したいのですが。」


アンヌが“従姉妹のレミンさん”を見る。


「あー、ん~。」


少し困った表情になるも、


「私が許可するわけにはいかないわ。」

「あなたの母親に聞いてみないと。」

「それに、お祖母(ばあ)様の承諾が必要になるかも…。」

「ま、私もお願いしてあげるわよ。」


優しく述べるレミンさんだった……。



取り敢えず、僕ら子供達は、合同鍛錬のため[庭]へと赴く。


それに、〝面白そう〟との理由で姉上が付いて来られる。


当然、エルーザも。


“姉上の元教育係たち”もまた興味を示したようで、後ろに続いてきた。


他に、今日の担当だった“細長眼鏡のマリー”と“アシャーリーの教育係(馬の獣人)”がいる。


あと、“マンティコアのラバス”が、お供してくれていた。


なお、“メイラ&マリー母子(おやこ)”は、あれから仲直りしたようだ。


いずれにせよ。


僕たちの稽古を暫く眺めておられた姉上が、


「私も参加するわ!」


嬉々として宣言なさる。


こうしたところで、


「わたしも―!!」


妹が希望した。


「いや、だけど、まだ七歳になってないから。」


そのように僕が止めると、〝ピョン ピョン〟跳びはねつつ、


「や、だッ! や、だッ!」

「わ、た、し、も、や、り、た、い~ッ!!」


エルーザが自己主張する。


この隣で、お座りしているラバスが、妹につられて〝縦ノリ〟していた。


さておき…。


エルーザを強く叱るべきか否か悩む僕へと、


「妹さんは、日本だと小学一年生になる頃ですよね?」

「だとしたら、いろいろな学びをスタートさせてあげても構わないのでは??」


先生が声をかけてこられる。


「ですが、ダイワ王国の決まりごとですし…。」


躊躇う僕を、


「いいんじゃないかしら。」

「その“しょうがくいちねんせい”や“すたーと”が、どういう意味かは分からないけれど、兄上の軍勢との(いくさ)でラル君や私にもしものことがあるかもしれないでしょ?」

「そうなった場合、エルが女王になるのだから、これに備えて、知識や経験を与えておくべきよ。」


姉上が説得しようとなされた。


「でも、仕来(しき)たりがあるので。」


了解しがたい僕に、


「そんなもの、囚われていると何もできやしないわよ。」

「もはやラル君が国王なんだから、改めればいいじゃないの。」


そう姉上が告げられる。


さすがは発想が自由な人だ。


……、まぁ、確かに姉上の考えはもっともだと思う。


僕ら姉弟が亡くなりでもすれば、エルーザに王位を継承してもらうしかないのだから。


納得した僕が、


「もともとの予定より時期を早めるけど、妹の指導、よろしく頼んだよ。」


メイラ達5人に伝えたところ、


「はッ!」

「王命、謹んでお受け致します!!」


揃って跪く。


この結果、


「やったぁー♪」


万歳して喜ぶエルーザだった―。


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