表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/205

第137話 一転二転②

「あまり大勢いで押しかけても迷惑だろうから、できるだけ人数を絞りましょう。」

「ラル君は当然だとして、あとは私と…。」

「ルシム大公、付いて来てもらえるかしら?」

「血筋、家柄、実績、年齢、それらを考慮した場合、貴方しか適任者はいないわ。」


このよう語った“リーシア姉上”に、


「……、かしこまりました。」

「お引き受けいたしましょう。」


大公が会釈する。


そうしたところで、


「わたしもいくぅー!」


“妹のエルーザ”が立候補した。


「遊びじゃないんだから、だめよ。」


こう姉上に止められ、


「いやだッ!! いやだッ!!」

「わたしもいきたいーッ!」

「いきたい!! いきたい!! いきたい!! い、き、た、いぃ―ッ!!」


妹が駄々をこねまくる。


そんな二人の背後より、“メイラ・ラキリアス”が、


「恐れながら、リーシア王姉(おうし)。」

「エルーザ王妹(おうまい)は、これ以上ご家族と離れたくないのかと。」

「今は片時(かたとき)も。」


このように意見した。


ちなみに、彼女は“細長眼鏡のマリー”の母親だ。


なにはともあれ。


〝あー〟と理解を示した姉上が、


「分かった。」

「連れて行ってあげる。」

「その代わり、おとなしくしているのよ?」


そう伝える。


「うん!」


妹が機嫌を直したなか、僕はある視線を感じた。


そちらに目をやると、“マンティコアのラバス”が〝じぃ――ッ〟と見てきていたのだ。


「もしかして、お前も??」


こう尋ねた僕に、ラバスが“ガフッ”と頷く。


「いや、でも、魔獣だから、さすがに…。」


僕が困惑していたところ、


「“契約の証”を装着しているので問題ありませんよ。」


“ハーフエルフのリィバ”に指摘される。


(あ、そっか。)


と納得した僕は、


「じゃぁ、一緒に。」


そのように許可してあげた……。



[広間]の一ヶ所に、3人と1匹が密集している。


残るメンバーに見送られるなか、[魔法の杖]を逆さにして“クリスタル”を床に向けた姉上が、


「時空よ、我らに狭間の境界を越えさせ、彼方(かなた)へと導け。」


【低級の闇属性】を詠唱してゆく。


なお、クリスタルは、赤色だ。


さておき…。


僕らの足元に【ブルーホワイト(青白)のマジックサークル】が構築された。


こうして、


「瞬間移動。」


姉上によって【テレポート】する僕たちだった。


……、[洋風の館]の正面に渡っている。


〝スタ スタ〟と歩いた姉上が、[ドアノッカー]を叩く。


数秒後、内側から扉を開けて、


「どちら様でしょうか?」


窺ってきた“50歳くらいの女性”に、


「私達はイズモ王家の血筋の者よ。」

(ただ)ちに“ルファザ・ウィンスト侯爵”に会わせなさい。」

「とても重大な用があるの。」


そう告げられた。


これに対し、メイド服のなかでも割と立派なものを着ている相手が〝はぁ??〟と(いぶか)しがる。


おそらく“家令(かれい)”であろう女性は、暫し姉上を観察した流れで、


「ご無礼いたしました!!」


深々と頭を下げ、


「ひとまず客間に御案内させていただきます!」


そのように述べた。


どうやら、姉上のリボンに刺繍されている[紋章]に気づいたらしい。


約二年前の似たような光景が思い出される僕だった…。



僕とエルーザの祖父は、ダイワ王国における南方の中心地が領土となっている。


こういった“ルファザ侯爵”が、3名を伴って[客間]に訪れた。


祖父は、髪と眉に鼻髭が金色で、瞳は青く、痩せ型だ。


僕たちが[クラシックなソファ]から立ち上がる。


ラバスは床に伏せているけど。


……、まぁ、おいといて。


「私はリーシア、こっちは妹のエルーザ。」

「あちらは、タケハヤ(しま)のルシム大公。」

「それに、ラルーシファ新国王陛下よ。」

「あと、陛下の従魔(じゅうま)、ラバス。」


そのように姉上が紹介したところ、


「しん、こく、おう?」


侯爵が首を傾げた。


こうした祖父は、


「ルファザ殿。」

「詳しいことはこれより説明するとして…。」

御前(ごぜん)ですぞ。」


大公に言われ、


「失礼しました!!」


我に返ったかのように跪く。


それを、他の人々が(なら)う。


後で知ったのだけれども、別の3名は、僕などの祖母と従兄妹達だった―。


[ウィンスト侯爵家]


当主:ルファザ(59歳)


妻:エリーシャ(58歳)


男孫(だんそん):ファルン(15歳)


女孫(じょそん):ルーシー(13歳)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ