表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/205

第132話 交錯するもの⑬

我は、()というものが多い土地で生まれ育った。


所々、()()とやらが生えている。


こうした環境で、家族と共に、いろんな生物と戦ってきた。


そんな或る日、割と成長した我は、旅立つ事になったのである。


(つがい)となってくれる者を見付けるために。


ま、夫婦で戻ってくるもよし、何処かで暮らしてゆくもよし、らしい。


よって、我は、なんとなく飛行する……。


少し進んだら、水だらけの所に出た。


後で知ったのだが、()というものらしい。


ここを更に飛んだところ、山が見えてきた。


()は、我が故郷にも在ったので、分かる。


その真上を通り過ぎようとしたら、大きな鳥どもが向かってきた。


どうやら連中の縄張りだったらしい。


にしても、体の半分が我によく似ている。


さておき…。


空中で戦闘となり、二頭を倒したが、まだ数多くいた。


さすがに勝てなさそうなので、とりあえず逃げる。


しかし、鳥どもの十体ほどに追われてしまう。


何日か不眠不休となった。


まだ付いて来る。


実に、しつこい!!


覚悟を決めた我は、宙で止まり、改めて戦うことにした。


結果。


一頭が両翼を動かして放った【風の刃】で、腰を負傷し、地面に墜ちる。


この場にいた人間が、


「“マンティコア”か。」


我をそう呼んだ。


片目が見えない人間によれば、鳥どもは“グリフォン”というらしい。


こうしたなか、別の“小さき者”が【雷】を発した。


なかなかの威力だ。


(あるじ)と認めた“ラルーシファ”とかいう人間に、我は名づけてもらった。


“ラバス”と……。


主がたと、例の山に赴き、グリフォンどもを一掃した。


おかげで、気分が〝スカッ〟と晴れたのである!


それにしても…、“アシャーリー”が考えたらしい料理(・・)とやらは、どれもこれも美味い!!


もう生肉を食べたいとは思えん。


ちなみに、野菜は、苦手である……。


()とかいう者達が訪れた。


どやつも強そうだ。


このように感じていたところ、他の神らも現れた。


途端に我は恐怖を覚える。


“カティーア”と呼ばれた者に。


あれは、やばい!


闘おうものなら瞬殺されかねん!!


そう我が本能が告げておる。


何人かも我と同じなのか、震えていた…。


主の姉妹がやって来たそうだ。


部屋を移動したら、“リーシア”とやらが喋りだした。


かなり深刻そうに。


この側で、“エルーザ”とかいう者に撫でられ続ける我だった―。



儂は、レオディン・セル―ロ。


魔術師である。


[タケハヤ(しま)]に移ってからというもの、全くもって飽きない。


本来であればラルーシファ殿下は15歳になってから実戦を行なう決まりになっておったが、それが早まった。


このため、儂もお供できるようになったのじゃ!


まさに(ほまれ)である。


それだけでなく、“竜人族/ドワーフ族/天空人族”とも交流を持てるようになった。


しかも、殿下と同じ転生者の方々は、当然ながら【神法(しんぽう)】を備えておられる。


儂は感動と興奮が冷めやらぬ!!


(最近、若返ってきたのではないか?)と思うぐらいだ。


……、分かっておる。


気のせいだという事は。


何せ、冬場は特に、全身の節々(ふしぶし)が痛むでの。


ま、おいといて…。


ヴァイア殿下の兄君がたも父君も、相当な強さであらせられる。


この世界で一番の長寿を誇る竜人だからじゃろう。


鍛錬であれ、実戦であれ、いくらでも積み放題じゃからな。


〝そもそもの身体能力が高い〟というのもあるだろう。


ジェネラル(将軍)”や“ロード”を一撃とは、ただただ驚かされるばかりだ。


殿下がた“お子たち”には、毎回〝あれは普通ではない〟といった旨を申し上げておる。


〝簡単に大将級の魔物や魔獣に勝てる〟と勘違いなされてしまっては、あまりにも危険すぎるため……。


そうした日々が過ぎるなか、殿下がたが“先生”と呼んでおられる“フリント様”によって、[ビール]が作られた。


確かに、[エール]とは比べものにならぬほど極上である!


あと、“セゾーヌ嬢”の【スキル】で幾つかの調味料が完成した。


これに伴い、“アシャーリー嬢”の献立が増えてゆく。


儂はもともと[白身魚の塩カラアゲ]が好物だったのじゃが…、近頃、変わってきた。


今は、もっぱら、[エビフライ]が楽しみになっておる!!


外側の〝カリカリ〟と、内側の〝プリプリ感〟に、[タルタルソース]が相まったら、それはもう、格別なのじゃぁ――――ッ!!!!


…………、ハッ!


いかん。


久方ぶりに我を忘れてしもうた。


なにはともあれ。


二人の王女殿下がお越しなられた。


各自の“お世話係”などを連れて。


ご来訪なされた理由をお尋ねするも、ラルーシファ殿下に直接お伝えすべきだとかで、“リーシア殿下”が待つよう仰せになられる。


そこから、逆に、ここでの生活を御質問なされた。


よって、儂が代表して語らせていただく。


できうる限り簡略的に。


勿論、“ラバス”についてもお知らせしておいた。


後で騒ぎにならぬよう。


こうしていたところ、ラルーシファ殿下が[第一広間]に足を運んでこられた。


すると、


「ラダン兄上が謀反(むほん)を起こしたわ。」


リーシア殿下が告げられる。


は??


いささか耳が遠くなっておる儂の聞き間違いじゃなく?


……、そうであってほしいと願うばかりじゃ―。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ