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第129話 森林での攻防戦③

“|ヴァイオレントタートル《暴力的な亀》”の正面で伏せた“マンティコアのラバス”が、口から【火の玉】を放つ。


それが直撃して燃えたことで、魔物が慌てたように頭を出した。


この右側から、“片目のベルーグ”が[ロングソード(長剣)]を振り下ろし、亀の首を斬る。


“ルシム大公”は、別の個体の首に[バトルアックス(戦斧)]を払う。


残りは“トラヴォグ公爵”が[ウォーハンマー(戦槌)]で殴打する。


頭部を狙って。


なお、三者ともに返り血を浴びていた。


それらの血液は、紫色だ…。



合計六体の“ヴァイオレントタートル”を回収し終え、


「父上。」

「闇雲に歩いてもロードを発見するのは困難だと思うのですが、何か手掛かりはあるのですか?」


“ルムザさん”が大公に尋ねる。


「ギルドマスターによれば、冒険者たちが最後に遭遇したのは、ここから5分ほど北東へ進んだ所あたりらしい。」

「ま、とっくに移動しておるだろうがな。」


このように大公が答えたところ、


「ならば、皆さんは少し待っていてください。」


“ドォーゴ王子殿下”が翼をはためかせる。


そうして、森の上に出ると、北東へ飛んでいった。


……、2分ほどが経ち、ドォーゴ殿下が南東(・・)から戻って来て、着地する。


「あちらで、ロード級らしき魔物などが戦闘を行なっています。」


ドォーゴ殿下の報せによって、


「では、そちらを目指すと致しましょう。」


このように告げる大公だった……。



南東へ3分ぐらい歩くと、新たに開けた場所が見えてくる。


池が在った地帯より広そうだ。


確かに、“モンスターの群れ同士”が激突していた。


「“バローボア”と“ウォリアーベア”みたいですね。」


そう述べたのは、“細長眼鏡のマリー”だ。


およそ4Mの“バローボア(剛勇猪)”は八頭いるようだった。


赤毛の“ウォリアーベア(戦士熊)”は、全部で五体だ。


熊は各自でヴァイキングみたいな甲冑を装備しているけど、武器は持っていない。


これらのうち四頭は約6Mの背丈で、一体だけ10Mありそうだ。


ちなみに、森の木々は20Mある。


あと、六匹の猪に、三頭の熊が、倒れたまま流血していた。


そうした魔獣達の血は、赤い。


なにはともあれ。


「最も大きいのがロードに違いないでしょうから、私が引き受けます。」


ドォーゴ殿下が自薦したところで、バトルを行なっていたモンスターらが、一斉に〝ピタッ〟と動きを止める。


どうやら気配を感じたらしく、僕たちのほうに顔を向けた。


次の瞬間、こちらに突進しだす。


“バローボア”も“ウォリアーベア”も、巨躯(きょく)なうえに、結構なスピードのため、迫力がある。


距離を詰めて来る計十三体の魔獣に、僕などの子供は恐怖と緊張が走った。


こうしたなか、ドォーゴ殿下がモンスター集団へと飛行する。


狙われているのを察したらしい“ロード”は、二本の後ろ足で立ち上がり、雄叫びをあげた。


一方で、長めの詠唱は時間が掛かるため手遅れになると判断したのか、


「天より(つど)いて形成すべし。」

「煌めく(ぎょく)よ、自由を奪え。」

「サンダー・ボール!」


“魔術師のレオディン”と、


彼方(かなた)に在りし結晶よ。」

「冷たき力を、この手に捧げ、我が前に現れろ。」

「アイス・アロー!!」


“魔女さん”が、【低級の魔法】を放つ。


それらがヒットして負傷したモンスター達は、動きを止める。


けれども。


すぐにダッシュを再開した。


【雷】で痺れているはずの面子までもが。


僕ら子供の()になろうと、“近距離戦型の大人たち”が最前に出る。


ドォーゴ殿下は、“ウォリアーベアロード”が振るう右前足を、[ハルバード(槍斧)]で弾く。


こうして、無防備になった熊の喉元を[武器]で刺す。


ロードが仰向けで崩れゆくなか、“大公/トラヴォグ公/ベルーグ/マリー/ユーンなどの獣人族5名/アシャーリーの教育係のうち2名/アンヌの母親ザベルさん”が体当たりされる。


それらのメンバーは、派手に転倒して、吐血した。


魔獣らが態勢を整え直しだしたところで、


「王子がた!!」

「戦ってください!」

「今よりも強くなるために!!」


珍しく厳しめに言葉を発する“ハーフエルフのリィバ”だった―。


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