第127話 森林での攻防戦①
僕たちは、森の西側から東へと歩いている。
なお、“ルシム大公/次男のルムザさん/アシャーリーの教育係”は、過去に何度かこの森林に入ったことがあるそうだ。
それはさておき…。
暫くすると、“マイコニド×10/アルラウネ×5”が現れた。
おさらいとして。
“マイコニド”は、背丈1Mぐらいの“キノコ人間”で、【幻覚の霧】という[特殊スキル]を用いる。
身長1.5Mほどの“アルラウネ”は、下半身が“紫色の花”であり、上半身は“緑色の肌をした人間の女性”で、[剣士の甲冑]を装備していて、武器は[レイピア]を使う。
“先生/セゾーヌ/アンヌ”は、特に、アルラウネに引いていた。
アシャーリーも嫌そうにしている。
ま、僕もだけど。
モンスターとは言え、見た目が少しでもヒトに近い存在は、戦うのを躊躇ってしまうので。
しかし、無抵抗だと、こちらの命が奪われてしまう。
だからこそ、覚悟を決めるしかない。
こうして、僕らはバトルを開始する。
まず突進したのは、“マンティコアのラバス”だ。
どうやら狙いはマイコニドらしい。
「おそらく、危険と判断したのでしょう。」
「もしかしたら〝幻覚を扱う〟というのを知っているのかもしれませんね。」
そのように分析しつつ、矢を射ったのは、“ハーフエルフのリィバ”だ。
ふと思うに、ラバスは何処で生まれ育ったんだろう??
まぁ、考えても分からないのだけれど。
こうした最中に、間合いを詰めてくるアルラウネ達に、ヴァイアが【気焔】を、僕は【神法】を、用いる。
失神してゆくアルラウネ達に、50発の【アイシー・ランス】が悉くヒットするなか、後列から飛び出して来た1体のマイコニドに【ピンク色の霧】を噴射されてしまった。
……、僕は高校の教室にいる。
他に、学級副委員長と、書記の山仲さんが、見受けられた。
放課後らしく、僕たち以外の姿はない。
季節は春みたいだ。
グラウンドでは、さまざまなスポーツ系が部活動を行なっている。
校舎からは吹奏楽部の音色が聞こえてきていた。
何故だか、とても懐かしい。
まるで10年以上が経っている気がする。
そんな違和感を覚えたところに、
「ディスオーダー・リカバリー!」
別の山仲さんの声がした。
これによって、僕は、〝ハッ!!〟と現実に戻る。
「大丈夫ですか?」
山仲さ…、アンヌに心配されて、
「うん。」
「ありがとう。」
そう伝える僕だった。
周りを確認してみれば、魔物は既に殲滅されている。
「幻覚に掛かってしまったのは僕だけかな??」
「恥ずかしいところを見られたかもね。」
このように窺った僕に、
「いえ、なんだか楽しそうに微笑んでいらっしゃいましたよ。」
「あと、他のマイコニドに霧を浴びせられてしまった先生が、出席を取りだしました。」
「そちらの異常状態は、セゾーヌさんが解いてくださったので、もう問題ありません。」
状況を説明してくれるアンヌだった……。
▽
あれから5分ほど東に向かっている。
今度は6数の“ウッドゴーレム”に出くわす。
だけど、僕らのほうが多いので、難なく倒し、先へと進んだ…。
▽
更に5分あたりが過ぎた頃。
10羽の“兎型モンスター”に遭遇した。
「アルミラージ、じゃないね?」
軽く首を傾げた僕に、
「“ジャッカロープ”です。」
そう“細長眼鏡のマリー”が教えてくれる。
この魔物は、1.5Mといったサイズだ。
ちなみに、アルミラージは1Mくらいだった。
それと、ジャッカロープの角は、鹿みたいな形状になっている。
こうしたモンスター達が、それぞれに、角と角の中間に直径10㎝ほどの【サンダー・ボール】を構築した。
これが弾けるなり、5本の【雷】が飛んでくる。
合計で50発だ。
“ドォーゴ王子殿下”と“ヴァイア”の父子に、ラバスは、宙に浮いて躱す。
また、急ぎ翼を出現させた“ザベルさん”と“アンヌ”の母子も、上昇して回避する。
残りのメンバーは、殆どが直撃してしまい、ダメージを負うのと共に全身が痺れて、動けなくなった―。




