第125話 来訪⑤
殲滅し終えた“グリフォン集団”を、大人たちが[アイテムボックス]に収納している。
ジェネラルを除いて。
あの個体は真っ二つとなって[雑木林]に消えていったので、放っておくそうだ。
〝おそらくは今ごろ他の魔物達の餌になっているだろうから〟といった判断によって。
ちなみに、この山岳でゲットしたモンスターは、それぞれの地元で解体するらしい。
結構な量となっており“ハーフエルフのリィバ”だけで捌くのは大変なため…。
そうして、僕らは[大公家の館]へと“魔術師のレオディン”によって【テレポート】する。
ルシム大公は、山岳を含めた地域の領主の所に“魔女さん”が【瞬間移動】で送ってあげた。
なお、現在はAM11:30あたりだ。
今回のバトルで【神法】や【スキル】が進化したヒトは、誰もいなかった……。
▽
10日が経っている。
この日は、前々から予定されていた晩餐会が、催されることになっていた。
それに伴い、ルシム大公の“長男さん家族”が一時的に帰ってきている。
来賓は“竜人族/ハイドワーフ/天空人族”などの主だったヒトたちだ。
顔ぶれは、まず、“ラドン竜王陛下/ドォーゴ王子殿下/ラゴーンさん/ドゥーラさん/ガオンさん/ヴァイア”となっていた。
次に“トラヴォグ公爵夫妻/先生”だ。
更には“ルレア大公/ザベルさん/アンヌ”も訪れている。
また、“セゾーヌ親子”も、ルシム大公に出席するよう前もって勧められていた。
全員が正装のため、こういうのを持ち合わせていないセゾーヌ母子には、予めルシム大公が購入してくれたらしい。
あと、“マンティコアのラバス”も居る。
何はともあれ。
定刻まで少し時間があるため、それぞれが立ち話しをしていた。
こうした[第一広間]にて、何名かが〝ピクッ!〟と反応を示す。
何故ならば、数柱の神々がお出ましになられたからだ。
「あ、パナーア様。」
「お久しぶりです。」
僕が会釈したら、
「なんと?!」
「これはこれは、お初にお目に掛かります。」
ヴァイアの父君であるドォーゴ殿下が跪き、僕とラバス以外が続く。
「皆さん、どうかラクになさってください。」
微笑んで促すパナーア様に、
「そちらの方々は??」
疑問を投げかける僕だった。
「まぁ、そのぉ…。」
「ラルーシファさん達を転生させる際、特殊スキルを授けるのに協力してくれた女神一同です。」
「つい先程まで、全員が謹慎しておりました。」
「一年ぶりに自由となったので、揃って赴いた次第です。」
そのようにパナーア様が説明する。
こうした神々は、“赤・青・緑・紫・茶・白・桃”と、髪の色が異なっていた。
それだけでなく、ヘアースタイルも違っている。
ただし、瞳だけは“金色”と一致していた。
“金髪のパナーア様”を含めた八柱の神々は、親族なだのだそうだ。
誰もが起立した流れで、
「折角でございますから、ご一緒に御食事を如何ですかな?」
「すぐに席を用意させますので。」
大公が述べたところ、
「いえ、私どもは、ただ単に、ご挨拶に伺っただけですので、お気遣いなく。」
遠慮なさるパナーア様に、
「神様がたと飲食を共にできるなど、この上ない名誉なことにございますので、ぜひとも、よろしくお願い致します。」
アンヌの祖母君であるルレア大公が、お辞儀する。
これに他の大人たちも倣った結果、
「では、お言葉に甘えて、お呼ばれさせていただきましょう。」
〝ニッコリ〟しながら承諾するパナーア様だった……。
▽
皆が着席し、ルシム大公の合図で乾杯する。
[ビール]を飲んだ神々が、目を丸くした次の瞬間、あまりの美味しさに騒ぎだす。
そうした感じで、[地球の料理]にも似たようなリアクションをしていく…。
なんだかんだ楽しい時間を過ごすなか、
「おい。」
どこか怒っているかのような“女性の声”がするなり、“女神様がた/竜人族/ハイドワーフ家族/天空人族/リィバ”が一斉に〝ビックゥン!!〟とした。
〝カタカタ〟と震えながら、“声の主”のほうにゆっくり首を動かしたパナーア様が、
「伯母上様、ごきげんよう。」
引きつった笑顔で喋る。
視線の先におられたのは、“武神カティーア様”だ。
この左隣に、“長い黒髪の少女”が見受けられた―。




