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第117話 過ぎゆく季節のなかで⑪

「このマンティコア…“ラバス”や、グリフォンたちは、どの方角から来ましたかな?」


そうした“ルシム大公”の疑問に、


「北西です。」


“片目のベルーグ”が即答した。


〝ふむ〟と頷いた大公が、


「島の山岳地帯を縄張りにしておる可能性が高いな。」


このように呟き、


「よし。」

「今度の実戦は、そこにしましょう。」


そう提案する。


誰もが承知したら、


「ところで。」

「グリフォンって、食べれます??」


ベルーグが新たにアシャーリーに尋ねた。


「え?」


僕と似たような反応を示したアシャーリーが、


「どうでしょう??」

(ワシ)の部分だったら、いける、のかな?」

「先生がお越しになられたときに、地球の本を取り寄せてもらって、調べてみますね。」


こう返したところ、


「それでは、亜空間に収納したグリフォン達を(さば)くのは、暫くやめておきましょう。」

「“大規模”に入れておいたので、半年は余裕で腐らないため、時間が掛かっても問題ありませんよ。」


“ハーフエルフのリィバ”が述べる。


「フリント殿であれば近日中にトラヴォグ公爵と一緒にこちらに訪れる予定のため、そこまで待たなくて大丈夫でしょう。」


そのように大公が伝えた流れで、一旦は解散することになった……。



[厨房]で〝マンティコアに与えるべきは生肉か否か〟という論争が起きたらしい。


これによって、“牛のブロック肉”と“焼いた牛肉に塩胡椒を掛けたもの”に“鶏の唐揚げ”が用意された。


それぞれ大皿に乗せられた品が、[食堂の床]に置かれている。


僕らが見守るなか、順番に三つの匂いを嗅いだラバスは、まず“唐揚げ”を慎重に1つだけ口に運んだ。


次の瞬間、“サソリの尾”をブンブンさせながら、物凄い勢いでガッツキだす。


これを終えると“焼かれてある牛肉”を食べ、最後は“生肉”だった。


「尻尾の振り方からして、最も気に入ったのはカラアゲみたいですな。」


“魔術師のレオディン”が喋ったところ、


「こいつ…、分かってんじゃねぇか。」


何故だかベルーグが嬉しそうにする……。



二日が経った。


[庭]には、“僕/アシャーリー/ヴァイア/セゾーヌ/アンヌ”が居る。


あと、“細長眼鏡のマリー/大公家の執事さん/竜人の双子さん/アンヌの教育係を務めている女性の1人”と“ラバス”も。


お座り(・・・)しているラバスを見つつ、


「そう言えば、竜人の国は従魔が割と存在しているんだって??」


ヴァイアに聞いてみたら、


「ああ。」

「多いのは、二足歩行のトカゲといった“リザードマン”だな。」

「ま、そんな感じで、爬虫類系の魔物が殆どだ。」


そのように語った。


こうした僕らの背後より、


「おはようございます。」


声をかけてきたヒトがいる。


振り向いてみたところ、先生だった。


僕たちが挨拶を返したら、


「この子がラバス君ですね。」

「ルシム大公殿下が仰っていた。」


にこやかに先生が述べる。


「今日は、お一人なんですか?」


アンヌに質問されて、


「いえいえ、祖父や、ハイドワーフにドワーフの数人と来ましたが、ルシム大公殿下と共に“娯楽施設”に行きましたよ。」

「できあがった“遊具”を設置しに。」

「この館の魔女さんによる瞬間移動で。」


そう先生が答えた。


ここから、アシャーリーが〝グリフォンの肉〟に関する件と、〝炭酸飲料を作りたい〟といった旨を、告げる。


それを受け、


「では、そこら辺は鍛錬を済ませてからにしましょう。」


穏やかに喋る先生だった…。



二週間が過ぎている。


アンヌの“武器”と“防具”が完成したらしく、[客間]で装着してみたそうだ……。


炭酸飲料は、“クエン酸”と“重曹”が必要とのことで、現段階では難しいのだとか。


特に、重曹の生産が…。


また、グリフォンは〝鶏肉みたいな味〟というのが、先生の調べで判明している。


話しは変わるけど、つい先日、セゾーヌの故郷である[スコーリ]の内乱が終息した。


なんでも、王が、国庫(こっこ)を開き、結構な量の金銀財宝を投じて、大勢の兵士と冒険者を味方に付け、謀反を起こした弟を討ち取ったのだとか。


ちなみに、危惧していた難民は出ていない……。



秋の中頃になり、涼しくなった。


[本館の広間]に主だったヒト達が集まっている。


例の()へと赴くために―。


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