第109話 ダンジョン探索④
休憩後に、一本道を3分ぐらい進む。
ヴァイアの次兄である“ドゥーラさん”によって、二又になっていた通路の右側を進み、階段を下りる。
現在は[地下四階]だ。
ここから、三又の真ん中を、ドゥーラさんが選ぶ。
1分ほどしたところ、Uターンするかのように道が左に曲がっていた。
それを5分あたり行ったら、
「この先、何かしらいます。」
「ただ、動き回っているみたいなので、争っているのかもしれません。」
“黒猫の獣人”こと“ユーン”が伝えてくれる。
この2分後あたりに、開けた場所に出た。
奥のほうで“ゴブリン”と“アルミラージ”が戦っている。
どちらも40数はいそうだ。
その周囲には、倒れている魔物たちも見受けられた。
流血しているうえに、ピクリともしないので、亡くなっているのだろう。
これらのモンスターは、双方ともに10体ずつみたいだ。
そうした状況で、
「アルミラージは何かしらの素材が取れますので、神法や魔法のなかでも損傷が酷くなるものは控えてください。」
「ゴブリンに対しては構いません。」
そのように“ルシム大公”が述べたところ、
「では、こうしましょう。」
“魔術師のレオディン”が、
「真紅の霧よ、猛威を振るえ。」
「禍々しき力を解き放ち、不自由を与えるがいい。」
「全てを縛るために躍動すべし。」
魔物らの足元に、直径4Mの魔法陣を構築した。
これにモンスター達が気づくなか、
「パラライズ!」
[闇属性の極級]を発する。
魔法陣から勢いよく噴き上げた“赤い霧”によって、その領域内にいたアルミラージとゴブリンが止まった。
こうした【麻痺】は、2分の効果時間らしい。
ともあれ。
範囲外だった魔物たち約20数が、僕らに向かって走りだした。
すかさず、ヴァイアと先生が【ホーリー・ボール】をゴブリンに放つ。
1人ぶんが50個なので、合計は当然その二倍だ。
これらの悉くが、当たる。
余談になるけど、ヴァイアは[光属性]と[闇属性]の【神法】でも“中級”を得たいらしく、今回は[攻撃系]を扱わないでいた。
さて。
駆けて来る“一角兎”の1匹に、アシャーリーの射った矢が刺さる。
セゾーヌは、別のアルミラージがツノから飛ばした一本の【雷】を躱し、すぐに間合いを詰めて、“右のキック”をヒットさせた。
そうした間に、先ほど【ホーリー・ボール】が炸裂して膝を着いていたゴブリンらが、立ち上がる。
この面子へ、
「ウィンド・エッジ!!」
僕は“最大幅10㎝×長さ2M”といった三日月状の【風の刃】を100コ発射した。
その【中級神法】で殆どを倒せたみたいだけれども、割と離れているゴブリン達は傷が浅いようだ。
「なんとなくでも左右に分かれましょうか?」
“隻眼のベルーグ”が提案したら、〝ふむ〟と頷いたドゥーラさんが、
「それでは、私は麻痺している連中を早々に片付けるとしましょう。」
こう告げるなり、宙に浮いて、モンスターらに接近して行った。
そうして、僕たちは、魔物を殲滅してゆく…。
▽
大人がアルミラージを回収した後に、新たな一本道を進んだ。
およそ3分が過ぎ、階段を下りて、更に歩いたところ、
「それなりの速度の集団が、向かって来ています。」
ユーンが報せてくれる。
数秒後に現れたのは、“シャドードッグの群れ”だった。
全身がブラック色のドーベルマンといった印象で、瞳は赤い。
これらのモンスターは、ざっと20体いるみたいだ。
僕達が構えるなか、先頭の3数が、クチから直径15㎝といった【火の玉】を放ってきた。
ドゥーラさんやヴァイアと僕に直撃した【ファイア・ボール】が、〝ボゥッ!〟と燃えて、消える。
そうして、僕たちは、“影犬グループ”と戦っていく―。
 




