第108話 ダンジョン探索③
ヴァイアの次兄にあたる“ドゥーラさん”の読み通り、“クリーピーフライ”に遭遇した。
この“約50㎝大のハエ達”に、アシャーリーが再び〝ひッ!!〟と悲鳴をあげる。
セゾーヌもまた嫌そうにしていた。
正直、僕も、気持ち悪さを感じている。
そうした状況で、
「ポイズン。」
ヴァイアが冷静に【毒】を噴射する。
先頭の数十体が墜ちて苦しみだすなか、多くの後続は平然と突っ込んできた。
ここから、僕たちは、乱戦になってゆく。
なお、事前に“ハーフエルフのリィバ”より〝爆発は洞窟の崩落に繋がりかねないので使わないでくださいね〟との説明を受けていたので、僕やヴァイアはその【神法】を扱わないようにしている。
大人達は、そもそも知っていたらしい。
どうやら常識みたいだ。
さておき。
およそ3分後に、僕らは勝利を収めた。
補足として、“クリーピーフライ”は約100匹いたようだ……。
▽
だいたいで5分は歩いたところ、道が右に曲がっていた。
これを2分ほど進んだら、T字路になっている。
「右に行きましょう。」
「ただ、背後から魔物に襲われる危険性もあるので、並びを変えたがいいと思います。」
ドゥーラさんの意見に、先生の伯母である“フィネルンさん”が、
「じゃぁ、あたしらが後ろに付きますよ。」
「母さんもフリントも、それでいいね?」
そのように確認する。
これに、“ディーザさん”は「ええ」と、先生が「分かりました」と、了解した。
そうして、三人は最後尾に回る…。
▽
3分くらいが過ぎ、
「前後から来ます!」
“獣人のユーン”が報せてくれた。
これによって、僕たちは足を止める。
数秒後に、
「ぃやッ!!」
アシャーリーの声が響き渡った。
更には、
「うっわぁー。」
セゾーヌが引いている。
何故ならば、双方より現れたのは、身長およそ50㎝×尻尾15㎝ぐらいのネズミである“ビッグラット”だったからだ。
そのモンスター集団は、30数ずついるようだった。
こうした“二足歩行のネズミ”は、[鉄製の軽装備]で、各自が[ダガー]や[ショートスピア]を所持している。
なかなか素早い敵とバトルすること4分あたり、僕らは倒しきった……。
▽
少し進んだところに階段があったので、これを下りる。
[踊り場]を左に折れ、なおも下りたところ、一本道になっていた。
そこを1分ほど行くと、四又になっている。
「左から二番目を選びましょう。」
ドゥーラさんに促され、足を運ぶ僕たちだった…。
▽
2分くらいが経っている。
新たな開けた場所に出るなり、“シェイディバット”が飛んで来た。
この“1M級のコウモリ”は、50体いるみたいだ。
「ひッい―ッ!!!!」
またも発狂したかのようになるアシャーリーが矢を射るなか、僕達も攻撃を開始する……。
▽
“モンスターの群れ”を殲滅し終え、僕ら子供たちは隅の方で座って休憩している。
特にアシャーリーが満身創痍になっていた。
大人は手分けして“シェイディバット”を[アイテムボックス]に収納している最中だ。
素材が取れるため…。
ちなみにだけど、ディーザさんが使える【魔法】の[光属性]は、“極級”に達しているらしい。
フィネルンさんは[攻撃系]を有しているものの、“低級”のままだそうだ。
〝詠唱が面倒だから〟との理由で、ほぼ扱ってこなかったのだとか。
それは、〝ドワーフ族にとっては珍しくない〟との話しだった。
まず、“ハイドワーフ”は全員に魔法が備わっているらしい。
“通常のドワーフ”は、半数ぐらいが得ているそうだ。
“ハーフドワーフ”は殆どが持ち合わせていないとの事だった。
こうしたドワーフ族は、〝肉弾戦を好む傾向が強い〟みたいで、〝魔法を用いる者は少ない〟らしい。
なので、フィネルンさんや、“トラヴォグ公爵”は、低級でストップしているのだとか。
とにもかくにも。
数十秒後、大人たちが僕らに合流する。
そのメンバーも暫し休むことにした……。




