第106話 実戦⑦
初夏になろうとしている。
[南北の港町]では、拡張区域での建築工事が進んでいるようだ。
以前、先生が提案したのは“滑り台/ブランコ/シーソー/トンネル”だった。
どれもが、“木材”と“ロープ”で作られることになっていて、取り敢えず四個ずつ準備してみるらしい。
なお、滑り台は、“大”と“中”を一つ、“小”を二つ、揃えるみたいだ。
ブランコは〝背もたれ有りと無しを二個ずつ〟との事だった。
シーソーは、“2人乗り”を二つ、“4人乗り”も二つ、らしい。
トンネルは“ネット”になっており〝中距離の物を四個〟といった考えだそうだ。
それらを[娯楽施設]の一階に設置するとの話しだった。
二階は、[休憩室]で、“ジュース各種”と“ポテトチップス”のみ販売する予定らしい……。
▽
“ルシム大公”が〝まだ涼しいうちに〟とのことで、新たに実戦を行なう運びとなった。
この日は、ヴァイアの次兄にあたる“ドゥーラさん”が訪れている。
なんでも[パルチザン]という槍を扱うらしい。
槍術が進化したヴァイアを指導してあげるために参加するそうだ。
勿論、“竜人の双子さん”の姿もある。
ちなみに、ドゥーラさんの[鎧]と[サークレット型の額当て]は銀製だ。
それから、“トラヴォグ公爵”が多忙につき、先生の“祖母君”と“伯母さん”が来ていた。
“祖母のディーザさん”は[クレリックローブアーマー]に[メイス]を装備している。
穏和な印象でしかないティーザさんだけど、バトルに関しては大丈夫なのだろうか?
一方で、“伯母のフィネルンさん”は、[戦士]みたいな恰好だった。
武器は、トラヴォグ公のように[銀の戦槌]だ。
ただし、こちらは片方が尖っている。
トラヴォグ公の物は、両面とも平たい。
ま、そうした前置きはこれくらいにして…。
今回、僕達は[北西の湖]に赴いた。
いや、正確には、湖の中心あたりに在る[小島]だ。
ここの洞窟が[ダンジョン]になっているらしい。
……数日前。
湖の西に位置する町に滞在していたエルフが、かなりの量の魔素が小島に集まりだしているのを感知したのだとか。
〝このままではスタンピードが発生しかねない〟と危惧して、町の[ギルド]に教えたそうだ。
その報告を“ギルドマスター”から受けた大公が、〝自ら調査する〟といった名目で、地元の領主に命じて湖を封鎖させたとの事だった…。
▽
洞窟に入ってすぐの所は“階段”となっている。
これを下ったところ、一本道になっていた。
内部には[魔鉱石]が無いのか、割と暗い。
そのため、“魔術師のレオディン/ハーフエルフのリィバ/魔女さん/ドゥーラさん/ディーザさん”が、
「神界の輝きよ、我がもとに現れ、暗黒を照らせ。」
「ライト・ボール。」
直径10㎝ほどの【光る球体】を展開した。
更に、“アシャーリー/ヴァイア/先生/セゾーヌ”が無詠唱で出現させる。
こちらは倍の20㎝ぐらいありそうだ。
おかげで、かなり明るくなった。
こうした流れで、
「確かに魔素が溜まりつつありますね。」
ドゥーラさんが述べる。
“竜人族”と“ハイドワーフたち”が頷くなか、
「やはりそうですか。」
納得するリィバだった。
「ひとまず奥のほうに行ってみる??」
誰ともなく尋ねた僕に、
「ええ。」
「魔素が最も濃くなっている場所で“フラッシュ”を発動すれば全体的に薄まりますので、そこを目指しましょう。」
ドゥーラさんが優しく答えてくれる。
それによって、再び歩きだす僕らだった……。
▽
およそ3分が経った頃、
「この先、何か居ます。」
「きっと魔物に違いありませんので、ご注意ください。」
“獣人のユーン”が皆に伝える。
このため、僕達は、鞘から剣を抜くなどして、戦闘態勢を整えていく―。
[予備知識]
【ライト・ボール】に関して
魔法の場合
照射範囲は直径5M
タイムリミットは1時間
神法の場合
照射範囲は直径10M
タイムリミットは2時間




