第103話 渓谷探索④
“ラミアジェネラル”に、ヴァイアの三兄にあたる“ガオンさん”が低空飛行で勢いよく突進する。
そこうしたなか、流血している“ラミア”と“ナーガ”の六割くらいが起きだした。
残りはピクリともしないので、僕やヴァイアの【中級神法】で息絶えたのだろう。
僕らに近い魔物は亡くなり、遠くなるにつれてダメージが少ないようだった。
いずれにしろ。
なんかいろいろグロくって、僕は気持ち悪くなっている。
ちなみに、最奥の“ジェネラル”には一発も当たっていない。
僕達との間にいる“ラミア”と“ナーガ”に全てヒットしたので。
ガオンさんがバトルを開始するなか、
「さぁ、儂らも戦いますぞ!」
そう声をかけた“ルシム大公”が、走りだす。
これに、否が応でも続かざるを得ない僕たちだった……。
▽
僕は[ダガー]を振るう。
〝ラミアやナーガの上半身が人間〟ということに抵抗を感じつつ。
それは、“アシャーリー/先生/セゾーヌ”も同じみたいだ。
なお、この三人は【ホーリー・ボール】や【ポイズン】を扱っている。
ヴァイアは、平然と[槍]を使っていた。
各自の側では大人達が援護してくれている。
ガオンさんは“ラミアジェネラル”が〝繰り出す拳〟や〝払う尻尾〟を余裕で躱していた。
そうこうしているうちに、僕らはラミアとナーガを殲滅し終える。
一方で、宙に浮いているガオンさんが、
「どぉーんッ!!」
“ジェネラル”の額に、右パンチを炸裂させた。
それによって、
「ぎぁッ!」
“ラミアジェネラル”は血を噴射させつつ仰向けになる。
「まぁまぁだったな。」
「じゃ、命を奪わせてもらうが…、恨むなよ?」
空中で述べたガオンさんは、“右の掌”を下方に突き出して、
「此方から彼方へ、決して止まらず吹き抜けよ。」
「空間を貫くほどの力となり、全てを穿つべし。」
“直径2Mでブルーホワイト”の[魔法陣]を構築した。
こうして、立ち上がろうとする“ジェネラル”へ、
「ウィンド・ランス!!」
“直径5㎝×長さ3M”といった【風の槍】を、150コ発射する。
“ラミアジェネラル”の上半身を貫通した【高級魔法】の悉くが、地面に〝ズドドドドッ!〟と穴を開けた。
土埃が舞うなか、“ジェネラル”が崩れゆく……。
僕らのほうを見たガオンさんが、
「コイツの下半身、持って帰るか??」
「鱗は何かしらの素材になるんだろ?」
「他のラミアとナーガは損傷が激しいみてぇだけど、こっちは割と綺麗だぞ。」
そのように伝えてきた。
「では、よろしくお願いします。」
大公が会釈した事で、
「分かった。」
「剣で上半身を切り離すから、皆は休んでてくれ。」
こう告げたガオンさんが、[小規模のアイテムボックス]を出現させる…。
▽
僕の[剣術]と、ヴァイアの[槍術]が、それぞれ“弐”になった。
これに、“隻眼のベルーグ”が〝よしッ〟と軽くガッツポーズする。
勿論、彼以外も喜んでくれていた。
それと、アシャーリーの【神法】が“中級”になったらしく、
「でかしたぁ――ッ!!」
テンションが上がる大公だった……。
▽
午前11時あたり。
僕たちは[大公家の館]に戻っている。
“大公/トラヴォグ公爵/ガオンさん/ハーフエルフのリィバ”は、すぐさま[別館]に移った。
リィバによる【テレポート】で。
ひとまず“蜂の巣”だけでも分配したいらしい。
他の素材に関しては、あとあと決めていくそうで、今回もリィバが捌くことになっている。
僕などは[本館の広間]で“珈琲”や“紅茶”を嗜む。
補足として、先生とセゾーヌの【能力】は、ひとつも変わっていない。
セゾーヌの“母”は娘の無事に安堵していた―。
現時点での[ラルーシファ=イズモ]
【神法】
・火/風/氷/地/雷/爆発のみ使用可能
※どれもが中級の攻撃系
【スキル】
・亜空間収納
※小規模
【特殊スキル】
・解読
※どのような文字であっても読み解ける
【戦闘スキル】
・剣術
※段階は[弐]
・狙撃術/打撃術/槍術/武術
※どれもが[壱]
前世での名前は[日之永新]




