第101話 渓谷探索②
“僕/アシャーリー/ヴァイア/先生/セゾーヌ”は、周りに聞かれたのもあって、【能力】をチェックする。
けれど、誰も変わっていなかった。
「ならば。」
「もっと奥に行ってみますかな。」
「他にも魔物がいる可能性は高いので、“神法”や“戦闘スキル”を進化させるべく戦いましょうぞ。」
“ルシム大公”の提案にて、再び歩きだす僕らだった…。
▽
5分程の所で、道が二又に分かれている。
「なんとなく、右だ。」
そんな感じで選ぶ大公だった……。
▽
3分ぐらい進んだら、ほぼ直角に右へと曲がっていたので、このまま土路をゆく…。
また約5分が経った頃、草花が茂っている[雑木林]に出た。
右斜め前には[滝]と[小さめの滝壺]があり、左へと[幅狭な川]が流れている。
川の向こうでは、モンスター達が争っていた。
右側は“カマキリ”で、50匹はいるみたいだ。
逆の左側は“二足歩行の蛙”で、25数といったところだろう。
どちらも、1.2Mくらいの大きさがある。
なかには、1.5Mあたりの個体が、双方に1匹ずついた。
“リーダー”という事だろうか?
ちなみに、カエルたちは、色が“緑/青/黄”とさまざまであり、何かしら武装している。
ざっとではあるけど、[片刃のバトルアックス]や[モーニングスター]を持っているのが10数、[スピア&ラウンドシールド]も10体で、[弓]を装備しているのが5匹だ。
[衣服/マント]は黄緑色で、[グローブ/ブーツ]は薄茶色だった。
あと、[鉄の胸当て]を着けている。
「マンティスと…、フロッグウォリアー、フロッグフェンサー、フロッグアーチャー、ですね。」
こう喋ったのは“ハーフエルフのリィバ”だ。
その間にも、モンスター達は、戦闘を繰り広げている。
なお、数的有利な“カマキリ集団”が押していた。
けれど。
蛙の半分ほどが、クチから【紫色の霧】を一斉に放射したことで、カマキリたちが苦しみだす。
おそらく、【毒】に違いない。
こうして、止めを刺したカエル達が、カマキリを喰いだした。
しかしながら、まだ動けるカマキリもいたようで、反撃された数体のカエルが捕食されていく。
それらの光景に、アシャーリーが〝うげぇ~ッ〟と嫌悪感を示す。
僕と先生にセゾーヌは、少なからず引いている。
ヴァイアは平気そうだ。
いずれにせよ。
「ひとまず魔法を使いますかな。」
“魔術師のレオディン”が述べたら、
「子供たちに神法を扱わせたがいいんじゃねぇか??」
ヴァイアの三兄にあたる“ガオンさん”が意見した。
「うむ、確かに。」
「その通りですな。」
“トラヴォグ公爵”が賛成したところで、アシャーリーが〝余計な事を〟といった顔つきになる。
この状況で、
「炎や雷に爆発は、火災に繋がりかねないので、やめておいてくださいね。」
「ここら一帯の草花はポーション類の材料になりますので。」
「それに、多分、キノコとかも生えているでしょうから。」
「生産者に商売人や、依頼を受けて採取しに訪れるであろう冒険者にとっては、まぁまぁ稼げる場所だと思いますので。」
そう僕らに伝えるリィバだった……。
▽
もはや拒否権は無いに等しかった僕達は、横一列に並んでいる。
左から“アシャーリー/セゾーヌ/先生/僕/ヴァイア”の順だ。
後ろには大人たちが待機していた。
こうして、アシャーリーとセゾーヌは【ホーリー・ボール】を、先生が【ポイズン】を、僕は【アース・パレッド】を、ヴァイアが【ウィンド・アロー】を、発動する。
補足になるけど、先生が用いたのは【デッドリーポイズン】ではない。
言うなれば“普通の毒”だ。
それは、【神法】でも【魔法】でも[闇属性の低級]となっている。
ただし、神法の効果時間や威力は魔法よりも上だ。
このため、〝魔法のポイズンは50秒〟というタイムリミットに対して〝神法は100秒〟らしい。
威力に関しては〝毒と猛毒の中間ぐらい〟なのだとか。
さておき…。
僕らの【神法】は、概ねヒットした。
魔物が動き回っていたので、いくらかは外れている。
何せ、蛙は跳ねるし、カマキリは飛ぶので。
僕達によって、七割くらいは倒れたけれど、残りのモンスターが川を勢いよく越えて来る。
ジャンプして迫る“14体の魔物”に、僕らは軽くテンパった。
そこへ、背後からダッシュして僕たちの前に出た“接近型メンバー”が、宙のモンスターを攻撃する。
彼らは、地面や川に落ちた魔物を、殲滅してゆく―。




