第3話
「うーん...どうしようかな...」
昨日もらった名刺を見ながら愛華は手の元にあったサンドイッチを一口食べた。
夏休みまではあと一週間。太陽は今日も強くて、仕方なく昼飯はクラスでしました。騒がしいけど、愛華にかまうやつはいないんだから、誰も机に置いていた名刺のこと気づく人はいなかった。
やはり、美琴社長からもらったバイトのオファーは試すべきかまだ悩んでいて、夜もあんまり眠らずになった。
でも今更迷う余裕なんて愛華はいなかった。
「何見てんの?」
後ろから愛華の肩が軽くたたかれた。
その声の持ち主のことは見なくても愛華はわかった、彼は他でもなく彼女の友人白金京だった。
「けーちゃん...昼飯食べた?」
「食べたよ。食堂の肉まんってやっぱうまいなー」
「へぇ、そっか。私も明日買ってみようかな」
話を逸らすつもりだったが、京がまた同じ質問を聞いてきた。
「んで、何見てんの?」
ため息をしながら愛華は京に名刺を渡した。そしたら昨日の出来事や美琴社長とヒビヤとの出会いを説明して、バイトのことも悩んでいることを話しました。
京は話を聞いていながら頭をこくこくっと頷いた。
「興味あるの?」
私がこくりと頷いた。
「一応試してみてもいいかなっと思ったんだが...やっぱ突然すぎて、ちょっとだけ戸惑った」
「一人で怖いなら俺も一緒に行くか?」
「え?いや、流石にそれは...」
京は口を開いたとたんに、大声で彼の名前を呼んでいた女の子が現れた。
「けいくん!どこ行ってたの!?探したよ!」
彼女は隣のクラスの大人気の三上さやか、京の今の彼女。
さやかは愛華に目を引いて、睨み始めた。
「ごめんさや、ちょっとだけ愛華と話がまだ―」
「なんでだよ!?けいくんの彼女は私でしょう?っていうか二人でこそこそ話をして、そのあとけいくんが大和さんとどっかに行く気なの?」
「いや、だから...」
京は困った顔をしてた。それに周りの生徒たちもこちらをガン見し始めた。そう見てた愛華はため息を吐いて京から名刺を取り戻し、三上の目を合わせた。
「心配しないで三上さん、ちょっとだけバイトの相談だ。ありがとうな白金くん。そろそろ昼休みも終わるし、自分たちのクラスに戻ったらどう?」
愛華の言葉を聞いた京は少しだけ悲しく見えていたが、それでも彼は頷いてから三上と一緒に自分のクラスに戻った。
「(新しい彼女ができたのに、元カノにはまだあんなに優しくするんだね、けーちゃんは...)」
そして時間が過ぎて、学校が終わりを迎えた。
愛華は自分の教科書とノートをそろって鞄に入れた。クラスに出たから京を見掛けたが、三上と一緒のようで、何も言わずに愛華は去って行った。
歩きながら、愛華はまた美琴社長の名称をポケットから取り出した。
「よし、試してみるか」
そうと決めた愛華は会社の場所をスマホのマップで調べて、家の逆方向に向かって、バス停まで歩き出した。