第二章『笑顔しか出さない人魚二人 後編』
ーーーー話は、戻って メリー視点
「…んっ」
そう言ってメリーは目を覚ます。昨日はいつものように午後6時に寝たってことは分かっている。な、なんで·····廊下なんですか…。
「やっと起きたかにゃ、メリプ」
「····おはようございます、スマル様」
ここは、日本来日時 スマル様ご自身が契約なさったホテルの一室である。彼女ほどの人となれば、アパートよりもホテルなのである。昨日 見かけた青年…どちらかといえば、少年 私たちと同じくらいの年ですね。わりといい感じでしたね。昨日まで視野にいたのが嘘みたいに感じる朝である。昨日 あの青年を見たあと、スマル様が…
「あの方と結婚したいにゃ」
と言い出したため、スマル様のサマーお母様は承諾を得なかった。いますぐにでも出発したいというスマル様に対して、お父様は…
「ああ、許可を出そう、今すぐ旅客機を出すのだ」
と言うお父様に対してお母様は·····
「心配ですわ スマルちゃん1人にその方の事が好きだとしても、本当に心配だわ 条件を出すわ」
そう言って私用にあらかじめ渡していたのか、紙をスマル様に手渡し、お母様は言った。
「スマルちゃん、これを読んで暮らしなさいね」
そう言ってその場を去った、夜7時の旅客機に乗り、午後11時に日本に到着、それからホテルに泊まった。そして今に至る。いつもの癖で廊下で寝てしまった。いつもはもうちょっと広い部屋で住んでる為だ。私は昔からずっと寝相が悪かった。悪いと言えば悪いのだが一番は布団も何も持たず、廊下で寝てしまうため、風邪をひきそうである。だが、逆に雨に濡れたとか、水がついたままでも風邪はひかない。私とスマル様は、セイレーンだからだ。私の母は水の里の出身。水の里の長の娘こそスバル様のお母様である。私は水の郷に行ったこともないし、見たこともない。部屋戻って今日から学園での生活がスタートするのだが、私は午前7時から午後6時までしか起きられない特殊体質。6時を過ぎると自動的に眠ってしまう。まあいいとして、今日から通う学校は王立月ヶ丘学園、噂に聞いていたが、半人のみが通うことを許可される学園。人魚である私達もしっかり通えるでしょうか…?すまる様も乗り気なので嬉しいですね。…あっ。
「あなた達が、転校生ね、私は月島といいます。今から理事長室に案内するから、ついてきてくださいね」
その女性は言った。スマル様と私は、ついて行った。しばらく校舎内を歩いていると、目的の理事長室に着いた。そして、月島さんは言った。
「スマルさんでしたよね、あの人が言っていました。幼い頃のあいつにそっくりだねと…」
… どういうことなんだろう。関係があるのだろうか·····。そういえば、スマル様の祖母様はこことは違う学園の出身でしたね。
ーーーーコンコンッ
「どうぞだよ。」
中から程よい声の男性の声が聞こえた。声からして30代半ばぐらい。これからお世話になる方だから、しっかり挨拶しないと…って知っている人だ。数年前、日本に来日した時のお兄さんだ。あの時お世話になりましたと心で思いつつ しっかり面と向かって顔見たのは初めてかもしれない。顔立ちは黒い髪にグレーに近い目の色を持ち、目鼻全てが綺麗に整っている人だった。いわばイケメンだろう。何歳かと言われて不詳と言われても信じてしまうほどだ。見た目もそうだが、声とか…全てにおいて若々しいのだ。可笑しいほどに若々しいのだ。本当に何歳なんだろう·····。
「えっとスマルちゃんは、亜子と名乗ってね メリプちゃんだっけ君は、膵沢メリーと名乗ってね。では、いってらしゃい」
「理事長 いいですかにゃ」
「なにか?」
「あの方と一緒に暮らしたいですにゃ」
理事長は、沈黙を置いて言った。
「良し あとで僕から言っておくよ 彼に」
スマル様は、笑顔でうんと言って理事長室をあとにした。理事長室から少女の声が聞こえたのは、気のせいだったようだ。そうして 転入初日が始まった。
ーーーー二人があとにした後の理事長室にて·····。
「お爺様いいのですか? お兄様と一緒に過ごさせていいのですか?」
お爺様と呼ばれた彼は、ふむと言った。まぁいいさと言う顔で少女を見据えた。彼女は、ヘッドホンを首にかけた美しい少女。身長は、既に170cmを軽く超えていた。足が長く 背筋もピシッとしており中々のモデル体型。学園の制服よりアイドルの服を着た方がいいと思う程に·····。
ーーーー話は、戻って メリー目線
このクラス 本当に半人が…いやどう見ても半人じゃないわあの子えっとヴァルシェさん。机にだけ体は、どこに·····ってなんでなんでスマル様の近くにいるんですが…いついど…はいはい分かりました。ってなんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇスマル様めっちゃにこやかに笑ってる。かなしいいい私以外にあんなぁ、あんな笑顔見せてないのに·····悔しい。この学園生活をきっかけに私の生活がおおいに変わると言う事になにも気づいていなかった。
【憑火Time】
みなさん こんにちは 憑火です。今回このコーナーに至ってですねキャラクターの裏話なんです。今回は、〝ヴァルシェ・ユージア・ミルシェファ〟さんです。彼女は、デュラハンと言う純血の妖怪で、この学園でも極少量の人です。デュラハンは、アイルランドに伝わる首のない妖精(妖怪ですらない)。女性という説もあるらしいです。パンシーと言う妖怪(妖精なのかな)と同じく死を予言するらしいです。