第六章 いにしへのおもひで
曽祖父の家に行ったのが、1983年。今、タイムスリップしたのが1983年。
なぜだろう、偶然なのか。
私は思いを巡らせながら。客車の窓に肘をもたせ掛けた。
「まもなくぅ 中村ぁ 中村ぁ 中村にとまりますぅ」
前にも言ったことだが、曽祖父の家の前に駅がある。その駅が中村駅だ。
キーーーーーーーーーーーーーーーッ
「中村ぁ 中村ぁ」
この客車からは人が降りなかったが、向こうの客車からは杉本駅で乗った家族が降りていた。
それを見て、驚いた。目を疑った。
「俺の家族がいる・・・・」
祖父がいる、祖母もいる、父母もいる、もちろん俺もいる。
私は降りようとした。しかし、ここで降りて目を合わせてしまったら、何かの映画のように、次元空間(時空)がおかしくなるかもしれない。だから辞めた。
遠ながらに聞こえる。
「やっとついたね。ああ、やっとひい爺ちゃんに会えるんだね!」
「秋ちゃん、落ち着きなさい。もうすぐ会えるんだから。」
「秋吉、曾爺ちゃんに会ったら、なんて言うんだったかな?」
「『100歳おめでとう!!』っていうんだよ!」
「そうかそうか、曾爺ちゃんが喜ぶといいね。」
曽祖父の家は現在(2019年)はもう廃屋のようになっているのだが、まだ新品だ。
なつかしい、『丸寺』の文字が輝いている。
ドアが閉まると、私は涙をこぼした。
「ど、どうしたんですか?」
「い、いや。なんでもないんですよ。」
「この手巾で拭いてください。私まで泣いてしまいます。」
「すみません、涙もろいもんで。」
列車は次の駅へと向かった。




