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head-scissors

作者: クロラ
掲載日:2008/12/28


髪を切ろうと思った。




失恋をしたから。




女の子みたいな発想だなぁと思った。



でも俺は、ハサミをとった。




変わりたい、そう思ったから。







…………


「私好きだな、その髪。

さらさらして、綺麗で。」



ずっと昔、幼なじみの彼女はそういって褒めてくれた。



だから伸ばしていた。

そうしたら彼女が喜んでくれる気がしたから。




いつからか忘れたが、俺は彼女のことが好きになっていた。

最初は幼なじみであるための錯覚かと思っていた。

しかし月日がたつにつれて、それは確信へと変わっていた。



俺は彼女が好きだ。

好きだった。



ただ、その気持ちはずっと伝えられないでいた。







…………


放課後のことである。


俺は見てしまった。




彼女が、学校の廊下で先輩と抱き合っていたのを。




俺は思わずからっていた鞄を落としてしまった。



廊下に響く音。

俺を見て唖然とする彼女。

立ちすくむ俺。




鞄を拾い、逃げるように走り出した。


後ろ手彼女が何がいっていたが、何も聞き取れなかった。




泣いた、叫んだ。


そんな赤ちゃんでも出来る行為しか、その時は出来なかった。




家に帰ってから、俺は一人考えていた。



今、俺がすべきこと。



たどり着いた答えは一つだった。



俺が変わらないといけない。



そして、彼女への想いを絶たないといけない。




そして俺は、引き出しから髪切りバサミを取り出した。







…………


床には沢山の髪の毛が落ちていた。


切ってみると、妙な安らぎみたいなものを感じることが出来た。



女子が失恋したとき髪を切るのも少しわかるような気がした。










…………


次の日、彼女が俺にいろいろと話してきた。

昨日の先輩とは付き合っていないし、いきなり抱き着かれただけだといっていた。



でも、そのすべてが言い訳にしか聞こえなかった。









…………


「先輩、付き合ってください!」


髪を切ってから一週間のこと。


俺は後輩に告白された。




俺は返事をした。


いいよ、と。



その時の俺は、誰でもいいからにそばにいてほしかった。



ずっとそばにいた人がそばにいなくなったことに、俺は苦しんでいたのだ。




その日、後輩と一緒に手を繋いで帰った。



その時、幼なじみの彼女とすれ違った。



彼女は俺を見て、驚いて立ち止まっていたが、俺はそれを無視して通りすぎた。



さようなら。


そう、心の中でつぶやいた。









…………


その次の日、廊下で彼女とあった。

俺は驚いた。






彼女の長い髪の毛が、ばっさりと切り落とされていた。




一体どうして?



何で?




俺はそう尋ねようとした。

でも出来なかった。







彼女が笑いかけてきたから。


涙を浮かべながら。







あぁそうだったのか。



気付くのが遅すぎた。


俺は悟った。






“俺たち”、失恋したんだな、と。













…………


部屋の中で、ハサミを眺めていた。




その銀色の金属性の歯がいつもよりも冷たく、そして重く感じられた。




変わらなくちゃ、いけないんだよな…。


誰もいない部屋の中で、一人小さくつぶやいた。






それから俺は、それを引き出しに閉まった。

読んでいただきありがとうございました。 感想、分のアドバイスなど書いてくれたらうれしいです! 今回の作品「head-scissorS」はシャカラビッツというバンドの曲の題名からとりました。 この曲はこの作品とは対照的にどこか元気が出て来る曲です。是非一度聞いてみてください!

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