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逆ハーに巻き込まれた幼馴染を助けるために、群がるハエは一匹残らず駆逐します!  作者: 花宵
第4章 リヒテンシュタイン侯爵家のシリウスを駆逐せよ!

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第33話 ターゲットその3、リヒテンシュタイン侯爵家のシリウスを駆逐せよ!

 残るは第一王子ハイネル・エルグランドと、宰相の子息シリウス・リヒテンシュタインの二人だ。


 この三年生コンビ、中々接点が無さすぎて泣けてくる。とりあえず、同じ学年である寮長に話を聞いてみるか。


「寮長、手伝いますよ!」


 窓拭きをしていた寮長に、雑巾片手に話しかける。


「いつも悪いね、ルーカス君。助かるよ、ありがとう」


 そういえば、と手を止めた寮長が話を続ける。


「この間のオリエンテーション、ルーカス君のクラスが優勝したらしいじゃないか。すごいね、おめでとう」

「俺だけの力ではありませんよ。でも、ありがとうございます」


 どんな試練があったのか雑談しつつ、俺は話題の内容を寮長の方へシフトしていった。


「寮長達の頃は、どんな試練があったんですか?」

「そうだね、拍子抜けするくらいに簡単なものだったよ」


 まじか、なにこの違い。すげー羨ましいんだけど。だけど、何か寮長の顔が暗いな。嫌なことでもあったのだろうか?


「ただその場所に行くだけで、スタンプは普通に押せたし、道中何のトラップもなかった」

「それだと、優勝は早い者勝ちですね」

「そう思うだろう? でも違った。スタンプを一番に集めて差し出したのは、確かに僕達だったんだけどね。受け取ってもらえなかったんだ。だから僕達のクラスは、三位だったよ」

「それってまさか……」

「当時審査員だった生徒会長が、ハイネル様以外のスタンプを先に、受けとれるわけがなかった。だから仕方なかったんだ。それ以降、全てのクラス対抗競技は全て、ABCの順さ」


 頑張っても報われない最初から決められた出来レース。寮長達の学年は王族のハイネルが居ることで、それが俺たちの学年よりは厳しいのだろう。

 あのダリウスが怒っていたくらいだ、当時は本当に酷かったのだろう。そして今も、それは続いているのだ。


「そんな辛気くさい顔しないでおくれ。僕は、嬉しかったんだ。C組所属であるにも関わらず、ルーカス君達のクラスが優勝してくれた事が」

「寮長……」

「テオドール公爵家の庇護下にある君なら大丈夫だと思うけど、決して油断しないで。ハイネル殿下には逆らわない方が身のためだよ」


 結局、それ以上寮長からエリート軍団の情報を聞き出すことは出来なかった。というか、俺が聞けなかった。寮長に、その当時の辛い気持ちを思い出させてしまうから。


 掃除を終えた俺は、自室に戻って次なる策を考えていた。とりあえず、次のターゲットはリヒテンシュタイン侯爵家のシリウスだな。

 決してラスボスハイネルと早々に対峙するのが怖いからとか、そんな理由じゃない。どちらかと言えば現状、シリウスの方が接点を作りやすいからだ。


 いつもならピースケで尾行から始める所だが、露出させ過ぎたせいか目立ってしまっている。

 レオンハルトとヘンリエッタの周りを飛ばせすぎたせいか、運命の相手と繋いでくれる幸運を呼ぶ青い鳥と噂され、関係ない生徒に追いかけ回される始末だ。

 噂が沈静化するまでしばらく、ピースケは使えない。


 そうなると、どうにかして自分から接点を作るしかないのだ。

 ハイネルは授業以外、ほぼ生徒会室に居るらしく、俺が易々とそんな所に立ち入れるはずもない。

 逆にシリウスは美術部部長を務めているため、美術部に入りさえすれば強引に接点を作る事は可能だ。しかし問題は、俺の美術的センスがあまりよろしくない事だな。絵を描こうものなら、失笑されておわりそうだ。

 とりあえず、絵の練習でもしておくか。試しに自分の手をデッサンして描いてみるが……なんだろうこれ、人間の手とは到底思えない生物の手がそこには描かれていた。







「おはよう、ティアナ」


 翌日、その日は運よく寮を出た所で、朝からティアナに会った。


「おはよう、ルーカス」


 しかし、返事をしてくれたティアナにいつものような元気がない。


「何かあったのか?」

「実は……シリウス様に放課後、美術室に呼ばれてるの。最後の文化祭に相応しい作品を用意したいから手伝ってくれないかって」

「行くのか?」

「とても、断りきれなくて……」


 その時は、いつも助け船を出してくれるサンドリア様もエレインも、同じクラスのレオンハルトさえ近くに居なかったらしい。完全に一人でいる所を突撃されたようで、たちが悪い。


 新作のデザインがまとまりかけてたのに……と、深くため息を漏らすティアナ。最近はエレインの快気祝いのパーティに向けて、ドレスを作っているそうだ。


 本物のエミリオの復帰はまだ先だが、そんなすぐにドレスは出来ない。今から作っても遅いくらいであるため、時間の合間を縫っては鋭意制作中らしい。


「だったら、俺も一緒に行くよ。手伝いなら多い方がいいだろ?」

「いいの?」

「ああ、早く終わらせてドレス作り頑張れよ」

「うん! ありがとう、ルーカス!」


 ティアナのためだといえば、エレインも駄目だとは言わないだろう。ティアナと別れた後で、とりあえず俺は主に許可をもらいに行くことにした。

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