プロローグ
西暦2100年。地球温暖化が進み、人が住める範囲は以前の4分の3以下になった。
そして、俺の愛すべき生まれ故郷でる日本も温暖化にともなう水面の上昇により、多くの島が海の底へと沈み、その国土面積は、およそ3分の2に減少。
さらに、他国では、潤沢な資源、少しでも涼しい土地を求めて争いが勃発。
おそらく、平和主義を掲げている日本も、生き残るため、勝ち残るために激しい戦いを繰り広げることになるのは時間の問題だろうと思われていた。
・・・が、そんな時、もともと寒いため、地球温暖化の影響をものともせず、逆に暖かくなることで力をつけているロシアが、今や周りの小国を合併し、巨大国家となっているという事態をうけ、世界トップ規模の軍事力と資源力、経済力で高みの見物決め込んでいたアメリカも、対応せざる負えなった。
そこで、各国の代表者を集め、出来る限り争いを小規模にするための対策を考えるという名目で、ロシアをけん制するための国際会議を開き、参加した日本を含む40か国の様々な思惑が飛び交う中で平和裏にこの争いを終わらせるための、全5条からなる恒久平和維持条約が発表されることとなる。
その内容とは――――
1.国同士の争いは、その国の代表者同士の決闘で決すること。
2.代表者は、15~18歳の女のみとすること。出場権があるのは2名のみ。
3.武器は使ってもいいが殺傷能力の低いものすること。
4.争う内容は両国の同意によって成り立つ。
5.代表者が相手国の代表者を誤って殺害してしまったときは、相手国に3億支払うこと。
の5つである。
確かに、この条約ならだれも死なせずに済み、多くの人々が助かるだろう。
こうなると、重視されるのは、国の軍事力ではなく、代表者の少女たちの強さだ。
であれば、戦力を持たない国が、温暖化の影響を受けない寒冷な土地。資源。財力を得ることも可能だということである。
そしてそれは、戦わなければ死ぬ、いわゆるファイトorデスの境をさまよっていた日本にとって特に大きな意味をもった。まず、戦争をするうえで憲法第9条に反することが無くなったこと(あくまで条約に則っており、2対2という少ない人数のため決闘とみなされるから)。
さらにオプションとして、二人の少女の人生を犠牲に、平和ボケしていた東の小さな島国は、平和主義を掲げたまま、世界の覇権を握る機会を得たのだから・・・。