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邪龍神機 イオス・ドラグーン  作者: 九頭龍
最終章 君と刻む永劫/Nを継ぐ者
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6-7


 脚を上げ振り下ろす。ただそれだけの動作で、空中の俺に向かって地面が次々と鋭く隆起していく。

 慌てて高度を上げ、まるで剣山になったかのような大地を見下ろすと、そこには居るはずのナイアルラトホテップが居ない。


『何っ? 奴は……』


「お兄ちゃん、上っ、逃げてっ!!」


 驚く俺の視界が急速に暗くなる。

 マシロが短く発した声に状況を察した俺は、超高速で横方向へと飛翔した。

 正直……間一髪だった。俺のすぐ脇を、風を切りながら黒い巨体が通過する。


『ぐっ……!』


 奴が巻き起こす風に煽られたが、四枚の羽を伸ばし、俺は体勢を整える。

 ようやく事態を理解した。信じがたい事だが、最初の踏み込み……あれでナイアルラトホテップは、目にも止まらぬ速度で跳躍したのだ。


『なんて奴だ、化け物めっ!』


 餓龍剣に黒水龍を纏わせると、地響き……いや地震と呼ぶ規模の振動を起こしながら着地するナイアルラトホテップへ向かって飛ぶ。

 こちらの動きに合わせるようにナイアルラトホテップは、その体から複数の触手を伸ばす。触手は色こそ黒いが、クトゥルフのそれと同じく、醜悪な形状をした竜だ。


『知っているぞ、その攻撃なら!』


 向かってくる竜を断ち斬るべく餓龍剣を振るう。餓龍剣は、簡単にその頭を縦に斬り裂いた。


『っ! がっ!』


 その瞬間、縦に割いた竜の頭が、一瞬で掌のような形状に変化し、俺の体を掴み締め上げる。


『ぐぅぅっ!』


 身を捩り拘束から何とか抜け出そうともがく。しかし、触手の万力のような力に抗えず、そのままナイアルラトホテップの眼前へと引き寄せられた。


『ふふん、私をクトゥルフ程度の存在と同じと思うなよ、タツヤ。出来る限りの死力を尽くしたまえ』


 触手をしならせ投げ飛ばされる。ナイアルラトホテップの跳躍で屹立した岩塊をいくつも貫通して、岩肌に埋まるようにしてようやく止まった。


『くっ……なんて馬鹿力だ。イスミル、マシロ、大丈夫か?』


「はい。しかし、マスター……」


「お兄ちゃん、このままだと……」


『……悪いな、二人とも。それでも、ここで逃げるのは……無しだ』


 全身に力を込める。気合いと共に四肢を伸ばし、岩塊を砕いて抜け出す。


「……まあ、我等のマスターなら、そう言うでしょうね」


 イスミルがクスリと笑うと、マシロもそれに続く。


「お兄ちゃんがそうしたいなら、私達は共に進むだけです」


『よしっ、それじゃあ一丁、いい気になった神様とやらをぶん殴りに行くとするかっ!』


 再び、ナイアルラトホテップへ向かって飛ぶ。奴も両腕から多数の触手竜を生み出した。

 俺は餓龍剣を虚空へ消し叫ぶ。


『ニュートロン・ハンマー!!』


 飛行しながら、両手にそれぞれ召喚した二つのハンマーを高速で回転させる。向かってきた竜触手達は、その回転に巻き込まれ、次々と千切れ飛んでいく。

 そのまま、左手のハンマーを更に高速度で回転させると、ナイアルラトホテップに向かって投げつけた。

 しかし、ナイアルラトホテップは動じない。高速で迫る中性子星核に、その巨大な右拳を叩き込んだ。

 空間が大きく震える。超密度の塊が衝撃に耐えきれず、粉々に砕け散った。


『せいっ!!』


 砕け、光と共に消えていくニュートロン・ハンマーの中から飛び出す。

 俺は、残った右のハンマーを左のハンマー同様、高速で回転させ投げつける。


『むぅんっ!』


 ナイアルラトホテップが、ハンマーを砕いた右拳を、殴った勢いのまま振り上げ、大きく腹部を晒す。


『HOOOOU!!!』


 腹部に開いたナイアルラトホテップの口へと急速に光が集まり、飛来するハンマーへと、咆哮と共に極太のエネルギー波が放出される。

 放射されるエネルギーにハンマーが飲まれ、呆気なく蒸発して消えた。

 ナイアルラトホテップの頭上で、その一部始終を見ながら、俺は力を解き放つ。


『ハイパーノヴァ・トルネーーッド!!』


 開いた胸部甲殻から真下のナイアルラトホテップに、黒白の超エネルギーが放出された。

 ナイアルラトホテップはすかさず両腕で頭上を庇い、ハイパーノヴァを受け止める。

 さすがの奴も咄嗟に無効化出来なかったようだ。

 ガードした両腕と右上半身を消失させて、ハイパーノヴァの放出が収まる。


「マスター!」


「お兄ちゃん!」


 イスミルとマシロが同時に声を上げる。

 黒水龍と白水龍が同時に多数召喚された。


『応っ! はぁぁぁぁっ!』


 トンッと空中でとんぼ返りし、水龍達を全身に纏うとナイアルラトホテップに向かい急降下する。

 そのまま、半身を失い動かない奴の体を、水龍の回転でズタズタに裂きながら貫いた。

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